クルンテープの裏庭で 5 | クルンテープの裏庭で 2

クルンテープの裏庭で 2

バンコクやパタヤの裏庭で遊び歩いて考えたことを自分勝手に…

眠ることを知らないかのように喧騒に包まれた通りを折れ
小路の突きあたりにあるゲイ向けのカフェバーに入る

すでに、時計の針は1日の終わりを告げていて
店の中には8人組のグループとゲイのカップルなどで
ほぼ席が埋まっていた
ダーツやビリヤードをしているグループもいて

それぞれが週末の裏庭を満喫しているのかもしれない


「ここでいいよね」
ノックは、角の空いていたボックスにオレをいざなう
オレを窓側に押し込め、隣に座ってウエイターを目で探す
「そっちに座れよ。」

とボクはノックに前の席を指す
「ナツの横がいい」
オレの左腕に自分の腕を絡める


「ナツは、この店に来たことある?」
「ああ、前に1度ね」
「いつ頃?」
「ん~、覚えてないけど1年前かなぁ」
「僕は、先月まで3ヶ月間、アルバイトしてたんだよ」
「へぇ、そうなんだ」
ノックは顔見知りのウエイターを見つけて
手を振りながら声をかける

あまりに大きなノックの声に
苦笑いの混じった顔をしながら
テーブルに近づいてくる
「サワディーカップ」
ウエイターは、オレにワイをしながら微笑む

かわいい

注文したものができるまで
あそことあそこに座っているのは日本人だとか
あのウエイターは、シンガポール人が恋人だとか他愛無い話しを
して時間をつぶしていた

そのうちに、ハイネケンとアイスティ
トムヤムクンと豚肉をからからに揚げた炒め物が
テーブルに並ぶ

「ここの料理人のおばさんの腕はいいんだよ、おいしいでしょ」
ノックが満足げに微笑む

ノックが、フォークで揚げた豚肉を刺して
オレの口に運ぶ
その向こう側に

こちらが気になるのか
ちらちらと視線を送ってくる中華系の青年が見えた

ノックがハイネケンを飲むタイミングで
彼が話しかけてきた
「キミ達は、友達なの?」
友達って・・・、恋人同士なのかとは聞かない
微妙な表現だ
オレが反応する前に
ノックは恋人同士だと宣言する
おいおい・・・

「友達だよ」
とオレ
誰がどう見たって
ゴーゴーボーイとエロ親父の関係だろう
こんな親父風情といまどきの少年から
青年になりかけの 組み合わせなんだから・・・

顔を彼に向けたまま
ノックがオレの膝をぎゅっとつねる
オレのほうを向き、恋人だもん
とすねる
あぁ、つかのまのね
恋人ゴッコ

どこから来たのかとノックが彼に聞く
香港からだという
ノックが何やら広東語で話し掛ける
彼が肩を竦めて苦笑いする
二言ぐらいのやり取りで

彼はグループの会話に戻っていった


「ノックは、広東語しゃべれるの?」
「おじいちゃんが中国人だから、すこしだけ広東語が話せる」
二人の間では、たどたどしい英語が共通語だ

夜の闇を泳いでいくうちに、身につけることは多い
「さっき、彼になんて聞いたの?」
「内緒だよ、そんなことより、はい、あ~んして」


トムヤムクンをアイスティで流した


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