がん消滅の罠 暗殺腫瘍の謎 | あだちたろうのパラノイアな本棚

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読書感想文、映画感想、日々のつぶやきなどなど。ジャンルにこだわりはありませんが、何故かスリルショックサスペンスが多め。

今の大河ドラマも面白いけど、時期的に、だんだんと来年の大河に関する情報も流れて参ります。

 

今川義元役が野村萬斎さんなのかー

さぞかし雅な今川義元なんだろうなー

(野村萬斎さん好き)

 

うちの娘が

「今川義元って顔が白塗りで気持ち悪いよねー」

と言っていました。

多分、戦国BASARAやってたのでそのイメージです。

 

だいぶネガティブな印象与えているな。

まあ若い子が歴史に触れるきっかけとしてBASARAはいい入り口なのだけどね。

それにしても義元は酷い・・・真顔

 

 

 

本の話。

 

こちらは以前に読んだ『がん消滅の罠 完全寛解の謎』の続編です。相変わらず専門的な医学用語が多くて難しかったけど・・・

 

登場人物は前作と同じ。

がんセンターの臨床医である夏目と、親友の羽島。

そして、大手生命保険会社に勤める森田と、部下の水嶋。

 

がんセンターでもっぱら研究に携わっている医師の羽島がキレ者の変人で、わたしは何気に気に入っているのだけど・・・今回も羽島の推理がサエてましたが、出番としては少なかったのが残念でした。

 

がんは人類が戦うもの、克服するもの、願わくば撲滅したいもの。

 

それって人間の共通認識なのだろうけど、この本では、人工的にがんを作成して(それもiPS細胞とか高度な技術を使って)それによって世直しを図ろうという集団が登場します。

 

この犯罪者が悪役。しかし動機が世直しなので、本当にこの人たちは悪なのか、読者に問いを投げかけてきます。

行きすぎた善意は悪となるってことかな・・・

 

だから前回も書いたけど、デスノートみたいな倫理観かなと。

 

ことの発端は、またまた森川から発信。

 

住宅ローンのがん団信がきっかけでした。

 

これは、住宅ローンを組んだ人がその後がんと診断されると、その後のローン支払いが免除になるというもの。

森川の勤める生命保険会社に、ローンを組んで1年以内にがんの診断がされ、1億などの高額なローン支払いが免除になる案件が5件も起きます。

 

しかも診断されたがんは、いずれもメラノーマという皮膚がんの一種。皮膚がんは死亡率が低いので通常給付の対象外なのですが、メラノーマは唯一給付が認められる種類です。

そして、その発症は大変珍しい。

 

またもがんが絡んだ保険金詐欺かと疑いが生じたのだけど、なんの証拠もない。森川たちは独自に調査を始めます。

 

同じ頃、夏目の元に、

「言うことを聞かないとお前はがんで死ぬ」

と言う脅迫を受けた人物からの相談が持ち込まれ。

 

 

がん団信ねえ・・・ちょっと考えたことはありますよ。

 

うちも住宅ローンありますが、

「これって夫が軽いがんに罹ってすぐ手術して治ったらローンがチャラになってラッキーってことかな」

などと思ったりして。(←ひどい妻。いやもちろん冗談ですあせる

 

将来、本当にがんの画期的な治療法ができて治るがんが増えたら、団信という保険商品そのものもなくなるかもしれない。

その前に、人工的にがんを作って人に注入できたら、新たな犯罪の手口になるなあ。

 

でも、そう簡単にはいかないんだそうです。

 

他人のがんを移植や注入しても免疫によって拒絶されるから、他人の体でがんは育たないんですって。

 

しかし一方で、本人が免疫抑制剤を使用していたら?

 

などなど、こんな感じのトリック&謎解きとなっていて大変興味深い。

 

ちなみにイヌのがんには、交尾で感染する種類のものがあるんですって・・・これ人間に感染するようになったら恐ろしいです。

 

 

もう一つ、物語の中で言及されていたのが、日本で野放しになっている代替医療の話。

 

あやしげな食品や何の根拠もない治療法が規制を受けずにこんなにはびこっているのは、先進国では日本だけだとか。(もはや日本を先進国と呼ぶかどうかもわからないが)

代替医療に対する憤りや警鐘も、ふんだんに物語中に含まれていました。

そうなのか・・・欧米ではもっと厳しく規制されているのか・・・気をつけよう。

 

 

あ、ミステリーとしてもしっかり作られていて、今回もホーっと溜息つくほど面白かった!

 

 

 

与板城址の本丸跡にいたイヌ(っぽいもの)。

・・・イヌなのか?!