マンガのお話です。
山岸凉子さんの描くマンガは、怖いです。
そこんとこが好きで、短編集など読んでいます。
ちなみに、個人的に山岸さんが描くマンガで一番怖いのは・・・
『日出処の天子』に出てくる、
「丑寅の方よりまうづ〜」
っていう魑魅魍魎です
あれはいかにも凶々しく、世の中に災厄を引き起こしそうなモノなんですけど、丑寅の方よりまうづ〜って言う前触れが特に恐怖だった。逢ってはいけないもの。
(これがまともに見えるのも厩戸皇子くらいなようですが)
二番目も、『日出処の天子』にあった、屋敷の四隅から段々と近づく疫神!
天然痘にかかった豊日大王の臨終の際に、死が近づくたびにズイッと迫りきて、最期はあの世に連れていく・・・と言う描写、めちゃめちゃ怖かった。
こちらはモーニングなどで山岸さんが描かれていた読み切りを集めた短編集です。
●『艮』
艮(うしとら)って、丑寅の方よりまうづ〜のアレかな?
艮つまり北東で、鬼門のことです。
雑誌編集部に勤めるワーキングマザーの晶子という女性が出てきます。
夫は単身赴任で不在、一人娘を保育園に預けながら仕事とワンオペ育児をヘトヘトになりながらこなしています。こんなに無理してるのも、最近買った中古マイホームのローンのため。
ある日取材で訪問した(ちょっとインチキくさい)霊能者に、「あんたの家は鬼門が開いてる」と言われます。
どうせインチキだと取り合わなかったのですが、確かに娘は原因不明の発熱を繰り返すし、自分も体調が悪いし、小さなケガをしょっちゅうするし、野菜がすぐに腐るなど変なことばかり・・・
マンガでは、実際に邪悪なモノが潜んでいるんですね。やっぱり鬼門が開いてるのが災いを呼び寄せる原因だったみたいで。鬼門を閉じたら、追い出された奴はどこへ行くのでしょう?
まさか、また鬼門が開いてる別の家へ?←こういう含みが怖い。
●『死神』
あるベテラン看護師さんの体験談。これ、マンガにしているけどきっとモデルになる人物がいるのよね多分・・・
この看護師さんが病院で見る「おむかえ」の様子が語られます。なんか、病室に見たことがない人がいるんですって。小さな子供だけが、「知らない人がいる〜」って怖がって泣くのですが、大人たちには見えない。
ここに、自殺未遂で命を取り留めた一人の女性が登場します。
交通事故で亡くなった彼氏の後を追おうと自殺をはかったものの、臨死体験で見たのは荒涼とした地獄のような風景でした。
「もう二度とあそこへは行きたくない」と彼女は言います。
この看護師さんによると、安らかな「おむかえ」は誰にでも来るものではないそうで・・・おむかえなのか、死神なのか。
●『時計草』
人間の頭の中で繰り広げられる概念的な光景なのか、もしくは現実なのか、読み解くのがちょっと難しい作品でした。もうここ三次元じゃないです。常識が通じない世界というのが怖い。つまりこれが「あの世」?
怖い話だったので、なごむ犬をどうぞ。