新書野郎 -198ページ目

華族



小田部 雄次
華族―近代日本貴族の虚像と実像
やたら内容が濃い。
★★★

ルート66をゆく 



松尾 理也
ルート66をゆく―アメリカの「保守」を訪ねて

産経の連載ものということで、著者も産経記者。だからという訳でもなかろうが、朝日が伝える「アメリカ」とはまるで違うアメリカの「保守」を訪ねる旅。産経もそこまで分かりやすくすることもないかとも思うのだが、なぜか「リベラル」の声しか伝えない日本のマスコミの情報操作が行われている以上、こうした「サイレント・マジョリティー」の声は貴重なものかとも思う。幾らマイケル・ムーアが海外でもてはやされても、国内的には何の影響力もないことは事実だろうし、チョムスキーに至っては誰それ?といった感じであろう。「リベラル」の中でもこうした極端な人たちを「良心派」としてしまうのは「反政府活動をする人」=「正義」という反米思想が根底にある訳なのだが、こうした善悪二項論では、中国が日本でやってしっぺ返しをくらっている様に、相対的なアメリカ理解を放棄するものである。この記事では「リベラル」と「保守」が相互乗り入れしていることが見えてくるし、「保守」も多層化していることがよく分かる。ブッシュがバカだと言うのは簡単だが、それではブッシュを選んだ有権者がバカかというとそういう訳ではない。散々批判される小泉がなぜこれほどまでに支持率が高いかということを考える時、マスコミや「近隣諸国」の有権者に対する愚弄も一因ではないかとも思ったりもする。それがポピュリズムで説明される限り、ブッシュや小泉を支持する人間はバカだということになってしまうのだが、ここに登場する「保守」の人たちの様に、自分の生活の安寧が基本で、他人の干渉を嫌うという傾向があることには注意すべきであろう。「反体制」が国外でしか支持が得られないというのは、自由世界では共通になりつつあるが、その「反体制」の支持を独裁国家に求める連中ほど理解に苦しむものはない。
★★

バイカルチャーと日本人



バイカルチャーと日本人
おいおい!世界は日本とアメリカだけかよ。

映画館と観客の文化史



映画館と観客の文化史

タイトル通りの新書だが、何だかやたら前書きが長い。はじめにがあって序章で40ページ。その後、アメリカ編と日本編があるのだが、アメリカ編が大体4分の3くらい。で、とりあえずアメリカ本にしておく。著者は映画批評の人らしいが、作品と直接関係ない本は初めてのこと。定石通りパノラマ館から始まっているのだが、アメリカの映画館史は栄枯盛衰がよく出ていて面白い。ニッケルオディオンの意味が分かったし、ドライブイン・シアターならぬフライイン・シアターなるものが存在していたとは驚き。なんでも滑走路を備えており、飛行機で来た観客がそのまま映画が観れたのだとか。映画を観るために飛行機を操縦してやって来る。日本ではなかなか想像し難い話だが、昔日のアメリカではそれなりに需要があったとも思える。そう言えば私の子供の頃船橋(?)の方にドライブイン・シアターがあって家族で観た様な記憶(作品の記憶が全くないので、様子見だけだったのかもしれない)があるのだが、あれはまだ存在しているのだろうか。他にも部屋の窓から映画が観れるホテルイン・シアターなんてのもあったらしい。これはちょっと体験してみたい気がする。日本編で気になったのはピンク映画館がハッテン場として生き残っているという話。これは上野の某世界系とかだけではなく、同性、異性問わずピンク作品を上映するところはそうなのだという。AVもインターネットもあるこの時代にピンク映画館が生き残っている事自体不思議に思っていたのだが、なるほどそういうことだったのか。その昔、記録的大雪の日に、にっかつ系の小屋が積雪で屋根が崩壊したなんてことがあったが、助け出された観客はあっという間に姿を消したなんて話を思い出したが、今となってみれば、大雪の日に一人で観るロマンポルノもオトナの醍醐味だったのではないかという気がする。ハッテン場というものにそういう粋な後ろめたさがあるのかどうか分からぬが、純粋なピンク映画のファンは今ではビデオや衛星放送で作品を鑑賞しているのだろうか。
★★

団塊ひとりぼっち



団塊ひとりぼっち
職業柄とはいえこれだけ自覚症状があるのもすごい。
★★

フランス史10講 



柴田 三千雄
フランス史10講

フランスの歴史を10に区切って解説を加えるという歴史ダイジェスト版なんだけど、「章」が「講」になっているだけで、意味があるのは「10」という数字だけの様だ。既刊で『ドイツ史10講』が出ているので、これからシリーズ化されるのかもしれない。著者は1926年生まれという人なのだが、この年代の人は東洋と西洋の対象性など考える必要もなく、西洋史を普遍なものとして研鑽に打ち込んでいたことであろう。その辺のことは冒頭に触れているが、自己認識として他国史を理解することは研究者にとって必須なことなのかもしれない。ということで、ケルト人、ゲルマン人、ローマ人、古代ギリシャ人らが交錯した時代から、アンシャンレジーム、フランス革命、第五共和制から現代まで幅広い(というかフランス全史)ものになっている。私は20世紀以前の歴史には全くといって興味がないので、××年に××王がなんやらしでかしたといった話が満載の7講までは退屈だったのだが、貴族制の説明は勉強になった。8講以降はフランスにおける「共和制」の意味を問いかけるものとなっており、ビシー政権が傀儡政権ではなく、右派から左派までを内包し、国民のある程度の支持を受けていたことや、野党第一党だった共産党が独ソ不可侵条約の評価をきっかけに没落していったことはなるほど。フランス共産党は元々フランス社会思想の影響力が強かったが、ソ連が乗っ取りを画策したらしい。ソ連はビシーに大使館を置いていたそうだが、これでは国民の支持も得られまい。この時期に「国民国家」としてのフランスが完成を迎えることになるのだが、その後の植民地支配のツケが現在「国民国家」を揺さぶっているのはご承知の通り。
★★

中東世界を読む 



中東世界を読む

最近は新書の創刊ラッシュで、通勤時間にほぼ一日一新書を実践している私でも溜まる一方だ。新刊全読の宮崎哲哉はどうこなしているのか分からぬが、さすがに伝統の大手以外は無視を決め込むしかないだろう。この創成社というのも本体自体あまり聞いたことないのだが、『バカの壁』級の当たりを狙うわけでもなく地味なテーマでコツコツとやっていく方針の様だ。ということで、これも新書でよくありそうな「国際情勢入門」なのだけど、これが結構イイのでちょっと拾い物。著者は紆余曲折あって大学の先生になった人みたいだが、それまでは商社のイラン駐在(パーレビ時代)なんかもやっていたとのこと。そんでもってマクロもミクロもというか、研究職一本道ではないので、学者本と駐在本の足りないところそれぞれ補って余りあるイイ感じに仕上がっている。参考文献も「庶民的」だし、基本的事項は押さえながらも小難しい概念は避け、ところどころに思い出話も挟むので、どうもアブラぎった中東情勢は苦手という人でもついていけるのではなかろうか。中東もの新書の帝王といえば宮田律先生だが、更に密度を濃くした感じ。十八番であるイラン語りでかなりの分量を占めているの、トルコからアラビア半島、更にはムスリム一般常識まで新書ながら網羅しているのは凄い。最初のデータ攻勢も数字が出てくる痛くなる私のアタマにすっと入ってきたからあら不思議。世界で所得を顕著に減らしているのは中東地域というのは意外だった。代替エネルギーの研究が進んでしまうので石油輸出国は高値を歓迎しないというのは、知ってそうで知らない理由であろう。かといって、やがて枯渇する日を迎えてしまう石油は輸出国にとって自分の血液を売って生き延びている様なものだろう。同じ資源モノカルチャー国家としてもうその日が来てしまったナウルの様な事態にはならないだろうが、あれだけの人間が遊牧民に戻るというのも無理な話だ。とにかく核だの大量破壊兵器だの物騒なものはそれまでに片付けて貰いたいと思うのは、中東全域の石油消費量を一国で消費してしまう国の人間の驕りであろうか
★★★

入門 医療経済学



真野 俊樹
入門 医療経済学―「いのち」と効率の両立を求めて
入門にしちゃあ小難しい理論が多いね。
★★

世界共和国へ



柄谷 行人
世界共和国へ―資本=ネーション=国家を超えて
これはこれでいいだろう。
★★

サッカーW杯 英雄たちの言葉



中谷 綾子アレキサンダー
サッカーW杯 英雄たちの言葉
こんなんより自分史でも書けば良かったのに。