結論 | 読んだらすぐに忘れる

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ホワイト・ジャズ

『ホワイト・ジャズ』 著 ジェイムズ・エルロイ (文春文庫)

評価:☆☆☆☆

 主人公=デイヴィッド・クライン警部補、悪徳警官、法律家。回想=1958年、LA、秋。事件は不可侵の領域であった麻薬密売の大物宅で起きた異様な侵入盗事件。その担当をエド・エクスリーに命じられたクラインはやがて入り組んだ暗黒の迷路をさまようことになる。危険な恋=グレンダ。対立=民主党と共和党、LAPD&地方検事局と連邦捜査局&連邦検事局、エクスリーと……。巨大な陰謀に翻弄され、クラインはぐるぐると破滅へと落ちていく。暗黒のLAその四。

 うーん、もはや小説というより妄念と情報の塊といったほうがいい。クラインの魂の叫びが呪詛のごとく頭にこびりついている。前からエルロイは達者なミステリ作家だと思っていたが、この作品ではそれを証明するように、ミステリらしい奇想天外な策謀をとある人物がやっている。このスケールの大きな仕掛けは、筒井康隆の書いたあるミステリによく似ている。この作品で一応シリーズは完結したのだが、次の《アンダーワールドUSA》では、本書から登場したハワード・ヒューズの用心棒、ピート・ボンデュラントが再登場しているので、細い線だがシリーズの繋がりがあるようだ。次は一体どんな悪い白人が登場するのだろう?

 最後に、この一連の巨大な暗黒迷路の結論=善人とホモは長生きしない。