【経済外交】棘の桜【叱咤激励の資格】 | 独立直観 BJ24649のブログ

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そういう想いのブログです。

 今月8日、中曽根康弘元総理の記事を書いた(http://ameblo.jp/bj24649/entry-11889953916.html)。
 中曽根元総理は、世間的にはタカ派に分類されている。
 そこで、オチは鳥にちなんだものにした。
 明示しなかったが、念頭に置いていたことわざは下のものである。



燕雀安んぞ鴻鵠を知らんや

えんじゃくいずくんぞこうこくのこころざしをしらんや【燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや】
 
〔史記 陳渉世家〕
ツバメやスズメのような小さな鳥にどうしてオオトリやクグイのような大きな鳥の志が分かるだろうか。小人物には,大人物の大きな志は分からない。

http://goo.gl/GNB3IN



 ところで、私は、YouTubeにアカウントを持ち、チャンネル桜をチャンネル登録している。
 チャンネル登録をすると、「登録チャンネル」画面に新着動画が表示されるようになる。
 この画面で、動画説明欄の一部が表示される。
 私は、動画説明欄を見て、その動画を見るかどうかを判断することがある。

 17日、チャンネル桜の「【安倍外交】従属国としてのハンデとレームダック論[桜H26/7/17]」の動画説明欄を見て、ぶったまげた。
 動画本体を見た人は多いだろうが、説明欄を見た人は少ないのではないか。



「【安倍外交】従属国としてのハンデとレームダック論[桜H26/7/17]」 YouTube2014年7月17日

https://www.youtube.com/watch?v=rT2v2vPCuY4

経済政策はともかく、外交面においてはまずまずの評価を与えられる安倍内閣。アメリカ­の従属国という現状の中で、最大限に自主性を確保しようという動きについて解説しなが­ら、経済政策への批判をもって、安倍内閣をレームダック化しようとの意見については、­異を唱えておきます。」

※ 「レームダック」の「ダック」はアヒルである(http://goo.gl/SB0WY8)。




 ハァ(゚Д゚)???
 「経済政策はともかく、外交面においてはまずまずの評価を与えられる安倍内閣」って、バカなの?
 何をしたら高く評価するの?
 日本経済を停滞させて対米対中二正面強硬論で突っ走って日本を滅ぼせば満点なの?
 翌日の放送で、水島氏が、大東亜戦争で本土決戦をやった方が国体や日本精神を守れたかもしれない、などとアブないことを言っていて、シャレにならんのだが(https://www.youtube.com/watch?v=75yTtkdGlao)。
 そもそも、第一次安倍内閣の時にあれもこれも安倍総理に求めてしまい、短命に終わらせてしまったことを反省したのではなかったのか。

 チャンネル桜の名誉のために一応言っておくと、キャスターの大半は妥当なことを言っている。
 しかし、水島総キャスターと三橋貴明キャスターが、不合理に安倍批判をし過ぎだ。
 三橋氏の安倍倒閣論は本ブログでも非難したが(http://ameblo.jp/bj24649/entry-11891064050.html)、水島氏も三橋氏の経済論を9割以上信じているとのことなので、結論としては安倍倒閣論に反対するとしても、ほとんど変わらないものと考えられる。

 正直、水島・三橋に、安倍政権の経済政策・外交政策を上から目線で非難するに足りる能力があるのか、非常に疑問だ。
 仮にそういう能力があるとして、そんな図々しいことを言える立場なのだろうか。



 経済政策についてであるが、これがいまいちな原因は消費税増税だ。安倍総理は消費税増税に消極的だったが(http://ameblo.jp/bj24649/entry-11875914413.html)、昨年10月、諸般の事情で押し切られた。
 水島氏が率いるチャンネル桜では、以前から消費税増税を推進する財務省を問題視していた。これは正しかったと思う。
 昨年9月、チャンネル桜を含め、安倍総理を応援する人たちが消費税増税反対運動を行い、財務省および木下康司事務次官(当時)を非難した。これもスジが通っていたと思う。
 しかし、9月下旬だったか、敗色濃厚であることを察知し、遁走し、裏切り、実質上、財務省に白旗を揚げようと降伏勧告を行った者がいた。
 水島氏である。
 その後、水島氏は、消費税増税政局でこの場では負けても今後も戦い続けるという旨を言っておきながら、戦う気配がない。
 それもそのはず。水島氏とともにこの運動を行っていた倉山満先生によれば、端的に言ってしまえば、水島氏は、国土強靱化に予算を付けてもらいたいがために財務省批判を引っ込めたのである(「ジャパニズム 18号」(青林堂、2014年4月)88,89ページ。http://ameblo.jp/bj24649/entry-11868283677.html)。国土強靱化推進が財務省批判撤回の理由ならば、水島氏が今後も財務省に対して再び戦いを挑むことは期待できない。
 水島氏が何を考えているのかは判然としないが、国土強靱化によって日本人の命を守るためには財務省に屈することもやむを得ないと本気で考えているとしたら、恐ろしい話である。私の方が間違っているかもしれないが、私見を述べる。
 片や、首都直下地震で日本人が何万人も死ぬという可能性は未知数である。片や、消費税増税は、橋本龍太郎政権で実施して以来、年間1万人の自殺者が増えたという実績がある。消費税増税で可処分所得が減れば、各人が震災対策にかけられるお金も減る。子育ての余裕も減り、少子化の原因にもなる(本来増えるべき命が増えない。少子化は移民受入の理由にもなる。)。さらに、消費税増税でデフレが悪化し、税収が減れば、結局、国土強靱化の予算も削減対象になる。国土強靱化こそがデフレ脱却のエンジンだから予算を付けろと言ったところで、供給制約の問題があり、公共事業の経済効果は低い。おまけに、国土強靱化を仕切る親中派議員である二階俊博(反安倍勢力)を肥え太らす。したがって、国土強靱化で命を守るために財務省に屈することもやむを得ないというのは、矛盾を孕んでいると考える。消費税増税を推進している自民党税調会長の野田毅議員が親中派と目されていることにも注意すべきだろう。水島氏は、消費税増税は戦後レジームが原因だというとぼけた持論を展開したが、米国の悪口を言う一方、中国が抜け落ちていたのが気になった。
 消費税増税を推進する反安倍勢力との戦いから逃げ、国土強靱化を過大評価する水島氏に、安倍政権の経済政策を非難する資格があるとは到底思えない。なお、TPPについては後述する。

 三橋氏は、麻生太郎議員が財務大臣に就任すると、持論だった財務省批判や歳入庁設立構想を引っ込めhttp://ameblo.jp/bj24649/entry-11831561064.html、今後日本経済が悪化したら財政出動を渋った安倍のせい、という論調だhttp://ameblo.jp/bj24649/entry-11891064050.html)。消費税増税に狂奔する麻生大臣や野田議員の責任は問わない。彼らの方こそレームダックにするべきではないか。
 安倍政権は法人税減税に取り組んでいるが、三橋氏は、法人税減税は幼稚だ、などと批判している(http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11884455970.html)。確かにこういう主張も消費税増税をしなかったならば理解できる。しかし、経済学の門外漢である私がいうのも何だが、消費税増税をやってしまったのだから、とにかく減税であれば歓迎するのが原則ではなかろうか。法人税減税に反対するのなら、消費税率10%は絶対に阻止するべきだ、財務省の走狗に成り下がった麻生を財務大臣から降ろせ、ということを併せて主張しないとスジが通らないのではないか。なお、三橋氏がこの記事でしているように、対内直接投資残高対GDP比について日米の二国だけを対比することには特に意味はないそうだ(http://ameblo.jp/hirohitorigoto/entry-11895884206.html)。
 三橋氏は、法人税減税を(共産党のように)大企業優遇で格差が拡大するから反対だという旨を言う(http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11535421434.html)。しかし、デフレを脱却して中小企業も黒字を出すようになれば、中小企業も減税の恩恵を受けるようになるのではないかと素朴に疑問に思う。デフレ脱却の過渡期である今、デフレを前提にした立論はおかしいのではないか。仮に大企業優遇だとしても、大企業が倒れれば中小企業も共倒れになってしまうし、設備投資減税をしなければ設備投資が増えないものではなく、法人税減税にも設備投資を増加させる効果は一応あるわけで、法人税減税に反対するのは合理的なのか、疑わしい(http://ameblo.jp/hirohitorigoto/entry-11896899219.html)。中野剛志氏が「三橋貴明の「新」日本経済新聞」において「消費税云々よりも、今、一番心配すべきなのは、安倍政権が、景気を腰折れさせないためと称して、財政出動は不十分なまま、法人税減税・規制緩和・特区・TPP・外資の導入促進・追加の金融緩和など、新自由主義的な政策を加速することです。」と言っており(http://www.mitsuhashitakaaki.net/2013/09/25/korekiyo-63/)、三橋氏は中野氏の新自由主義批判イデオロギーに乗せられてしまい、法人税減税反対という結論先にありきで思考してしまっているのではないか。そして安倍批判に向かってしまう。
 三橋氏は法人税を減税して外国からの投資を呼び込むことを嫌う。「世界最大の対外純資産国で、国内に資金も、企業も、技術もある先進国である我が国が、なぜ発展途上国のごとく「外国企業に投資して頂く」必要があるのか意味不明なのでございます」とのことだ。本当に「意味不明」なのだろうか。わが国の財やサービスの生産力が増えること自体、利益だろう。また、外国企業が日本に進出すれば、日本人が雇用されるため、雇用の確保にも役立つ側面がある。トヨタはなぜ米国で現地生産をすることになったのか。米国の雇用を守るためではないか。あと、なんとなく疑問なのだが、法人税率が中国や韓国より高いことは何も問題ないのだろうか(http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/084.htm)。
 三橋氏は、グラフを使った視覚的にわかりやすい経済解説が売りだが、この頃、国土強靱化推進のために、グラフを使った悪質な印象操作をしているという批判がされているところでもあるhttp://ameblo.jp/akiran1969/entry-11877853353.htmlhttp://ameblo.jp/akiran1969/entry-11878473404.html)。
 そのうち、安倍政権のロボット技術開発推進は雇用を奪うから反対、などとマルクスみたいなことを言い出さないか、冷や冷やものである(http://pointmile.com/robot/marukusu.html)。
 三橋氏は、ミクロ経済学の視点を欠いた非現実的な国土強靱化を主張し(http://youtu.be/rzcf-TQwcMs?t=28m26s参照)、近年の研究を押さえていない金融政策無効論を主張し(http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20120802参照)、価格と物価を混同し(http://ameblo.jp/akichi-3kan4on/entry-11896627528.html)、輸入(TPP)デフレ説まで言っていた(http://youtu.be/QMSIYChQ_rA?t=59s)。アベノミクス3本の矢の批判能力が全滅ではないか。
 こんな三橋氏(および三橋氏の経済論に依拠している水島氏)が、安倍の経済政策は0点だなどと言う資格を持ち、有効な対案を示す能力があるとは、到底思えない。

 燕雀安んぞ鴻鵠の経済政策を知らんや。




 外交にしても、安倍外交は白眉だ。
 これを「まずまず」というのは信じられない。日米断交でもすれば高く評価するのだろうか。
 西村幸祐キャスターは安倍外交を賞賛する。
 西村先生は、昨年5月29日の日印首脳会談(http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/page3_000194.html#pm)について、
「日本とインドとの共同声明は、これまで戦後日本が韓国と支那と大きく関わってきた戦後のアジア外交のコペルニクス的転回を意味したものになった。」
と高く評価する(「「反日」包囲網がアベノミクスを壊す トクアノミクスの正体」(文芸社、2013年)153ページ)。
 西村先生は、安倍総理が「プロジェクトシンジケート」で発表した「アジアの民主主義安全保障ダイヤモンド」論文(http://www.project-syndicate.org/commentary/a-strategic-alliance-for-japan-and-india-by-shinzo-abe)について、
「これはつまり、法治国家ではない、中国共産党に統治された支那は完全に排除されるという戦略構想になっている。二十一世紀の「脱亜論」でもある。多少、福沢諭吉と違うのは、それが特定の国だけに向けられた、「脱特定アジア論」だということだろう。論文後半部に出てくる「日本外交は民主主義、法の支配、人権尊重に根ざしていなければならない」という一文は、明らかに中国共産党に対しての強いメッセージである。昨年十一月、国会施設の議員会館でチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ法王が演説するという画期的な出来事があったが、招致をした議員連名<ママ>の背後に安倍晋三氏(当時は自民党総裁)がいて法王と固い握手を交わした。その姿が新しい日本を予感させる象徴的なシーンとして脳裏に残ったのだが、その場面がこの論文とあまりにも一致していることに驚きを禁じ得ない。
(中略)
 いずれにせよ、この安倍首相の描く「アジアの安全保障ダイヤモンド構想」は、「トクアノミクス」に打ち勝つ大きな一撃になるであろう。」
と高く評価する(同166,167ページ)。
 意外に思われるかもしれないが、西村先生はTPPにも好意的な見方を示している。
「そして、なんと国論を二分し、ようやく交渉参加が決まったTPPにも、じつは「アジアの安全保障ダイヤモンド構想」がリンクしていると言える。
 TPPは、言葉を換えればブロック経済である。むしろ金融グローバリズムではなくて、正反対の概念である経済ブロックを形成しようとするものである。第二次大戦前、アメリカはニューディール政策によって経済ブロックを形成し、ヨーロッパも同様の経済エリアを形成した。それができなかったドイツと日本は、次第に追い込まれていって、結局、戦争に向かわざるを得なかったのである。
 TPPをそう捉えた場合、「必ず守る」と首相が宣言している関税自主権の問題や、ISD条項、金融保険の問題など、それらを対等に米国と交渉していけるのであれば、非常に大きな意味を持つものになる。
 日本の交渉参加が決定して、いままで協議していた十カ国が先に加入した優位性を主張しようと必死になっているが、中には日本の参加を喜んでいる国もある。アメリカも農産物のようにもろ手を挙げている業界ばかりでなく、自動車産業は日本の参加に否定的な態度を取り続けている。交渉次第では、予想以上の国益を生む可能性もあるだろうし、手腕が試されるところでもある。
 安倍首相は、おそらく日本を新しいキープレーヤーとして世界に再び登場させるステージを与えるという意味で、TPP交渉参加に踏み切った。日米首脳会談で、オバマ大統領との表に出てこないやりとりもあったのだろうが、そう考えると、辻褄が合う。」
とのことである(同167,168ページ)。現に、TPP参加交渉は、米国に一方的に押し切られる展開にはなっていない。しかも、単純にグローバリズムだとは言えないとのことである。
 さらに、「アジアの民主主義安全保障ダイヤモンド」論文は、英仏との連携強化を言っているが、西村先生はここを絶賛する(169~171ページ)。
「表舞台から退いたとはいえ、南太平洋地域に影響力を持つ英仏を再び壇上に上げて連携し、世界規模で安全保障を強化していく ー これは完全なる特定アジアとの決別宣言であり、いや、むしろ日本は英仏のような連合国(国連)の常任理事国と同じポジションを占めるのだと、世界のキープレーヤーになるのだという確固たる意思表示であると同時に、対米従属を否定する宣言でもある。
 実際、五月下旬のインドのシン首相との会談を経て六月七日には初来日のオランド大統領と日仏首脳会談を行い、武器装備品強力で合意した。これは日仏両国が対支那牽制で新たな協調関係を結ぶことに他ならない。半年前に発表した安倍論文のプロット通りの展開を見せていることを大いに評価したい。
 これこそが安倍首相が掲げる「トクアノミクス」に打ち勝つ基本戦略で、第一次安倍政権が崩壊する理由になった障害を、いま信じられないスピードと行動力で次々とクリアして実行している段階なのである。あまりに手際よく駒を進めているものだから、政権発足当初は「右傾化」などとネガティブキャンペーンを張ろうとしていたニューヨーク・タイムズ、ワシントンポスト、イギリスのBBCやテレグラフらの欧米メディアも、まったく騒がなくなってしまった。ただし、ここで河野談話靖国参拝云々を首相が口にすると、堰をきったようにまた政権批判が始まるのであろうが、その問題についてあまり触れないという方法でうまく対処している。
 これは後述する「日本を取り戻す」という意味にもつながるのだが、改めて「アジアの安全保障ダイヤモンド」の地図を見ると、なんと、面白いことに、大東亜戦争での日本の最大勢力圏とほとんど同じなのである。ラバウル航空隊があり、インパール作戦がインド独立支援の意味を持っていたように・・・・・・。
 「アジアの安全保障ダイヤモンド」が偶然にも日本の最大勢力図と重なるということは、実は地政学的にも大東亜戦争の理念が正しいものだったことの証明にもなる。つまり、米国によって八十年も歴史を後退させられたとも言える。しかし逆にいま、米国を利用し、かつ協調し合い、お互いの共通の利益を求めるスキームで、二十一世紀の大東亜共栄圏とも言える、「アジアの民主主義安全保障ダイヤモンド」を形成しようとしているのではないだろうか。安倍晋三氏は、とてつもない政治家ではないのか。
 あれ?安倍総理は米国に逆らえないんじゃなかったっけ(棒)
 西村先生によれば、安倍総理は外国メディアもビックリするほど手際よく外交を行っているとのこと。
 しかも、本書出版後、靖国参拝もしたし、河野談話についても作成過程を公表した(河野談合の公表)。快進撃である。なお、三橋氏は河野談合の公表に触れたがらないようである(三橋氏が支持する麻生大臣が率いる為公会の母体は河野グループ。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%82%BA%E5%85%AC%E4%BC%9A)。
 水島氏は、大東亜戦争の本土決戦に憧憬を抱くより、安倍外交が大東亜戦争の正当性を証明する意味を持つかもしれないと考えた方がよいのではなかろうか(戦線を広げすぎだという批判もあるが。倉山満「嘘だらけの日米近現代史」(扶桑社、2012年)92ページ)。
 「とてつもない」は、麻生大臣より安倍総理の方が相応しい。
 西村先生は、安倍外交には、さらに評価されるべき点があると指摘する。
 昨年12月13日から15日までの日本・ASEAN特別首脳会議である(「マスコミ堕落論 反日マスコミが常識知らずで図々しく、愚行を繰り返すのはなぜか」(青林堂、2014年)41~43ページ)。
平成24年(2012)12月26日に発足以来、第2次安倍内閣が駆け抜けてきた外交の軌跡を追えば明らかな通り、日本・ASEAN特別首脳会議は内閣、特に安倍首相の超人的な行動力がもたらした大きな成果のひとつだった。これを評価せずにいて、いったい日本のメディアは、この政権のどこを客観的な視点をもって評価できると言うのだろうか。
 再度、声を大にして言いたいが、日本・ASEAN首脳会議は、最も評価されるべき成果のひとつである。開催のちょうど70年前、昭和18年(1943年)11月に東京で開催された大東亜会議に匹敵する意義を持つアジアサミットだった。
 大東亜会議について少々説明しておきたい。それは大東亜戦争の最中にあってアジアの代表が東京に集まり、人種差別撤廃を世界に主張したアジアサミットである。
 すでに昭和16年(1941)に米英が調印していた実質的に白人主義である大西洋憲章に対抗すると同時に、日本の対米英戦略コンセプトを明らかにした会議だった。戦後歴史教育においてはこの会議の意義は抹殺され、名称すら知らされていない場合が多い。
 中華民国国民政府の汪兆銘行政院長、ビルマのバー・モウ内閣総理大臣らと並んで、インドからはイギリスからの完全独立を目指す自由インド仮政府首班のチャンドラ・ボースが参加した。大東亜会議は白人を含めない、世界初のサミットだった。昭和18年(1943)の大東亜会議で発表された大東亜共同宣言が批判したのは欧米の、アジアに対する植民地支配主義、米英を中心とする白人の帝国主義だった。
 かたや平成25年(2013)に開催された日本・ASEAN特別首脳会議の共同宣言の向かう先は、もはや言うまでもない。周辺民族を侵略し、弾圧し、領土拡張の欲望を剥き出しにしている現在最悪の帝国主義、中華帝国主義を具現化している中華人民共和国に他ならなかったのである。
 ASEANに対してもちろん支那は傍観しているわけではない。それどころか特に、シンガポール、タイ、ラオス、カンボジアの4カ国に対しては積極的に資本投下を行い、政界・財界への工作活動がそれなりに効果を上げていることは客観的な事実である。
 しかし、なかば常識的にASEANは支那のものとなったと語られる時期のあったことを考えれば、発足以来の安倍政権の外交成果は、信じられないと言った方が正直なほどの大逆転だったのである。
 こういった安倍外交の成果、リアリズムを持った戦略が、日本の内政や経済に計り知れない好影響を与えている。そして見落としてはならないのが、この安倍外交が貫徹された背景にある、支那・韓国という特定アジアの反日国家群から距離を置くという姿勢である。
 そういったパースペクティブな視点をもって安倍政権を振り返れば、アベノミクスの3本目の矢の火の付き具合がなかなか芳しくないという状況はあるにせよ、以上に述べたスピーディな外交政策のプランおよび実行と結果を見たとき、賛辞以外の何が贈れると言うのだろうか。
 こんなにすごい安倍外交を高く評価しないなんて、そんなメディア、日本にあるのかなぁ(棒)
 支那のASEAN浸食を大逆転しのにねぇ。まさか、チャンネル桜は、支那に逆らうことは高く評価できないんじゃ・・・。
 評価は人それぞれ違っていてよいのだが、「まずまず」という評価を下すのなら、この西村見解を覆す立論をしてもらいたいものである。
 米中一体化などという陰謀論を臆面もなく吐いている水島氏に、安倍外交を批判する能力はない。仮に米中一体化が事実だとして、どうやって米中離間を実現するか、水島氏から建設的な提言がなされたことはあったのだろうか。いたずらに反米感情を煽っているだけのように思う。

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<7月21日追記>



 ネットを見ていると、戦後レジームからの脱却を目指してよく考えられる保守的な人々が、チャンネル桜から離れていっている。
 YouTubeのチャンネル登録者数も15万人台で足踏みであり、KAZUYAチャンネルに抜かれた。
 チャンネル桜は、物事をよく考える良質の視聴者を失っている。

 そこで、こういう言葉を思い出した。



枳棘叢中鸞鳳の住む所に非ず

(ききょくそうちゅうらんほうのすむところにあらず)

[三国志]
意味:棘(いばら)や枳(からたち)のようなトゲのある木の中には、良い鳥は住んでいない。

http://blogs.yahoo.co.jp/koumei_sting/973174.html
http://sangokukanwa.sblo.jp/article/36306534.html



 「鸞鳳」たる視聴者や、その雛・卵の視聴者が、不合理に安倍批判をする「棘」と化したチャンネル桜にはおれないのである。
 「燕雀」たる視聴者が集まるばかりである。

 水島氏は、都知事選でカズヤさんに張飛呼ばわりされたとき、自分は(諸葛亮)孔明でもあると言った。
 ならば、泣いて馬謖を斬ることも、決断すべきではないか。



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 チャンネル桜の出版している雑誌は「言」だが、その志は、果たして。