【米大統領選】予想的中は信じられるか【トランプ勝利】 | 独立直観 BJ24649のブログ

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 理屈は間違っているけれど結論だけは当たっているということは往々にしてある。

 たとえば、中原圭介という経済アナリストがいる。

 血祭謙之介さんが何度も彼の経済論の誤りを指摘している(http://ameblo.jp/khensuke/entry-12145926374.htmlなど)。

 しかし、書店で中原の新著がたまたま目に入ったのだが、昨年から今年にかけての「円安の終焉」と株価の低下の予想を的中させたらしい(http://store.toyokeizai.net/books/9784492396322/)。

 結論を導く論理は不当でも、結論だけは当たるということはあり得る(ただし、現在、円安・株高となっている。「日経平均大引け、続伸 10カ月ぶり高値 円が110円台に下落」http://www.nikkei.com/article/DGXLAS3LTSEC1_Y6A111C1000000/)。

 

 

 

 

 あえて名前を出さないが、ある評論家が、今回のアメリカ大統領選挙について、ドナルド・トランプ氏が当選するという予想を的中させた。この評論家は博識で、私はこの評論家を大変尊敬しているし、ブログを書く上でも何度も参考にしてきたし、これからも参考にするであろう。

 その評論家は、大統領選の予想はマスメディアのみならず、様々な研究機関も行っているのであり、そういう研究機関の予想を吟味しないのは不勉強だ、などと勝ち誇った。

 その評論家の6月時点の予想を聞いたところ、(良い意味での)ポピュリズム(大衆主義)のトランプ氏の登場によって投票行動が変わるから、従来の予測方法は通じず、トランプ氏は大勝するということであった。

 しかし、トランプ氏の得票数は共和党歴代2位と多かったものの、ヒラリー・クリントン氏の得票数も民主党歴代2位の多さで、しかもトランプ氏よりも上回っている。果たして大衆の投票行動は大きく変化したのか、「大勝」と言えるのか、疑問だ(https://twitter.com/miraisyakai/status/799428443888726018https://twitter.com/nevermore1dream/status/799458319064702976参照)。また、その評論家はニューヨーク州でもトランプ勝利はあり得ると述べていたが、同州ではクリントン氏の圧勝に終わった。

 トランプ氏が当選するという結論は当たっていたが、果たして論拠はどの程度当たっていたのだろうか。

 

 今回の米大統領選は、事前に予想できるものだったのだろうか。

 民主党推しのマスメディアから共和党推しのマスメディアまで、クリントン氏が勝つ可能性が高いと予想していた。

 今回の大統領選では、マスメディアの垂れ流す情報(世論調査など)を信じたら予想を誤ったということが指摘されている。

 しかし、お金を賭ける人たちは、マスメディア以外にも情報を吟味して、真剣に考えるのではないだろうか。

 では賭けサイトがどうだったかというと、投票日当日、75%超がクリントン勝利を予想していた。

 福わははさんが下のツイートにオッズのグラフを載せている。トランプ氏の勝率が5割を上回ることなど一度もなかったのに、投票日当日に一気に逆転している。

 これは今回の大統領選を予想することの難しさの一端を示していると思う。

 

 

「米大統領選、賭けサイトは75%超の確率でクリントン氏勝利予想」 ロイター2016年11月9日

http://jp.reuters.com/article/usa-election-gambling-idJPKBN1332HR

 

「[ニューヨーク 8日 ロイター] - 米大統領選当日の8日、賭けサイトでは総じて75%以上の確率で民主党のヒラリー・クリントン候補の勝利が見込まれている。

アイルランドのブックメーカー(賭け業者)、パディー・パワーが織り込むクリントン氏勝利の確率はこの日、83.3%から81.8%に小幅低下する一方、トランプ氏は20%から22%に上昇した。

英ブックメーカー大手ラドブロークスでは、クリントンの勝率が76%、トランプ氏が24%。

英国のベットフェアでは、クリントンが80%、トランプ氏が20%となっている。

ラドブロークス、ベットフェアでは、米大統領選の結果に関する取引量が英国の欧州連合(EU)離脱決定時を上回る見通しという。想定外となったEU離脱決定の鮮明な記憶が取引需要を高めているもようだ。

米国内の賭けサイトも同様の結果を予想している。」

 

https://twitter.com/suido2204/status/798548791708135424

 

 

 事前にトランプ氏の当選を予想していたということは、FBIによる投票日直前の私用Eメール問題の再捜査などがなくてもトランプ氏は当選できたということである。

 果たしてそんなことがあり得るのだろうか。

 データ上は、私用Eメール問題の再燃が投票行動に影響を与えたことが観測できるのではないだろうか。

 トランプ氏の女性問題などは大統領の資質に特に関係ないと言うことができるが(http://ameblo.jp/bj24649/entry-12210821983.html)、クリントン氏のこの問題は、機密漏洩に等しく、大統領の資質に大いに関係がある(江崎道朗「マスコミが報じないトランプ台頭の秘密」(青林堂、平成28年)39ページ参照)。

 

 

https://twitter.com/YoichiTakahashi/status/797618589322723328

 

https://twitter.com/YoichiTakahashi/status/798335763851014145

 

「【10月16日配信】江崎道朗の備忘録「史上最低のアメリカ大統領選挙」!?報じられないヒラリーメール問題のヤバさとは!?聞き手:小野義典【チャンネルくらら】」 YouTube2016年10月16日

https://youtu.be/6tTx9NPwFXM?t=8m53s

 

 

 

 私用Eメール問題が再燃したのは10月28日だ。

 リアル・クリア・ポリティクスは評判の良い世論調査だそうだが、NHKがこの世論調査をグラフ化している。

 10月中に差が広がった支持率が、同月末日あたりに一気に縮まっている。

 

 

「クリントン氏の私用メール問題、FBIが再捜査 トランプ氏「国民はちゃんと分かっていた」」 ハフィントンポスト2016年10月30日

http://www.huffingtonpost.jp/2016/10/29/clinton-mail_n_12707732.html

 

アメリカ連邦捜査局(FBI)は10月28日、アメリカ大統領選の民主党候補のヒラリー・クリントン氏が国務長官在任中に私用メールを使った問題で、新たに政府の重要機密情報を取り扱ったとみられるメールが見つかったため、捜査を再開したと発表した。

一連のメールは、クリントン氏の側近であるフーマ・アベディン氏と夫のアンソニー・ウィーナー元下院議員が共有していた電子機器から見つかった。ニューヨーク・タイムズが最初に報じた。ウィーナー氏は未成年の少女と性的なメッセージのやり取りをしていたとして、連邦政府の捜査を受けている。彼とアベディン氏は8月に離婚した。

FBIのジェームズ・コミー長官は28日、アメリカ議会の各委員長に送った書簡で「無関係の事案と関連して、メール問題の捜査に関連するとみられるメールの存在を発見した」と述べた。コミー長官は、FBIはそのメールが「重大なものかどうかを現時点では判断できず、追加の捜査を終えるまでにどれだけの時間が必要になるかは予測できない」と述べた。

FBIのコミー長官は、議会メンバーへの書簡で、FBIがクリントン氏の私用サーバー問題で追加のメールを調査していると述べた

(以下略)」

 

http://www3.nhk.or.jp/news/special/2016-presidential-election/justbefore.html

 

 

 クリントン氏に痛手となったのはFBIによる私用Eメール問題の再燃だけではない。

 10月31日、ウィキリークスによって、民主党が3月に行った予備選挙の討論会において、ドナ・ブラジル氏(民主党全国委員会暫定委員長・CNNアナリスト)が事前にクリントン陣営に対して質問内容を漏らしていたことが暴露された。それ以前にも同様の暴露はあったのだが、投票日直前期にも新たな暴露が出てきたということだ。この漏洩された質問内容が民主党の基盤であり接戦州のミシガン州絡みなのも興味深い(下記の通り、同州では得票率1%差でトランプ氏が勝利)。

 これは日本ではあまり取り上げられていないかもしれないが、アメリカ人のインターネットユーザーには広く知られるところとなっているようである。

 私はロバート・D・エルドリッヂ氏とセス・ロードベック氏という2人のアメリカ人の大統領選に関する話を聞いたが、2人ともこの件について触れていた。サンプル数としては少なすぎるのだが、方や政治の専門家であるエルドリッヂ氏(40代)、方や政治の話など普段は全くしない一般人であるロードベック氏(20代)という大きく立場の異なる2人が揃ってこの点を指摘しているということは、見ておいてよいことだと思う。

 ロードベック氏は、私用Eメール問題は単なるミスとして大目に見ていた人でも、裏で卑怯な癒着をしていたとなると印象の悪化は避けられず、クリントン氏には不正の印象がついて回ったということを述べている。

 今回の大統領選の予想を当てた人も外した人も、集会の聴衆の数に触れることがある。トランプ氏の集会には数多くの人が押し寄せているのに、クリントン氏の集会は空いているというのである。

 それなりに応援する気がないと、わざわざ集会にまで足を運ばないだろう。そして、こういう不祥事が発覚すれば、応援する気も失せ、集会に訪れる人数も減るだろう。

 特に、予備選挙で不正を行っていたとなると、クリントン氏と争ったバーニー・サンダース氏を支持していた人々は、クリントン氏への嫌悪感を強くするのではなかろうか。もともとサンダース支持者の何割かはトランプ氏に投票するという観測もあった(http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/07/post-5555.php)。

 集会の参加人数・雰囲気をトランプ勝利に結びつける人がいるが、それも元を辿ればFBIやウィキリークスによる不祥事の発覚によるところがあるのではなかろうか。

 そして、これらの不祥事の発覚は、事前に予測不可能だし、投票行動にも影響を与えたものと思われる。

 

 

「【特番:エルドリッヂ博士の緊急報告!アメリカ大統領選取材】沖縄対策本部連続セミナー ①「大統領選と沖縄」 豊島区生活産業プラザ 2016.10.28」 YouTube2016年10月29日

https://youtu.be/j539OsiSPYM?t=14m18s

 

「【トランプ勝利】なぜヒラリークリントンが上手くいかなかった?」 YouTube2016年11月10日

https://youtu.be/MMVI0U71BUk?t=4m7s

 

「米民主党全国委委員長、クリントン氏に肩入れ-ウィキリークスが指摘」 ブルームバーグ2016年11月1日

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-11-01/OFY4ND6K50YA01

 

「⇒暫定委員長がクリントン氏に事前に集会の質問を伝えたとメール示唆

⇒ブラジル氏は「でっち上げ」の可能性あると主張

 

米民主党全国委員会(DNC)の暫定委員長で、CNNアナリストも務めるドナ・ブラジル氏が大統領予備選中の今年3月、市民対話集会での予定質問を事前にヒラリー・クリントン氏の陣営に伝えていたことを示唆する電子メールが内部告発サイト「ウィキリークス」に掲載された。
  ブラジル氏がクリントン陣営に質問内容を漏らしていたことを示唆する電子メールの公表は今回が2回目。予備選・党員集会の期間中はDNCはどの党候補にも中立的に振る舞い、質問はどの候補にも知らされないはずだった。10月31日にウィキリークスに掲載された電子メールは、ミシガン州フリント在住の女性が地元の水質汚染についてクリントン氏に質問するという内容だった。その前に公表されたのは、今年3月の別のイベントでクリントン氏が死刑について質問されると同陣営に伝えるメールだった。
  ブラジル氏に31日、コメントを求めたが得られなかった。ただ最初のメール掲載の後、同氏は自分は討論会の質問を知ることができる立場になかったし、たとえ知ったとしてもそれを他人に伝えることは絶対ないと釈明。ウィキリークスが公表した電子メールは「でっち上げ」の可能性があると示唆した。クリントン陣営はロシア政府が選対本部の統括責任者ジョン・ポデスタ氏の電子メールをハッキングし、一部の内容を改ざんしたり、でっち上げてウィキリークスに投稿したと主張している。」

 

 

 トランプ氏が勝った接戦州を見てみる。

 選挙人数29人のフロリダ州では得票率1%差でトランプ勝利、選挙人数20人のペンシルベニア州でも得票率1%差でトランプ勝利、選挙人数10人のウィスコンシン州でも得票率1%差でトランプ勝利、選挙人数16人のミシガン州でも得票率1%差でトランプ勝利である。

 これらの州の結果がひっくり返ると、クリントン氏当選となる(トランプ氏の獲得した選挙人数は306人、クリントン氏の獲得した選挙人数は232人で、74人差。後3州の結果が逆になるだけでもクリントン氏当選となる。)。

 投票日直前の、上で述べたような不祥事の発覚が、これらの州の勝敗に影響を及ぼしたのではないか。得票率差は1%しかない。

 事前にトランプ勝利を予想していた人は、クリントン氏の不祥事の発覚がなくてもこれらの州でトランプ氏は確実に勝てたと言うのだろうか。

 私には10月からのクリントン氏の不祥事発覚が接戦州の勝敗に影響したように思えるし、そんなことを事前に予想することも不可能なようにも思える。

 

 

http://www3.nhk.or.jp/news/special/2016-presidential-election/?utm_int=news_contents_news-closeup_001


 

 福わははさんの、五大湖周辺の景気に着目した見方は面白いと思った。この地域は「製造業の中心地」であり、クリントン有利と予想されていた(https://plus.google.com/u/0/+BJ24649/posts/hBaxo2is4kE)。

 ペンシルベニア州もウィスコンシン州もミシガン州も五大湖周辺だ(http://urx.blue/zH68)。そして、ここは民主党の「基盤」だ(http://www.j-cast.com/2016/11/10283082.html)。中でも、ペンシルベニア州は、クリントン氏を民主党候補として正式指名する民主党全国大会が開かれた地だ(http://www.bbc.com/japanese/36891282)。

 これらの州では製造業が不振に陥っていたとのことだ(http://www.j-cast.com/2016/11/10283082.html?p=2)。

 11日の記事で、オバマケアが中小企業に重い負担となっているということを紹介した(江崎道朗「マスコミが報じないトランプ台頭の秘密」(青林堂、平成28年)36,37ページ、http://ameblo.jp/bj24649/entry-12218109460.html)。ひょっとすると、これらの州にはオバマケアの負担感が大きく、オバマ大統領自らが支持基盤を痛めつけていたのかもしれない。

 江崎氏はオバマケアで失業者が増えたと言うが、アメリカでは全国的に失業率は下がっており、私はこれには疑問だった。試しに上の3州の失業率を見てみたら、昨年ペンシルベニア州で失業率が少し上がっていた(それでも全国平均よりはやや低い。オバマケア発効は2014年1月1日)。

 素人の憶測に過ぎないが、オバマ大統領肝いりのオバマケアが、民主党の基盤を揺るがすという皮肉な結果をもたらしたのかもしれない。

 なお、トランプ陣営は、選挙戦終盤の5日から7日にかけて接戦州のペンシルベニア州、ミシガン州、フロリダ州などに入って遊説を行い、これが功を奏したと言えるとのことだ(https://youtu.be/W40kmxPfet4?t=4m15s 指名獲得後の最初の遊説先にもペンシルベニア州を選んだそうだ。http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/e/fc97a7719f2e272dfc75d5d15b3ce0e1 <19日追記>トランプ氏の公約に海軍増強があり、これでペンシルベニア州の造船所が潤うとのこと。https://youtu.be/Qae7AdBOyXw?t=12m2s<追記ここまで>)。

 

 

https://twitter.com/suido2204/status/796550564679188480

 

http://ur0.work/zIdb

 

「【11月17日配信】山村明義のウワサの深層「ついにトランプが大統領に!逆転の理由は?選挙公約から今後の日米関係を考える~どうなるTPP?・ウォール街一掃される!?」かしわもち【チャンネルくらら】」 YouTube2016年11月17日

https://youtu.be/W40kmxPfet4?t=4m15s

 

 

 今回の大統領選では、「隠れトランプ支持者」が指摘されている(http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000087199.htmlhttp://www.afpbb.com/articles/-/3106923)。

 しかし、私はこれには疑問があって、akiraさんが指摘しているが、「人前で大声で宣言するのならともかく、世論調査の電話での質問に答えられないほどアメリカの有権者はシャイではないだろう」とのことである(http://ameblo.jp/akiran1969/entry-12218148991.html)。

 とはいうものの、大統領選後の報道でも「トランプ氏を支持していると答えづらい人や世論調査を信頼せず答えない人が多かった」とあって、やはり世論調査にも答えない「隠れトランプ支持者」がかなりの規模で存在するのだろうか。

 世論調査と実際の投票行動が一致するのかという問題もある。

 akiraさんは同記事で、支持・不支持の強さの程度に着目すべきだとする。

 クリントン氏の支持率が高くても、その支持が弱いものであれば、支持者は投票にはいかないかもしれないし、クリントン氏の不祥事発覚などによって投票先を変える可能性もある。

 いわば、「見せかけのクリントン支持」もかなりいたのではなかろうか。

 

 

「米大統領選 世論調査の在り方も議論に」 NHKニュースウェブ2016年11月11日

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161111/k10010765491000.html

 

「アメリカ大統領選挙で、事前の世論調査の結果に反してトランプ氏が勝利したことについて、一部の調査機関が謝罪するなど世論調査の在り方が議論を呼んでいます。

 

アメリカ大統領選挙で世論調査と異なる結果になったことを受けて、アメリカでは世論調査の在り方に疑問が投げかけられています。

こうした指摘を受けて、統計学を基に独自の解析方法でクリントン氏の勝利を予測した「ファイブ・サーティエイト」は、分析に利用した全米20余りの調査会社に結果の食い違いについて問い合わせました。その結果、電話による調査では、トランプ氏を支持していると答えづらい人や世論調査を信頼せず答えない人が多かったことに加え、民主党支持者が予想以上に投票しなかった可能性が指摘されたということです。

また、大学が運営する「サバトズ・クリスタル・ボール」は、読者に謝罪する記事をインターネット上に掲載し、「トランプ氏を支持する隠れた潜在的な票が指摘されていたが、私たちはそれを信じず、読み間違えた。二度と繰り返さないよう学ばなければならない」としています。

一方、トランプ氏のリードを伝えていた数少ないメディアの一つ、ロサンゼルス・タイムズは、自社の調査は、世論調査の結果を人口構成によって補正していたと紹介したうえで、「国民の意見を調べるためには、より多くの調査方法が必要だ」と指摘するなど、世論調査の在り方が議論を呼んでいます。」


 

 

 江崎道朗氏は、「トランプに備えよ」とずっと言い続けてきた。

 アメリカ事情に詳しい江崎氏は、事前にトランプ勝利の選挙予想をし、そしてこれを的中させたようにも思える。

 しかし、「トランプに備えよ」はそういう選挙予想ではなかった。私は長らく誤解していたし、私のGoogle+のフォロワーにも誤解している人がいた。

 実際のところは、「トランプに”も”備えよ」がその趣旨だったと解される。

 わが国の外務省もマスメディアもクリントン氏当選一点張りで、トランプ氏が当選した場合について備えているようには見えなかった。しかし、トランプ氏が当選する可能性も存在するのである。また、たとえトランプ氏が落選しても、トランプ氏の当選に備えて情報収集・人脈構築をしておくことは、今後に活きる。

 だから、クリントン氏だけでなく、トランプ氏にも備えよ、ということだ。

 

 

「【11月13日配信】江崎道朗の備忘録「フィリス・シュラーフリーさんトランプが勝ちましたよ!安倍総理も9月に側近に会っていた」小野義典【チャンネルくらら】」 YouTube2016年11月13日

https://youtu.be/WRtMPWtaBQY?t=4m33s

 

 


 予想を的中させた人の言説を聞くことも有益だとは思う。

 しかし、どこまでその人の予想通りの展開だったのか、論拠の正しさは考えた方がよいと思う。

 上で示した今回の米大統領選の予想を的中させたというある評論家は、6月に、「カリフォルニアはマイノリティーの人が多くて民主党・ヒラリーが勝つ可能性が高いと思いますが、それでもわからない」と、カリフォルニア州ですらトランプ氏は勝負できるくらい支持を集めているという旨を言っていた。

 では実際の結果はどうだったかというと、得票率にして29%、得票数にして290万票、クリントン氏が上回り、トランプ氏を寄せ付けずに圧勝し、全く勝負にならなかった。

 大衆の投票行動の変化自体は存在するとしても、過大視していたように思う。

 私も「アンチ・エスタブリッシュメント」が広がりを見せているとは思うが(http://ameblo.jp/bj24649/entry-12217554490.html)、それだけでトランプ氏が接戦州を制して当選したことが説明できるのか、選挙結果や支持率の推移などを見ると疑問が拭えない。FBIによる私用Eメール問題の再燃など、事前に予測不可能な事情がなければ逆の結果になっていたこともあり得るのではないか。

 

 今後、今回の米大統領選について様々な分析が出てくる。

 なかなか他国の選挙事情にまで関心を持つというのは難しいことだとは思う。

 しかし、予想を当てた人の言説であっても、全てを鵜呑みにすることなく、どこまで当たっていたのか、本当に事前に予想可能な選挙だったと言ってよいのか、後学のために関心を持っておくのが望ましいと思う(https://www.facebook.com/jonen.tsukasa/posts/1175545405840511)。