- 国末 憲人
- 自爆テロリストの正体
著者は朝日記者で、なんだか安っぽいタイトルだが、これはまあまあ面白かった。元々朝日はモハメド・アタの追跡連載をやっていたので、その派生品みたいな
ものなのだろうけど、フランスプロパーでパリ特派員だった著者が興味を持ったのはヨーロッパ生まれの「イスラム原理主義者」たち。「二十番目のテロリス
ト」ムサウイについては
そのアニキが書いた本
を
前に興味深く読んだのだが、著者によればこのアニキ自体が曲者で、「まじめな教師であるフランス市民」のはずだったアニキは、その実、弟と対立する「イス
ラム原理主義」組織に属しているのだという。たしかに、母親の記述などおかしな点があったのだが、これは知らなかった。日本に潜入していたというリオネ
ル・デュモンをはじめ、元キリスト教徒の改宗組についても詳しい。靴底爆弾でアメリカン航空を狙ったリチャード・リードは当初スリランカ人とされていたが
ジャマイカ人で、ロンドン地下鉄爆破犯にもジャマイカ人がいた。そして、白人にも相当数な改宗者がいるらしい。こうした異教徒は前科があったり、アルコー
ルやクスリに溺れていた者が多く、かつてのネイションズ・イスラムの勧誘手口と似ている。また、元々イスラム教徒の二世や留学生などには、彼等が社会から
疎外されているという状態を突く勧誘がなされ、著者はこれをカルトと同じ手法としている。これは妥当かもしれない。しかし、「手相の勉強をしているんです
が」とか「絵の展覧会を見ませんか」と駅前で、不特定多数に話かけるというマネはさすがの「イスラム原理主義者」もできないだろう。著者も指摘している
が、元々敬虔なキリスト教徒や世俗的ながらもイスラム教徒の様に多少でも宗教心がないとここまで入り込めない。麻原を始めオウムもカルトからカルトへ渡り
歩いている連中が多いことが知られているが、さすがのアルカイダも盆とクリスマスが一緒に来る日本ではバカバカしくなって帰ってしまったのかもしれない。
★★★