「再会」 | 監督ブログ  wecker

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「時空警察ヴェッカー」シリーズの原作・監督 畑澤和也の個人ブログです。
現在中国広東省で活動中

…と言っても、誰かと劇的な再会をしたとかそういう話ではないです。

公開を控えた「宇宙刑事ギャバン」の話。


日本にいる間に、古いビデオテープ(本放映時録画したもの!!)を引っ張り出して約30年ぶりに「ギャバン」を観ました。(「シャリバン、スピルバン以外はDVD買ってなかった)


録画していたのは「再会」と最終回「ドンホラーの首」のみ。


久しぶりに「本当の」ギャバンに「再会」できた気がします。

「再会」は千葉真一演じるギャバンのお父さんと「再会」の話。

物語の縦軸だった「父親探し」の最終回。

あの当時のテレビ番組では考えられないが、(今でもか)」ギャバンと敵怪人のバトルシーンが無い。

Bパートはほぼ大葉健二さんと千葉真一さんの静かな親子の会話だけで進む。

ギャバンは地球人の母とバード星人の父のハーフである。

母は幼くして死に、宇宙刑事だった父は敵組織に幽閉されていた。

やっとの事で救出した父は、瀕死の状態だった。

「母さんに…見せてやりたかったなぁ…大きくなったギャバンを…今頃、悔しがってるだろうなぁ…ふたりきりで会ったりして…」

「地球は美しい星だ。一条寺民子も美しい娘だった…」

長めの回想シーンに挿入歌「青い地球は母の星」が響く。そしてその曲が終わったころ、父は静かに息絶える。

彼が生きている限り、体温がある限り、彼の体に書き込まれた超兵器の設計図が浮かび出す事はなかった。ギャバンの父ボイサーは、それを守り続ける為にだけ生き続けたのだ。


大葉健二さん自らが歌う「父よ」がラストシーンに流れる。

「この身体も勇気も貴方譲りさ。男の誇りも胸に溢れる夢も」

「いつの日か父よ広い銀河を貴方と二人で夢を描いて駆けたい」

父を「亡くして」からかかるので一層悲しみを深く感じる。

当時も擦り切れる程見た(実際擦り切れた)けど、今見てもボロボロ泣ける。実父を亡くした後だからか。


そう、「ギャバン」とは彼の父が息子につけた名前なのだ。


そうそう簡単に人に譲れるものではない。…ってか、譲っちゃイカンでしょ?


ボイサーから引き継いだ宇宙刑事としての彼の意思は、ちゃんと最終回に伊賀電=シャリバンに引き継がれた。彼も瀕死の重傷だったが、たぶん(私見ですが)ボイサーの魂が彼を蘇生させたのだ。伊賀電を新たな宇宙刑事、ギャバンを継ぐもの、「シャリバン」とするべく。

ボイサーが守り抜いた超兵器もシャリバンの母艦の主武装として装備される事になる。

ギャバンはその後もシャリバンと共闘を続け、かつての父のようにシャリバンを見守り続けた。そして最終回に「ダブル蒸着」を披露し、成長し一人前になったシャリバンと肩を並べる…。

「シャイダー」は独立した別モノとして、ギャバンとシャリバンは完全に2作でひとつなのだ!…と思う。


「ヴェッカー」に時空刑事として渡洋史に出演してもらいながら、何度も上司や隊長役で大葉健二さんを出して欲しい!と言われていた。

でも、僕は「それだけは」したくなかったし、しなかった。


それはきっと、いつか東映さんがやってくれるから…と。


これはイチファンの勝手な思い込みだけど、前回「ゴーカイVS」の時にも書いたけど、大葉健二さんが演じていても、あの人は(今度の人も)僕らが知ってるギャバンではないんだ。


宇宙刑事のコンバットスーツは宇宙でただ一人にその責任と共に与えられる宇宙最強の鎧だ。

そう量産していいものでもない。


「3人の」宇宙刑事の意思を継ぐ新たな名前と新たなコンバットスーツを与えられた若者の活躍を観たかったです。