馬車道物語
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<馬車道の不思議少年・翔:第3話>7

進はごく自然に真理の両肩に手を当て、
さらに彼女を両手で引き寄せた。
形の上では風船を下ろせたことの祝福だったが、
実際にはそれ以上に絆のようなものが生まれ始めていた。

洋子が店から戻って二人の予期せぬ光景を見てしまった。
「あらあら、お早いこと。私も役目を果たせてうれしい。」
洋子の声に二人は我に返り、すぐ離れた。

「それじゃ私はここでさよならします。進、真理をよろしくね。」
二人は喉元まで不思議な少年の話がでていたが、
洋子に説明する難しさも感じていた。
やはり話しはしないほうがいい、それが暗黙の了解になった。
二人は洋子に深々と頭を下げ、
JR関内駅に足早に向かう彼女を見送った。

完 

<馬車道の不思議少年・翔:第3話>6

真理は少年を受け止めた瞬間に、
この子が洋子の言う不思議な少年に違いないと確信した。
少年は喜ぶ親子に風船を手渡すと、
今度は何故か進に向かって矢を射るような恰好をした。

進は訳もわからず少年のしぐさを見ていたが、
少年の放った架空の矢が自分に突き刺さったように感じた。
そしてその瞬間、不思議なことに、
真理のことを思う気持ちがパッと広がった。

これは偶然ではないと彼は思った。
間違いなくあの子が二人のキューピット役を果たしている。
そうかあの子が洋子の言う不思議な少年なんだ、
進は洋子とは違うタイミングで不思議な少年の存在を知った。

二人は顔を見合わせ思わず微笑んだ。
お互いが不思議な少年を認識したことをすでに理解していた。
風船を受け取った親子が礼をして立ち去ったのは見ていたが、
あらためて見渡すと、少年の姿もいつの間にか消えていた。

(記 原田修二)

■次回は 3/23 <馬車道の不思議少年・翔:第3話>7

 

<馬車道の不思議少年・翔:第3話>5

3人が店を出て馬車道を歩いている時に
不思議な出来事が起こった。
洋子がハンカチを忘れたとさっきの店に戻り、
再び二人に合流するまでのわずかな間のことだった。

進と真理は街路樹の下で何やら騒いでいる親子が目に入った。
子供が風船のひもを手放してしまい、

街路樹の枝にひっかかって止まっていた。
大人がジャンプした程度では届かないと思われる高さだった。
子供は親にその風船を取ってくれとせがんでいた。

二人がその様子を見つめていた時、
いつの間にか67才の少年が真理の目の前に現れ、
「あの下で僕をほうり上げてくれない?」と、ささやいた。
「それは無理よ。」と答える真理に、
「多分、大丈夫だから。」と言って、片目をつぶった。

真理はやむなくその少年と風船の下に行き、
彼を後ろから抱きかかえて思い切りほうり上げた。
すると真理の加えた力以上に、明らかに50㎝くらいは高く飛び、
見事に風船のひもをつかまえて真理の腕の中に下りてきた。

(記 原田修二)

■次回は 3/16 <馬車道の不思議少年・翔:第3話>6

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