ちゃんぽんと長崎華僑
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この長崎新聞新書は大分前に軍艦島のヤツを読んだのだが,地道に刊行を続けていたのか。地方紙も経営が苦しいところが多いと聞くが、何とか踏ん張って欲しいものである。その効果が出たのか分からんが軍艦島も観光化されたので(ほとんど自由には歩けないそうだが)、長崎新地の観光振興にも一役かってもらおうということなのか四海楼4代目に執筆の依頼が来たのだとか。このちゃんぽん、皿うどん発祥の店については全国区で有名であり、NHKアーカイブスで昭和40年代の店の様子なども視た事があるのだが、今回、四代目がまとめた一族の長崎での軌跡は非常に興味深い。斎藤茂吉や吉屋信子といった人も登場するのだが、茂吉が四海楼の長女と疑似恋愛関係にあったり、吉屋が店でしこたま酔っぱらったというのは、ちょっと意外な感じもする。著者は4代目であって、血縁的には日本人の血の方が濃いこともあるのだが、所謂「歴史認識系」の話は一切なし。日中戦争時も長崎の華僑は、帰国せず、日本の庇護のもと暮らす事を早々と決定したそうだが、その苦難の時代の記憶よりも原爆という悲劇を長崎市民として日本人と共有したという「記憶」の方が大きい様だ。二代目は現常陸宮と現皇太子である浩宮が店を訪れて,ちゃんぽんを気に入ってお代わりまでしたことを名誉にしていたそうだが、当初用意されていたフルコースは宮内庁の方から当人は学生の身分であるからということで辞退されたとのこと。著者の代になると、華僑学校に通う者も少なくなったそうだが、開校時は三江、広東、福建と出身言語別にクラスが編制されていたらしい。著者自身も中国語は喋れないそうだが、華僑子弟間の交流もなくなり、ランタンフェスティバルの前身の春節祭で知人に勧められるまま獅子舞に参加した際,初めて顔を合わせた華僑が多かったのだとか。後半は長崎華僑の祭事解説で、これは付録みたいなものか。国慶節はあるが双十節がないことで、長崎華僑の立ち位置は分かるが、とにかく政治臭のする話は一切ない。
★★★
史上最強バルセロナ 世界最高の育成メソッド
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ボージャン世代のバルサでカンテラ監督をした人が日本の高校コーチというのは割に合わない気もするが、浦和の監督だったエンゲルスみたいに高校コーチからJ監督へステップアップする者もいるから、そう空いた事も視野に入れているのだろう。スペインではおそらく、ユースを育てる仕事とトップを率いる仕事は別ものと考えられていると思うが,年代別はどうしても当たり外れがあるから、コンスタントに結果を求めるのは酷かもしれない。そんな著者からみて日本の子どもたちの才能はスペインに勝るとも劣らないとの事だが、それではなぜ日本にメッシが出て来ないのかということになってしまう。体格的にはバルサの選手と日本の選手は大差ないという事はよく言われることなのだが、著者は一流のサッカーが身近にある環境と,年間の試合数が違うと言う。「練習試合」などという言葉が端的に示す通り、たしかに日本の部活動では試合より練習がメインといった空気があるのだが、そうなると選手は試合を見据えて練習するのではなく、練習でアピールして試合に臨むという本末転倒になりかねない。こどもには勝ち負けに拘らない「スポーツ精神」に則った指導をしている様では「世界」との差は広がる一方だろう。
★
教育の職業的意義
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本田由紀は一度でも単純労働に従事した事があるのか?
★★
実践・老荘思想入門
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この手の本はナンボでも出ているのだろうが、1975年の本を加筆改題とは酷いな。もうマトモな中国ものを書けない中島嶺雄がリサイクルした本は80年代のものだったが。激動の1976年の前年か。当時の中国イメージは絶頂とまではいかなくとも、今とは比較にならないくらい良好で、ナマ身の中国人(大陸人)など誰も知らない時代だったから、中国人は大人だなどと思われていた頃。実際はかの地で批林批孔を実践していた訳だが、老荘は孔孟の儒家に噛み付いた道家だからOKということだったのだろうか。それでも35年前の老荘思想の本が改題で新書として使えるというのは日本にあって中国に無いものか。例として角栄とか大屋晋三とか、出光佐三なんかが登場するのも時代を感じさせられるが、現代中国人で登場するのは角栄と対の周恩来ただ一人。中国文学者である著者も当時は新中国の人とは付き合いもままならなかったのだろうし、あってもこの専門では付き合いは自粛するしかなかったか。代わりに、「華僑」の話が多いのだが、華僑は信用した人に騙されても、黙ってその人脈から名前を消すだけで、他の人にその相手の悪口など言うこともなく、聞かれればいい人だというだけだという逸話が何回か登場する。その「華僑流」も今は昔といったこともないのだろうが、大陸の人と「華僑」を比べるとやはりその辺が大きく違うのかなという気がする。在日中国人の足の引っ張り合いは日本人の想像を超えるものがあると思うが、厳しい生存競争を戦って来た彼らもようやく老荘思想に理解を示す時代にはなりつつある様だ。
★
国際協力と学校
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「アフリカにおけるまなびの現場」という副題が付いていて、著者も岩波ジュニアの「アフリカのいまを知ろう」の編者であるのだが、アフリカについての具体的な事例はあまりなく、国際教育学についての総論が大部分。何の為に教育を受けるのか、学校で教わった事は社会で役に立つのかといった疑問は普遍的なものであるのだが、その問題は教育収益率として数値化されているらしい。アフリカにおいては高等教育の私的収益率が高いらしく、そうなると中等教育で職業教育を施しても当人の収入増加には大して寄与しないというこれまでの教育施策を根底から見直さなくてはならない結果となる。日本では工業高校出の技術職と、文系学部卒の一般職では生涯賃金に大して違いがある訳ではないのかもしれんが、大学の数が少ない国では学位の有無が収入の増加をもたらすことがある。一方、途上国でも大学が乱立している国もあり、その場合、大学生でも就職は困難となる。著者は塾が先進国特有の現象ではないことや保護者の収入、学歴が子弟の大学進学、学業成績に大きく影響することはアフリカでも総じて言える事とし、日本特有の問題とされてきた教育問題の多くが,其の実、世界共通のものであることを示唆している。いじめも引き蘢りも、ニートもフリーターもそれが社会的問題として認知されているかいないかの違いであって、どこの国でもある事と言って過言ではなかろう。
★★
大英帝国の異端児たち
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越智道雄が珍しく英国ものかと思ったら、先に「アメリカ合衆国の異端児たち」というのを出していて,その続編という扱いらしい。まあお得意のWASP論も、イギリスをフォローしないと始まらない訳で,その知識は付け焼き刃的ものではないのだろうが、相変わらず三面記事的なネタが多い。異端児といっても、ダイアナ、サッチャーからリテャード・ブランスンまで著名人ばかりなので、むしろ国際舞台で活躍するには、如何にもな英国紳士淑女的な人間では通用しないし、そういう人種は国際舞台で名を残す必要も無いといったところ。異端児ぶりではPCが使えないというブランスンが群を抜いている感じがするが、ダイアナはドイツ系の王室の中で、生粋の英国人ということが異端児なのだそうだ。しかし、その義父になるはずだったアル・ファイードやマードックは出自も国籍も英国ではなかろう。マードックが68歳下の中国系女性と再婚したというのは数字が違ってるんではないか。本当だったら、大変なロリコンになるのだが。
★★









