坂口安吾の記念館「安吾 風の館」に行った時に知った本です。
横溝正史作品は安吾の蔵書の中の一つに数えられるのですが、中でもこの『蝶々殺人事件』を絶賛していたとのこと。安吾の中ではナンバーワンらしい。
どんなもんだろうと、読んでみました。
この表紙
これどうなん・・・ていうか、この写真もブログに載っけていいレベルなのか?
でも、普通に書店で売ってるぐらいだからいいのか。これは古本を買ったけれど。
横溝作品には被害者が全裸の女であるパターンをいくつか読みましたので、これも全裸シリーズか?と思いきや、どこをどう読んでもハダカではない・・・
ちょっとやりすぎだよこの表紙。引いたね
まあ、普通に服を着ていましたが、確かに被害者はコントラバスケースの中に入れられて死体が見つかっています。
なんで蝶々殺人事件かというと、歌劇「蝶々夫人」を演じる世界的プリマドンナ、原さくらが殺されたから。
時代は昭和12年。
蝶々夫人の東京公演が終わり、次の大阪公演のため原さくら歌劇団は夜汽車に乗って東京から大阪へ向かうことになっていました。が、主役の原さくらだけは、夜汽車が体調に合わないという理由で翌日の汽車で向かう予定です。
原さくらを出迎えるため、マネージャーの土屋恭三は大阪駅で待機する・・・はずが、うっかり時間を過ごしてしまいます。
どんなにドヤされるだろうと戦々恐々として駅に着くも、どうやら原さくらは自分一人でホテルまで行ったらしい。
翌日の昼、稽古が始まる時間になっても原さくらは現れず、皆が訝しんでいる中、自動車でコントラバスが運ばれてきます。
コントラバスのケースを開けると、バラの花びらが敷き詰められた中に原さくらの死体が・・・(※全裸ではない)
これ、金田一耕助じゃないんですね。
由利麟太郎という名探偵と、三津木くんという新聞記者のコンビが謎解きをするシリーズです。
由利先生は穏やかな老紳士って感じで、パイプを加えているのでホームズみたいなイメージなのかな?
三津木くんも先生を慕う聡明な好人物で、いいコンビだと思いました。
ところで、なんでわざわざコントラバスのケースに入れて死体を届けるんだ?ひっそり始末すりゃいいじゃん、と思うのですがそこはまあ小説だから・・・そして、なぜケースに入れて運ばせたか、というのもトリックの一つになっているので、ほう、そういうわけか、と後でうなずけます。
被害者は東京で殺されたのか?大阪で殺されたのか?
など、時間的なトリックも盛り込まれているし、確かに綿密に練られた犯罪なので謎解きの内容は濃いです。安吾に絶賛されるわけだ。
物語中に、このような↓音符を使った暗号が出てくるのですが・・・
コレ、暗号としては初歩的な内容なんだそうですが・・・
初歩的ィ〜〜???
ダメだ・・・全くわからない。
クイズ研究会の人なんかだと、こういう暗号って解けるもんなんですか?
答えは小説の中で由利先生がちゃんと教えてくれます。
ところで横溝正史作品って全部ではないが多少は読んできましたけど、わたしのお気に入りって何なんだろうなあ・・・と考えてみました。
長編だと、『八つ墓村』が、一番おお〜〜って感じだったかな?
でも実は、短編の『蝙蝠と蛞蝓』が一番好きかもしれない。
金田一耕助を、全くの他人から見た印象が書いてあって面白い。(しかも、すんごい変な奴扱いされている)
その変な奴だった金田一耕助に、最後に主人公が助けられるのが爽快でしたね。
昨晩はお月見をしました。
素晴らしい月だったけれど、どうしても写真に撮れない。
相変わらずのヘボ写真をどうぞ。