回想のエトランゼ⑱ アルシオーネ | 監督ブログ  wecker

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「時空警察ヴェッカー」シリーズの原作・監督 畑澤和也の個人ブログです。
現在中国広東省で活動中

「上演時間が長くなるのでダメです!」

「印刷台本通りにお願いします!」

…というプロデューサー諸氏の当然の意見をねじ伏せて(笑)作った日替わりゲスト脚本。

基本、アリスインフォーマットでは「同じ役を違う(有名)有名タレントが演じてもらい、演じ分けを楽しむ」ものらしい。

お客さんにも毎回同じレギュレーションのものをお見せする、というのが演劇の基本…だというのもわかる。

照明、音響も合わせて変えなきゃいけないし、当然絡む役者の負担も増える。


でも、稽古開始後、中国で

完成台本を何度も読み直してみて、まだまだ新キャラ、新主役である「チームプレアード」の描写が弱いと思った。


それで、「付け足した」のがゲスト台本です。

完全日替わりに出来なくて残念。僕の中では「リタ専用」そして「コルネイユ専用』台本もあったんだけど。


すべてそれぞれのヴェッカーの過去にだけ存在する。

演劇で回想シーンをやるのはこれまたタブーだという。


だからやってみた(笑)


自分の中でのタブーも破った。ヴェッカー役は違う役者には演らせない、という。

時空刑事アルシオーネ。合計3人が同じ役を演じた。


森田涼花さん
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奈津子&亜希子さん


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時空刑事アルシオーネ(本名星川茉莉依)。かつてのプレアとリタの同僚。

女の子戦隊的には主人公カラーであるピンクを与え、本来なら主人公だったアルシオーネ。

プレアデス星団でいちばん輝く星、だしね。

ヴェッカーの基本テーマのおさらい(初めて見る人にはこういう話だとわかってもらう)エピソード。


優秀な時空刑事でありながら、目の前で大勢の子供たちが死ぬのを見て、それを止められない、止めてはならない時空刑事の任務に疑問を感じ、「そんな事わかってて時空刑事になったはずでしょ?」と問うプレアに「教えられて知っているのと自分で知るのは違うんだよ!」と答え、子供たちを救おうと時空犯罪を犯す…という役柄。

最終的にはプレアのクロノブラスターをアレスト(逮捕)モードから殺傷モードに密かに切り替え、親友プレアに「背中から撃たれて」死ぬ。


この難しく濃密(冒頭にアクションもある!)な役柄を、3人それぞれの解釈で演じてくれました。


森田さんは「シンケンジャー」のイメージがこのブログ読者さんには強いと思うけど、もともと「本編の」主人公ヴェッカーにしようとしていた方。(リタ役ではないよ)

現在撮影中の(情報解禁されたら奇跡のコラボ!と思わせるハズの)映画撮影ともろ被りのスケジュールだった為、完全に諦めていた(ので、リタ主人公の現在のチームになりました)んだけど、「ゲスト出演ならなんとか」という事で撮影の合間をぬって出てもらった。


もちろんお会いするのは初めてだったけど、台詞を覚えるより、役を理解する、役を掴む方が大事、と思っていたようで、自分の中でかなり試行錯誤していたよう。

ホントに短い稽古時間にも関わらず、アクションもソツなくこなしてました。

彼女なりの空気感で不思議な雰囲気をまとったアルシオーネになったと思う。



亜希子&奈津子さんは元SDN48の双子アイドル。

「長い夏、短い秋」と覚えてください、と本人たち談の通り、長い髪の方が奈津子、短い髪の方が亜希子。

それぐらいそっくり同じ顔のお二人。

でも、稽古してみたら、二人でまったくお芝居が違う!

別人(お二人も別人ですが)である森田さんが演るより違っていた。


元気で明るく、自信満々な亜希子さん、しっとりして、感情表現が細やかな奈津子さん。

同じ台詞を言ってるのに、動きが全然違う。

合わせて絡むリタとプレアの動きも変わった。

これが同じ役を複数でやる面白さか!と初めてわかった(笑)。


しかし本番直前に「風疹」にかかり、お二人とも出演が絶望的になった。


本番当日、奈津子さんだけがなんとか舞台に立てるぐらいに回復し、「妹の分まで頑張ります!」とふらふらしながらも立派に難しいアルシオーネを演じてくれた。

二人ともレギュラーのみんなと同等に、いやそれ以上に役を愛してくれていた。

亜希子さんの悔しさを思うと、今でも泣けてくる。

舞台に立つ奈津子さんは、まるで亜希子さんと融合したかのように、細やかで繊細でありながら大胆で買活発なお芝居を見せてくれた。


プレア、リタもものすごく熱の入ったお芝居をしてくれた。


全編の中でも思い出深い、いいシーンになったと思います。


奈津子さんが演じるアルシオーネも、いつか見られますよう。