大切に育てた子がなぜ死を選ぶのか?
田中 喜美子
大切に育てた子がなぜ死を選ぶのか?
こりゃダメ。旧態依然の日本はダメ、欧米に見習えの単純思考。どうしても欧米社会の方が日本より荒廃してるような気がすんだけど、そんなこと言ったら、発狂しそう。
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ぼくはアメリカを学んだ
鎌田 遵
ぼくはアメリカを学んだ
岩波ジュニア新書は、たまにこういう「らしくない」佳作を出してくるから侮れない。UCLAのPh.d.で大学講師という人の留学記であるのだが、その道程がまた「らしくない」もの。一言で言えば、「だからあなたも生き抜いて」とかヤンキー先生以降、類似品が多く出ている「人生逆転もの」なんだけど、別に著者がグレンタイをしていた訳ではなく、「偏差値30からの人生」ものの方(さすがに30ってことはないかもしれないが)。17歳の時、鑑真号で上海に渡るとこから話が始まり、例によって上海からロカ岬まで到達して一旦終了するのだが、この辺は途中の経路は違えど、時期的にも年齢的にも私と被るので感慨深いものの、これはただの前奏曲に過ぎない。やはり面白いのは主題のアメリカ留学記なのだが、これがホンマかいなと思うくらいの過酷なもの。前半のパッカー編が特に「苦労自慢」でもなかったので、一歩間違えば彩図社の「危険旅行ネタ」になるところが、岩波という看板にも助けられ、リアリティを感じるから不思議なもんである。これなら、エルサルで内戦を経験した人が、アメリカの方が地獄だというのも分かる気がするのだが、こんな町にわざわざ留学しに行くのも、「自分で見ないと分からない」のはあくまで理由付けであって、旅ネタの延長の様にも思える。事実、その町に肯定的なことは何も書いていない。マスコミ志望だったという著者は、将来、この本を書くことを念頭に置いていたのだろう。そういう風にみると合点がいくのだが、ネタだとしても、話は面白いし、「アメリカの縮図」をうまく描いていると思う。最終的にUCLAのPh.d.に至ったわけだから、シナリオ通りとも思うのだが、こうしたベタな感動も嫌味に感じないのは、著者が自分と言う主人公を突き放しているからであろう。主人公の成長を個性豊かな脇役たちが支えるこの物語は、かなり映画的である。直接的なメッセージを排し、人物像で語らせる点が、違和感なく読めた理由かとも思う。
★★★