- 加藤 哲郎
- 象徴天皇制の起源―アメリカの心理戦「日本計画」
何やら少し陰謀論っぽい香りも漂うが、まあ興味深い話ではあった。
こちら
の
本に触発されて研究を始めたとの事で、研究の醍醐味である新史料発掘により、米国が日本に仕掛けた心理戦の外堀を埋めていく。著者の説明通りだとすると、
現在も日本は米国の統治装置の枠内にあるということになる。その側面は完全に否定はできないものの、いささか結果誘導の気を感じないでもない。さて、天皇
制に疑問を呈することは未だに日本の最大のタブーであり「神聖なるもの」であることには異論がないだろう。昔、中国人の教授に共産党の「抗日戦争勝利」と
いうのは日本の「天皇制」と同様、実態のない国民の象徴みたいなものではないかといった意味の事を言ったら、相手がえらく不機嫌になってしまったことがあ
る。それでも中国人が「天皇制」を批判しないのは、それが日本人の「感情」に触れるものだという理解があるのだろう。「教科書」や「靖国」が何故必要に攻
撃されるかを考えれば、同根のものがあるとも言えなくはない。この辺は日本も「感情」を「感情」で答えるのではなく、「戦略」に徹しても良いのではない
か。ちなみにこの本によれば、米国はその点をうまく突き、天皇のリベラル性を宣伝することにより、それに反する軍部と国民の分断を図ったらしい。なるほど
現在の言葉に当てはめると「天皇は靖国参拝しない」といった言質で小泉を批判する勢力は怪しそうだ。
★★