グローバル化経済の転換点
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タイトルと副題を反対に付け替えた方がよかったんじゃないかな。
★★
熱帯の夢
![]() | 熱帯の夢 (集英社新書 ビジュアル版 14V) (集英社新書ヴィジュアル版) 集英社 2009-08-18 売り上げランキング : 300749 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
アハ脱税脳には用はないのだが、コスタリカ旅ものらしいから、読んでみた。どうもベテランの動物学者にくっ付いていった旅の様だが、集英社の担当者は同行するわ、写真家は同行するわで、日系旅行会社の「専用バス」で全行程を廻るという茂木ツアーとなった様だ。養老に感化されたのか知らんが、茂木は虫穫りもやっている様で、標本を作ろうとしたら、白人に野蛮だとか怒られたなんて話をしている。動物愛護だか希少生物保護だか知らんけど、キリスト教狩猟民族の生類憐れみ令は虫にまで及んでいたのか。もっとも、この場合、日本人=捕鯨=野蛮ということで、反射的に攻撃してきたのかもしれんが、似非エコ白人の連中はアマゾンとかコスタリカといった自分のテリトリーだと思っているところに、日本人などが入り込んで来る事自体が気に食わんのだろう。これも脳のカルマなのか知らんが、数年で5億だか10億だかを稼げる仕事をしていれば、そんな横暴など貧者のひがみにしか聞こえんかったのかもしれん。ところで、suaveを「スアーブ」として、「ちょっと」という意味だとしているのだが、これってコスタリカ弁?日本人留学生や在コス20数年という日本人社長が通訳として付いていたのから、アハ脳翻訳ではないと思うけど。
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強面国家・北朝鮮の化けの皮
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著者は毎日の元ソウル特派員で編集委員だそうだが、このタイトルと中身のギヤップがスゴいな。ソウルにいたのは90年代前半だから、重村よりは後なのだが、北を視る目が「小泉訪朝」前と変わらない感じ。重村ほど特化せよとは言わんが、サンデー毎日経由ソウル特派員など経歴が似ている鈴木琢磨の足下にも及ばない。簡単に近況をおさらいした後、自分が訪朝した時に見聞したものを写真とともに並べてあるだけなのだが、「化けの皮」の上面だけ見て喜んでいる「北マニア」以上でも以下でもない。その意味では、化けの皮の中身を謳っていないだけに、タイトルとしては間違ってはいないが。著者は外貨商店で、ブラジャーを売ってるのを発見して悦に入ったりもしているのだが、近づいて写真に収める勇気もなかったとのことで、これが宮塚教授だったら、躊躇無く購入していただろう。まあ空港で毎日記者がブラジャーを没収とかになれば、恥ずかしいことは恥ずかしいけど、爆弾を持って帰ろうとした記者もいる「変態新聞」に、失うものなど何も無いはずだ。ちょっと気になったのは平壌外国語大学の日本語学部が廃止されたのは、日朝関係悪化で日本語を希望する学生が激減した為としている点。ちょっと前の中国でも学生に選択権はなく、勝手に配分されていたというのに、北朝鮮の学生にそこまで自由意志が認められているとは思えんな。もっとも金賢姫がそうだった様に、将来、外国との接触が多くなる平壌外国語大学は幹部の子弟しか入学を認めないということなのかな。それなら日本プロパーになっても、今の所、国外に出るチャンスはまずないだろうから、アフリカでも駐在チャンスがある英語とか仏語の方に希望が偏るのは当然か。90年代くらいまで、中国の大学に留学して日本語を専攻する北朝鮮の学生が結構いて、わりと自由に日本人教師や日本人留学生とも交流していたのだが、そういう光景はもう見られないのかな。
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アイルランドを知れば日本がわかる
![]() | アイルランドを知れば日本がわかる (角川oneテーマ21 A 101) 角川グループパブリッシング 2009-06-10 売り上げランキング : 4568 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
著者は前駐愛大使ということで、大使ものの系譜に連なるのだけど、退任記念の一書ではなく、現在内閣官房副長官補ということで、バリバリの現役。これを名刺代わりに大学へ再就職する必要もなさそうだ。その国のプロパーでもないのに、分厚い歴史書を認める元大使もいたりして、公務の傍ら、勉強していることは窺わせるのだが、考えてみれば、主要国以外の任地では大使も一種のサバティカルみたいなもので、任地国についての英文歴史書の1冊や2冊を熟読する事も大使の仕事の一つであろう。巷の海外事情本もそうしたタネ本に自分の経験を加味したもので出来上がっているので、大使ともなれば、その国についての本を1冊仕上げることは日々の積み重ねの結果なのかもしれない。この著者が言う通り、アイルランドを知れば日本が分かるかどうか知らんが、鳩山友愛政権の下、日本の外政を担っている著者の記述の中から、気になった点をあげると、アイルランドと英国の関係を韓国と日本のそれに準え、英愛関係がほとんどわだかまりまく進んでいることを指摘する。これに関し、800年もの長期に渡り、アイルランドを支配し、なおかつ現在国土の一部に支配権を有している英国はアイルランドに真摯な謝罪や賠償をしたのであろうかとする。答えはもちろん否である。それどころか英国はかつての村山発言の様な踏み込んだ発言などもしたこともなく、そんな意思もなければ、それを求める空気もない。韓国では日本もかつての「日帝時代」から「日本強占時代」に格下げになったが、これは日本に併合されたのではなく、あくまで占領されたとすることで、日韓を英愛でなく、韓国人が大好きな独仏に準えて欲しいという意味も込められているのだろう。当時も今も韓国をフランスの地位に押し上げるのは無理もあるが、所得水準で既に英国を上回ったアイルランドは韓国にとっても日韓関係を考える上で手本になるところはあるだろう。韓流とか、大学新卒の給与水準が日本を上回った(事実関係は極限られたケースであり、その後のウォン急落で消滅)とか報じられた頃から、韓国政府も自ら過去の事に固執しないとアイルランド式を採ることもあったが、結局、黒田風に言えば、日本はまだまだ韓国の元気の素となっているのは周知の通り。著者に言わせれば、英愛関係が両校でわだかまりがないのは、あまりに長期に渡る支配だっため、言語を始め同化が進んで、理解もしやすくなっているからとのことだが、それに加えEUや英国内はもとより、本国の十倍以上に達するアイルランド系在外人口の存在もあるのだろう。鳩山友愛が進める在日韓国人を主たる対象とした選挙権交付や、東アジア共同体に著者がどういう意見を持っているのか知らんが、アイルランドのケースは是非とも参考にすべきだろう。
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ロマンポルノと実録やくざ映画
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ポルノとやくざというより、B級邦画全般事典みたいな。
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世界一幸福な国デンマークの暮らし方
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気のせいかもしらんけど、フォントも行間も通常より大きめで、紙幅を余ってたのかな。著者は60年代にシベ鉄で北欧入りして居着いた人らしく、典型的なオールド北欧教信者っぽい。何とかという向こうの運動家を冠した財団を主宰しているらしい。「幸福の国」というと、今はGNHのブータンにそのお株を奪われた感じだが、こちらは官製ではなく、「世界幸福度ランキング」という国民が「幸福です」と答えた割合が世界一という国なのだそうだが、2位はプエルトリコは国でないけど、まあいいとして、3位はコロンビアか。日本は42位ねえ。韓国(62位)より上というのは意外だが、イギリスの心理学者が選んだ経済状況、教育、医療を基準にしたランキングでもデンマークが1位なそうな。しかし、日本が178カ国中90位って。イギリス人の性格の悪さが良く表れた調査なこと。そんなこんなの説得力の無いデータだから、デンマークが世界一幸福な国だというのも怪しいところだし、イスラム諸国は納得がいかないとも思うのだが、こういう信者の書いたものを読んでると、何だかデーマークが北朝鮮の様な国に思えてくるから、あら不思議。さすがに60年代に横浜からソ連を経由してたどり着いた北欧は日本人青年にとってまばゆいばかりであったろうが、この情報過多の時代にあっては、こう「地上の楽園」を宣伝されても胡散臭く感じてしまう。よく言われていることだが、北欧の高福祉は「働かざる者、食うべからず」の思想に支えられている。その観点により、著者はニートとか失業者、生活保護、モラトリアムなどを非難する一方、日本の格差社会を批判しているのだが、これなど湯浅誠とか雨宮などと討論したら議論が噛み合んだろう。国が小さく、人口も少なければ、何がしらの職を全員に用意することは可能なのかもしれないが、日本はそれをすると経済も衰退してしまうだろう。各章に挿入している童話は全然、教訓になっていない気もするが、テストの採点は他校の先生が行うという政策だけは良いかなと思った。
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反日、暴動、バブル
![]() | 反日、暴動、バブル 新聞・テレビが報じない中国 (光文社新書) 光文社 2009-09-17 売り上げランキング : 6382 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
著者は出版社に企画を出してから、取材を始めることはないらしい。ビザの関係もある様だが、とにかく友人に会う旅のスタイルで取材するとのことだが、おかげで反日デモものが今頃になって仕上がってしまった。さすがにオリンピックも終わり、中国本の世界も「反日」の時代ではなくなってしまったので、「暴動」「バブル」を追加したといったところだが、主題はあくまで「反日」。私はこの人は「反日デモまぼろし派」かと思っていたのだが、著者なりに何年も「反日」と向き合っていた様だ。その結果はどうかというと、最後に強引にまとめてはいるのだが、本人が認めている通り、数量分析など不可能だし、中国人が反日であるという明確な答えなどないということ。読み物なんだから、どっちかに立ち位置を決めてもいいし、最大公約数を求めて良いのだが、根がマジメなのか、考えれば考える程分からなくなってしまったといった感じで混乱も見られる。私は中国人が反日だと信じている人は、ベクトルを少し親日に、中国人が親日だと思っている人はベクトルを少し反日に向ければ、現状認識が近くなるのかと思っているのだが、最近、中国がサーチナなどを使って仕掛けている「親日平和攻勢」もその法則に従ったものだろう。つまりは反日は実像であり虚像でもあるということなので、中国人自身も使い分けているものである。もっとも私なども周囲の中国人からは「中国人を侮蔑しない良心的な日本人」と思われているフシがあるのだが、あなたが友好的な中国人と思っている人間もネットで反日書き込みに勤しんでる可能性は少なくもない。その辺は臨機応変に「紳士協定」に従って付き合えば良いのであって、著者の様に「心熱くうざったく」付き合うのは今の中国人には流行らない様にも思える。数年前に、某大学の日中学生対話を見学する機会があったのだが、どうにも当たり障りのない話ばかりで、後になって両陣営に話を聞くと、日本側は中国側が戦争の話を持ち出すのではないかとビクビクしていて、中国側は日本側が中国人犯罪の話を持ち出すのではないかとビクビクしていたということが分かった。この場合、留学生だったこともあるのだが、日本を理解している中国人はアウェーの場でそう無茶なことはしない。よく中国人留学生は帰国してから反日になるというのだが、これも逆に言えば、在日中は表面的には反日ではないということである。もっとも、帰国してから反中になる日本人留学生は反日になる中国人留学生より、割合的に多い感じもする。著者は反日デモに参加する中国人も、反日デモに反対した中国人もごく一部である。老百姓が何を考えていることを知るのが大切だと言うのだが、著者の取材する中国人も、現代芸術家だったり、人権弁護士だったりで、これもまたごく一部の特殊な中国人ばかりである。モノホンの老百姓を取材しても記事にはならんということはあるのだろうが、著者自身が実のところ、中国人の老百姓には大して興味がないのではなかろうか。それは中国の「運動圏」にいる人たちにとっても同様であろう。中国人の最大公約数を新聞、テレビが報じないのは何も政治的理由ばかりではない。マスコミに求められるのは「実像」と言う「虚像」を報じることなのである。
★★★
贅沢の条件
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岩波新書にしては珍しいテーマの「ブランドの条件」を書いた人か。それが好評だったからかどうか分からぬが、その続編という位置づけのものらしい。専門のシャネル以外に与謝野晶子や白洲正子まで登場させているのだが、ブルジョア礼賛的な香りは岩波のものではないな。贅沢にも哲学があるのは貧乏に哲学があるのと同じことなのだが、自分に縁がないこともあってあまり興味が持てん。もっとも、これだけ毎日毎日、本が読めることを贅沢だと感じないこともない。それは最もカネのかからん趣味としてラグジュアリーと対極にあるものなのだが、酒を飲んだり、テレビを視たり、パチンコをしたりといった庶民の贅沢より読書の方が建設的であるという訳でもない。とりあえず、無産階級的には有閑マダムの贅沢には何の魅力も感じなかった。
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