ビジネスに効くクスリ -4ページ目

ECに夢をPRに花を

わけのわかんないタイトルだが、帰りの電車の中で最近感じていることがフラッシュバックでしかもはや回しで頭の中を駆け巡った。
そして最後のワンカットで出てきたフレーズがこの「ECに夢をPRに花を」だったの。
まあどういうことかと突っ込まれると具体的に何かを考えているわけではないのですが、こういう思いはいつも抱いてるってことなんですね。

ECって専業でやっているところはさておき、メーカーのECには「夢」がないと感じる。
みんながそうと言うわけではないのですが、会社の中での期待値があまりにも小さい。ECをやるということは、品揃え、企画、売場作り、顧客対応、受注オペレーション、アフターサービスなど、実店舗に必要な要素をすべてやるということなのです。それを理解していない経営が多い!

自分のところの商品は売れる!と思っている経営は、ECを作れば放っておいても売れると考えている。これ、嘘のようなホントの話。あとは営業部隊のフォローサービス的位置づけ。
エンドユーザーに商品を買っていただくということがどんなに難しいことなのか理解していないというわけだ。

お客さんが知りたい、見たい情報はEC(というかサイト)に集まってくる。経営にとってどれだけウェブが大切な存在かをまだ理解していない経営層は意外と多い。
メーカーが直販するECは一般的に粗利率が高いと言われる。流通との軋轢などストレスの溜まる話は多いだろうが、顧客ニーズは間違いなくウェブに偏っていると思っている(購入チャネルという意味で)。

粗利率の高い通販チャネルはヘタをすると、他部門の利益を凌駕するパフォーマンスを出す可能性だってあるのだ。小売店においてどう逆立ちしたって実現できない表現や異業種とのコラボだって可能性はある。
会社の中でEC(通販)のグループにもう少しスポットライトを当ててあげたい。私は本当にそう思ってる。ECチームのスタッフが他部門に頭を下げて、商品確保をお願いしたり、営業の陰で遠慮しながら運営している姿なんてみたくないのだ。
中長期的に見て、会社のパフォーマンスに貢献するのはどちらか、よーく考えていただきたい。

ECに夢を、というのは会社を支えているのは自分たちだよ、ということや楽しい商売はすべてこのチャネルにあるという自信を持ってのぞんでほしいという願いなのだ。

次にPRに花を。
これは、PR担当のストイックなまでの陰なる活動を実際は社内の人間が理解していないことが多いということ。華やかな面がクローズアップされることは確かに多いのだが、それ以上にPRスタッフは見えないところでの努力を重ねている。
人間力は必要だし、人脈をつなぐ地道なコミュニケーションは、ポっと出の新人なんぞに任せられる事ではない。何より個人の信用力というものが問われる仕事なのだ。

花を、というのはそんな地道な活動をたたえ、ねぎらうのに時には「花」を差し上げたいという気持ちからだ。

まあ、ECもPRも仕事は本来地味なもの。
周りの理解や協力なくして成果を成し得ない仕事である。

だからこそ、夢をもって取り組み、花をもって労いたいとおもうわけだ。

幸せの新しいものさし-読了

丸善オアゾの松丸本舗でゆるりと散策していたときに買ったもので、半年ぐらい前に発刊されたものだが、正直タイトルに惹かれて買った感じかな。CDのジャケ買いに似ている。

で、内容はというと「幸せはお金じゃないよー」とでも言うのかな。
幸せの価値尺度はもう「古いものさし」だけでは測れなくなってきていて、「新しいものさし」を見つけ、探り当てた人たちが古いものさしにはなかった新しい価値観を市場に与えているという話が詰まったものだ。

本書で紹介されている「新しいものさし」を作った11人は、何も全員がずば抜けたクリエイターとかじゃない。ある種、自分の好きなスタイルの中から素直に思っていたことを実行にうつし、それまで職場の中にあった「古いものさし」からうまく転換することができた方ばかりといっても過言ではない。

私自身、生活者にとって何が本当に必要なのか、どうあえば喜んでもらえるのかを素直に見続けるとそこに自ずと答えがあるのではないかと考えさせられることはある。。。

もちろん読んだからわたし自身のものさしが急に新しくなることはないのだが、やはり「この仕事のゴールはっこなんだから、絶対こうあるべき!」とか「この商品はこれこれこうなんだからこうやって売らなければいけないんです!」ってなことをずっとやっててもみんな幸せになれないだろうな、と思うきっかけにはなるでしょう。

ただ、博報堂大学・幸せのものさし編集部っていうのはちょっと嫌だったりするんだけど。
博報堂さんが嫌いなわけじゃなく、価値尺度を変えましょうと広告会社が本を通じて言ってるのはなんだろな、と思うだけ。

幸せの新しいものさし/博報堂大学幸せのものさし編集部

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因縁

連休明けの週初めに急遽叔父が亡くなった。64歳だった。
昨日、告別式に参列するため早朝から神戸へ向かった。
どうしても避けられない会議があったため、告別式と火葬場で最後のお見送りだけで失礼させていただいたのだが、少しの間でも叔父と会うことができて本当によかった。

寒かったが、すばらしいお天気で、会場だった舞子駅からの明石大橋もキラキラしてたなあ。
$ビジネスに効くクスリ-明石大橋

その葬儀で不思議な因縁を感じたのだ。

叔父の長男(いとこ)を見てびっくり。
私が叔父とよく遊んでたころの顔にそっくりに思えたのだ。
叔父はヨット乗りで夏になると自分が住んでた姫路からヨットで四国高松に渡ってきた。
その叔父が婚約して叔母を連れて高松に遊びにきたときの顔。
その顔にいとこがそっくりなのだ。

確か30年以上前だから、その当時、叔父は31か32歳、おばは23か24歳。
そして食事時に何気なくいとこにたずねてみた。
いくつになった?

32歳。
おお!やはり私の記憶に残っていた叔父の年齢とほぼ同じだったんだ。
なんか妙な因縁を感じずにはいられなかった。

私は叔父とよく似てると言われていた。
そうだよね、叔父とか叔母に似てるってよくあることだ。
ということはいとこも年を重ねてくると私と似てくるかもしれない。

おまけ。
今日、その私の叔父と遊んだことがある旧友から「昔の写真」が実家から見つかったと言って小学校6年生ぐらいの私の写真をスキャナで取り込んで送られてきた。

実は私、学生自分から必ずワードローブにUCLAのTシャツかスウェットを持っている。
去年もNIKE製のUCLAのTシャツを買っているw
そして、今日送られてきた私の小学校時分の写真にうつった私は「UCLA」を着ていた(笑)
これも因縁なんだろうなあ。

合掌。

ソーシャル・ネットワーク試写会に行ってきた

9日のとっても天気が良い日曜日。
お昼前に神田明神に初詣に行き、その足で日経エンタテインメント主催の映画ソーシャル・ネットワーク試写会に行ってきた。

ソーシャル・ネットワークは、Facebookの創設者「マーク・ザッカーバーグ」がハーバード在学中にFacebookを立ち上げた当時の話を彼自身が訴えられた2件の訴訟を通してスキャンダラスに描いた実名ドキュメントと聞いてました。

しかし、私自身はこの作品が訴訟をテーマにした映画ではなく、実は青春群像劇だったと感じています。15日から公開ということなので、あまり書きたくはありませんが、Facebookという化け物のような巨大ソーシャル・ネットワークもそのコトの起こりは人間臭い感情からにほかならないということを垣間見ることができて、少しホッとしたような気がした。

また主人公マーク・ザッカーバーグの描かれ方は、見方によっては何とも子供でエゴの塊と見えてしまうのかもしれない。
しかし、クリエイターとしての強い信念があり、考えにブレがない。純粋に自分が追い求めている形に突き進んでいたかっただけ。私にはそう思えた。
ソニーだって、パナソニックだって、Appleだって、マイクロソフトだってみんなスタート地点のあたりはこんな感じだったんじゃないかな、と思ってみたり。
120分を少し超える尺だったと思うが、退屈することなく観られた作品だったかな。
カメラワークとかBGMの使い方は非常に気に入った。

本作のフライヤーに載ってたニューヨーク誌の評価、私自身の評価はこれに近い。ローリングストーン誌とフィルムコメント誌は言い過ぎだろう(笑)

「今世紀を代表する1本が遂に出た!」
ピータ・トラバース(ローリングストーン誌)

「最先端カルチャーをみごとに描き出した傑作」
マーク・ハリス(ニューヨーク誌)

「フィンチャーが再び送り出した、こころに残る知的エンタテインメント」
スコット・ファウンダス(フィルムコメント誌)

おまけ。
・製作総指揮ケヴィン・スペイシーとはあの俳優のケヴィンなのかなあ?誰か知ってたら教えてほしい。

・マーク・ザッカーバーグの親友で共同創業者のエドゥアルド・サベリン役のアンドリュー・ガーフィールドはいいねえ。

恭賀新禧

大晦日から台湾に遊びに出かけたため、ご挨拶が遅れましたが、新年あけましておめでとうございます。
三が日が終わるまでにはと思ってあわてて更新してますw

2011年が始まりました。
昨年はいろんなご縁から、種まきっぽい一年でしたが、今年はぜひ恩返しをできればと思っています。
個人的にはこれまでできなかったことにどんどんチャレンジしていきたい。

今後ともご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
$ビジネスに効くクスリ-恭賀新年

3泊4日で訪れた台湾。
7年ぶりでしたが、確かな成長の跡と日本を脅かす成長力にかなり刺激を受けました。
やっぱ海外はいいですね。
リフレッシュされました。

そうそう、台湾に進出する加賀屋旅館の広告を台湾新幹線に備え付けの雑誌の中で発見。
知人のホテルマンも注目しているそうです。
日本企業もがんばってほしい!
$ビジネスに効くクスリ-加賀屋

今年の自分を漢字一文字であらわすと「会」だったと思う

今年最後のエントリー(となるはず)。明日から逃亡するからね。

大掃除が終わって今年一年を振り返ってみた。
自分自身を漢字一文字で表すならどうだろうと、よくあるWebサービスみたいなことを考えてたんだけど、いくつか当てはまる漢字はあるものの、あまり明るい文字が浮かんでこない(苦笑)
「忍」とか「考」などが実態には合ってるのかもしれないが、手帳を見返してみると、今年は実に多くの出会いがあった。公私にわたって多くの会にも積極的に参加した年だった。

だから漢字一文字で表すと「会」なのかな。

今年ご挨拶させていただき名刺をいただいた方の人数が218人。
多いか少ないかはわからないけど、自分の記憶では過去最高に近いかもしれない。
仕事上のつながりや以前からお世話になっている方々との交流はもちろん、ずっとお会いしたかった方との出会いや久しぶりの再会も今年は実に多かった。自分自身の視野の狭さや見識の浅さに発破をかけられる方々が多く、良い刺激を受け続けた一年だった。
本当にすべての方に感謝したいと思っています。

来年2011年は今年受けた刺激や感じたことを実践に移す年だと感じています。
映画マトリックスの中に登場するモーフィアスは「道を知ることと実際に歩むことは全然違う」と言ってたが、本当にそう。どんな業界・業態にも言えることで特に私が軸足を置いているECやウェブ関連の世界では「習うより慣れろ」なのです。

大げさかもしれないが、座学で得た知識は実践を伴わなければ身につかないため、放置しておくと何の意味もなくなるわけだ。
早く実践して、早く失敗する人が伸びると思ってる。
多くの人が成功した後に同じやり方で恐る恐る実行に移して成功したとしても評価してくれる人は少ないはずだ。もちろん失敗するよりは良いんだろうけど(それじゃあ面白くないよね)。

これまで私自身を支えてくれた多くの方々に感謝しつつ、来年は恩返しができるようになりたい。これが偽らざる気持ち。

みなさま、どうもありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。

(おまけ)
せっかく今年をあらわす漢字一文字をまじめに考えてみたので、おふざけの方も残しておきたい。

ツイッター診断メーカーで今年の自分を表すと、
≫onisatoを漢字75文字で表すと⇒愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛好人類 http://shindanmaker.com/18312
「愛」しているのか「愛」されているのかわからないが「愛」は好きみたい(笑)

もうひとつ。
今年の一文字(郵便年賀.jp)によると、twitter上で一番つぶやいた文字は「大」だったそう。
$ビジネスに効くクスリ-郵便年賀

あんまりピンと来ない結果だったなあ。

では、みなさま良い年越しを!

鍋というメニュー切り口でスーパーはもっとクロスセルを考えなきゃいけない

今年の冬はあたたかい。今日(12/20)など昼間はコート着てたら汗ばむほどだ。
それでもやはり季節は冬。内メシ、外メシ問わず、鍋、おでん、フォンデュなどカラダ温まるメニューは冬の定番だと思う。

このところのお鍋を取り巻く環境でもっとも変化したと感じるのは、鍋用スープ(鍋の素)がいろいろ発売されていることだ。エバラ、モランボン、ダイショーといった調味料メーカーから最近ではカゴメまでトマト鍋用スープなんて出している。
この手の商品が出たせいで下ごしらえからきっちり行うという行為を日本人から奪っているのではないかという議論はさておき、たいていのスーパーでは、この季節、鍋用スープなどをガツンとコーナー設置し、「今夜は鍋!」のようなノボリを掲げていたりするものである。

ただ、その多くはとても中途半端なコーナーなのだ。

週末、実際に地元スーパーを3店ほどのぞいたのだが、この冬の風物詩と言うべきコーナーには
・鍋用スープ(鍋の素)
・一部の具材(生鮮ではないもの、こんなのを鍋に入れるとおいしいかも的な提案)
・土鍋
土鍋を置いてるところは1店舗のみ。
そのほとんどは具材と鍋用スープのみの展開ぐらい。

これ、残念ですよね。

「今夜は徹底的に鍋三昧!」などのノボリを掲げるとすれば何が必要だろう。

「鍋」は冬のメニューの王様だ。
思い浮かぶものをざーっと書き出すだけでもこんなにある。

・食材だけでも肉、魚、白菜等の野菜、きのこ類、マロニー等の乾物、豆腐、すきやきなら麩など、ご家庭によってはまだまだ入れるものがあるだろう。
・調味料(鍋用スープ、七味、一味、ゆず胡椒など)

あと思い浮かぶものは、
そう、アルコール。ビール、ハイボール、缶チューハイなどなど、お父さんに限らず鍋をつついてグビグビっと行きたいものだ。

と、ここまでは胃袋に入っていく食材・飲料だが、鍋をやるのに欠かせないものはほかにもある。
実際の例でも挙げたが、鍋はやはり土鍋で食べたかったりするもの。そして、キッチンのコンロで鍋を作ってテーブルに運んでくるというよりは、やはりカセットコンロでグツグツ炊きながら、はふはふといただきたいものだ。

そのはふはふを体験するにはカセットコンロとガスカセットが重要なのだ。
コンロはさすがに持っているかもしれないが、見落としがちなのはガスカセットのほう。

スーパーに行ってから献立を考えるとき、「あ、今夜はお鍋にしよう」と思ったら、食材は自分の頭の中のイメージでなんとかなるもんだ。
でも「あれ、コンロのガスって残ってたかしら?」という人は意外と多いのではないだろうか。

食材や飲料は売り場がきちんとあり、お客さんもそれぞれどこに行けば何が置いてあるかすぐにわかる。それにスーパーにはスーパーの導線設計があるだろうから、鍋やおでん、フォンデュなどとメニューごとに売り場を作るのはかえって非効率なことはわかる。

だから、生鮮食材抜きで「今夜は鍋」コーナーを作るのであれば、土鍋やカセットコンロ、特にガスカセットはその売り場に置いていてほしい。
ガスカセットは家に余っていようが、3本セットを追加で買う可能性があるからそれだけで500円以上の単価アップが実現する。

実は昨年だったか、ガスカセットだけを求めて近所のスーパーに行ったのだが、入店後まっさきに向かったのが、その鍋用スープが置いてるところだった。でもなかった。置いていてほしいというところになかったのでガッカリしたのを覚えている。

次は飲み物。鍋の季節にイチオシのビール、発泡酒、缶チューハイ系の飲料をコーナーに併設するのが良いと思う。キムチチゲ鍋をやろうと思ってたら、間違いなくビールが飲みたくなるはずだ。
お酒を飲まない奥さんが鍋を選択したときに「あ、お父さんにビールも」と連想しやすくなるかもしれない(勝手な想像w)。

こういう売り場の作り方ってECなら簡単にできそうだよね。
鍋特集というランディングページは作りやすいし、鍋というディレクトリに食材、飲料、道具をぶらさげることができるし、詳細ページへのレコメンドが設定しやすい。

と、思って、ヨーカドーのネットスーパーを見てみたのだが、何にもやってなかった(笑)
この機会に「今夜は徹底的に鍋三昧!」という売り場の構築、見直してみてください。
よろしくお願いします。

「知る」ってことはとっても大切

知らないと損をしたり、恥をかくということもあるが、「知る」「知っておく」ことで別のことが見えてくることは多いと思う。
よく情報番組のタイトルや週刊誌の中吊り広告なんかでも見かける「知らないと損をする」って表現、一見、胡散臭いことも多いけど言葉だけ切り取ると知ることはよいことなのだ。

ごくごく当たり前のことなのだが、モノを作ったり、仕入れたり、売ったり、という商売上のことや新しい事業やサービスを組み立てたりすることにおいて私たちは多くのことや細かなことを知らなければならない。

・自分自身(現状の棚卸しと将来の展望など)
・自分が属する集団の現状(会社とかチームとか)
・自社の顧客
・業界の動き
・市場や消費トレンド
・自分の好きな人
・自分を好きになってくれる人

最後の方は少しふざけてるが、仕事をする上で「知る」「知っておく」ということはこんなところかな。
世の中にはデータがあふれているから調べようと思えば知ることができる。さすがに自分が思いを寄せる人の自分に対する気持ちなどは調べようとしてもわからないものだが。

個人の感情をのぞき、一昔前ならわからなかったことでも今は結構調べることができたりする。
たとえば、ブログやTwitterからキーワードを探したりすることはそのひとつ。

世の中便利になったもんだ。
「今」を知る、「深く」知る、「旬」を知る、「周り」を知る、あれこれ企業やブランドに関して知ることができる。以前、一日中図書館にいてもわからなかったことが今はパソコンでできる時代なんだから、知ることに惜しみない努力をしたほうがいいね。

ソーシャルだなんだというより日本の消費市場の先行きが不安な件

毎日のように飛び込んでくる広告系、マーケティング系の新しい話題。
仕事柄新しいことは知っていたいし、知る必要があると思うので興味があることはきちんと拾っていくし、咀嚼もしなければならないと考えている。

twitterやfacebookでフォローしている方々がそういうポジションの方々ばかりなので当然と言えば当然なわけだが、先日「FREE」の著者クリス・アンダーソン氏の次なる著書「SHARE」の発表が行われたときなどは多くの「次はSHAREか!」的な発言を流し読みして、ああ、自分の仕事領域においてフリーミアムを実現すらしていないのにもう次の考え方に走っちゃうのか、と少しビビってしまった。

「人間って目の前にある重い真実より、先にある楽しそうなことに目を向けがち。」
これはかなり自戒を込めてそう思うのである。

メディアとかデバイスが次々と新しくなり、ついていくのが大変なんて思われている方も多いことだろう。でも、ご安心を。いくら新しくなっても食いついているのはトレンドセッターというか、イノベータ理論でいうところの先頭の2階層ぐらいまで(だと思ってる)。レイトマジョリティの方に浸透するまでには相当の時間を要するし、届かないことだってあるわけだ。そんなあれやこれやのトレンドが猛スピードで変化していることに対し、追いつかなくてもいいよって思ってる自分もどこかにいるわけです。

で、そんなことよりも大切なことは、生産したり消費したりする力が今の、そして未来の日本にあるか?ってこと。iPhoneがつながりやすくなろうとも、Android携帯が増えてこようとも、ソーシャルメディアが身の回りに多くの気付きを与えてくれようとも、Facebook人口がいくら増えようとも、日本の産業全体が沈下している現状と、少子高齢化社会の進行が誰にも止められていないことに取り組まねばみ~んなおまんまの食い上げになってしまうのだ。

日本の人口は約1億2,756万人。その中でも65歳以上人口は約3,000万人ぐらいじゃなかろうか。まさに4人に1人は65歳以上という重い事態になってくる。
もちろん、医療の進歩と仕事のやり方などが変わってきて、現在の65歳以上の方々は元気だ。
ただ、お金を持っているのもこの方たちばかり。そして使わない。
若年層はお金を持ってなくて、ただただ忙しくしている。
巣ごもりだとか草食だとか言って喜んでいる状況ではない。

このあいだ平成22年度の学校基本調査を見たのだが、数字を見ていてかなり不安になってきた。
幼稚園から高校生の在学者数の推移をみると、小学生は700万人を切っている。10年前と比べると5%減だが、20年前と比べるとなんと25%減。さらに驚くのは高校生の減少。平成22年度は337万人、10年前は417万人だから実に20%も減少。
高校生と言えば16歳~18歳。10~15年後には間違いなく消費の中心となってくる年代だ。第二次ベビーブーマー世代(俗にいう団塊ジュニア世代)は780万人ぐらいいるはずだから、なんとその世代間の消費力の差は歴然だ(いま15~18歳は約500万人だから40%減)。
消費力がないのにモノがあふれている現状をどう考える?
ソーシャルだクチコミだと言ってテクノロジーで煽ったところで消費は増えないのじゃないか。

もうひとつは日本の産業をめぐる現状と課題。
経済産業省が発表している資料(PDFが開きます)を見ていると人口の問題とともに強烈な不安が襲ってくる。特に日本という国家の競争力の低下は痛々しい。

見なきゃ脳天気でいられたかもしれないが、そんなわけにはいかないよね。何もコミットできない自分が歯がゆいが、政治が悪い、経済が悪い、会社が悪いと言っていつも他責の傍観者にならず、今の自分にできることは何だろう?という意識を持って歩んでいきたい。

なんかさびしい結びですんません。

クオカ(CUOCA)はなぜコモディティ製品をブランド化できたのか

少し前の話になるが、11月18日デジタルマーケティングNEXTという日本能率協会が主催するイベントに足を運んできた。そのときにeマーケティング協会が主催するセミナーがあり、「女性の消費行動を制するものはネット市場を制する」というセッションを聴いてきた。

法政大学の木村純子先生、アットコスメの山田メユミさん、ケンコーコム社外取締役の青山直美さん(村山らむねさんと言ったほうがわかりやすいか)の個別のお話やお三方のトークセッションを拝聴してきたのだが、いろいろと参考になるお話の中でも木村先生によるクオカプランニングさんのお話が興味深かった。

クオカは女性の手作り志向の方ならご存知のお菓子やパン作りの材料を販売する会社である。本社は四国・徳島。もともとは小麦粉の卸売。リピーターが多く、ECでも18億くらいの売り上げがある。
自由が丘にはショップも展開しており、オシャレな空間演出でにぎわっている。そのクオカさん、コモディティ商品である小麦粉をどうやってブランド化できたのか。

それは会社の営業目線から徹底した消費者目線に意識を変える改革に成功した点にあるという。
顧客ニーズを聞き、供給している企業側の「理由」とのギャップを埋めることで成し遂げてきたのだ。

見づらいかもしれないけど、以下の4つがそのポイント。
単なる小麦の販売会社ではなく、価値を認めてもらうことに成功したわけです。
先日の「モノ・コトづくりデザイン」の書評エントリーでも書いたように、消費者はスペックを求めてはいない。ベネフィットなのです。
$ビジネスに効くクスリ-表

クオカさんはターゲットとする女性にどんなベネフィットを提供できたのか。
クオカで材料を準備→お菓子を作る→食べてもらう→ご主人、子供、恋人、同僚が「このケーキ、おいしいね!」と満足する→女性として、母親として自分に自信がつく

クオカさんは徳島の企業。同じ四国出身としてとても刺激になるし、勇気付けられますね。