アメリカの宇宙戦略
明石 和康
アメリカの宇宙戦略
岩波新書の何やら専門系っぽいものだが、書いたのは時事通信のワシントン支局長だった人。本人いわく、専門家ではないので、分かりやすく一般向けに書いてみましたとのこと。その意味では専門的な話というより、アメリカの宇宙戦略の背景などを時系列に紹介しており、科学オンチの私には助かったが、宇宙オタクの人には不満タラタラかもしれない。とは言っても、著者のそうした「役不足」が影響しているのか知らないが、途中で「本業」の時事ネタを延々とやったりしたりするので、「全然ウチューじゃないじゃん」と思ったりしないでもない。まあアメリカの宇宙戦略が冷戦の賜物で、ソ連崩壊を恨めしく思っているのはNASAというのは標準的な見方であることは間違いない。なるほどベルリンの壁が健在なら、毛利さんも向井さんも宇宙に行くことはなかったろうし、TBSのアナウンサーも宇宙空間で朝勃ちすることはなかったろう。その意味では「自分達の国が宇宙に行った記念すべき日に靖国に参拝するなんて許さん」なんて息巻いている国が登場したことは、人類が火星に到達する道筋を整えたと言えるのかもしれない。しかし、火星へ行くのは短くて半年、長くては2年もかかってしまうものらしい。大航海の時代ならいざ知らず、目的地まで2年です。なんて言われてしまうと朝勃ちどころじゃ済まんだろう。ものの話によると、宇宙空間で長期間生活することを想定して、地下シェルターに半年くらい男女合わせて閉じ込めるなんて訓練をNASAは行っているらしい。その実験がどんな結果になったのか気になるところだが、その点においては中国人に分があるかもしれない。
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騙すアメリカ騙される日本
原田 武夫
騙すアメリカ 騙される日本
前作の『北朝鮮外交の真実』も酷いシロモノだったが、これもヒドイなあ。在学中に試験合格し中退して外務省入りというのは、キャリアの証なんだろうけど、かといって30代半ばで自前の「シンクタンク」を作っても底の浅さは隠しようもない。アメリカに敵意を燃やしている人ということはよく分かったが、なんだかよく売れたという別の著者の文春新書の2番煎じの様な気がしないでもない。なんでもアメリカには万智万能な「奥の院」というものがあって、そこから指令が出ているのだという。ほとんどマンガの世界だが、ならば「奥の院」とやらの正体を推定くらいしてくれよ。地球上のあらゆる電話も電子メールも聞き見ることができるとのことだが、それはエシュロンとは違うのかいな。今回の爆弾テロ計画もその「奥の院」に察知されてしまったということなのか。まあ血気盛んでよろしいかとは思うけど、こう陰謀論の妖しい魅力に取り憑かれてしまうと、もう「国際戦略情報研究」なんかする必要ないんじゃないかな。
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