新本格ってなーに? | 読んだらすぐに忘れる

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名探偵はもういない

『名探偵はもういない』 著 霧舎巧 (原書房)

評価:☆☆☆

 犯罪者願望のある犯罪学者、木崎研吾はある想いを胸に栃木県の雪深い山間のペンションに辿りついた。五年前から想い続けてきた女性との邂逅、二人は忽ち恋に落ちる。しかし、ペンションには二人の幸せとは別に邪悪な意思により不穏な空気が漂っていた。やがて大きな地震が起きペンションが孤立したのをきっかけに不可解な事件が発生。「名探偵」は残された証拠から真相を推理するのだが……。20世紀最後の新本格作家がおくる意欲作。

 先日、大谷大学で関西ミステリ連合の総会があった。講演会の講師は霧舎巧。なかなかカッコいい人でした。話の中で霧舎流「本格」と「新本格」の区別の仕方、本書のあとがきに書いていること、をさらに詳しく解説してくれたのが面白かった。ようは都筑道夫のように捻ったアイディアと手の込んだ「工夫」を凝らしたミステリが「新本格」らしい。都筑道夫が「新本格」であるというのはちょっと目からウロコでした。

 この発言を踏まえた上で本書をみると「なるほどなぁ」と納得する。この本書で作者がやりたかったのは、ある有名な「名探偵」をだしてフェイドアウトさせることで、そこに至るまでに色んな工夫をしている。有栖川有栖の推薦文も工夫の一つだから手が込んでいる。しかし、シリーズ作品を追っかけている人は作者の「やりたいこと」は早い段階から分かってしまったそうである。(僕はこの作品が初読で分からんかったが……)そこを差し引いたとしても謎解きは面白く、散らばった伏線や証拠が綺麗に収まっていくところは見事だった。