新書野郎 -169ページ目

輸入学問の功罪 




鈴木 直
輸入学問の功罪―この翻訳わかりますか?
タイトル見ると面白そうなんだけど、要は「翻訳」問題。これなら副題の「この翻訳わかりますか?」の方が新書的にも、著者の言うところの「権威主義」の魔の手からも逃れられるかとも思うのだが、日頃、ジンメルやハーバマスの翻訳をやっている著者にとっては、これでも一般向けに易しく書いたものということなのかもしれない。まず遡上に上るのが「資本論」なのだが、ちょっと前に共産党員でも「資本論」を全部読んだことがあるのは半数もいないという話を聞いて、なぜか安堵してしまった私にとっては、「資本論」が直訳であろうと、なかろうと、もはや人生を左右する問題ではなくなっている。もっとも万人には意味不明だったからこそ、ホントは「無産階級」である「知識階級」が暗黒の歴史を築くことに成功したとも言えよう。その意味では、著者は向坂逸郎訳を戦前より退化した翻訳としているが、それは単に確立した「マルクス主義」を擁護する立場からの作業になったからという気がしないでもない。高畠素之という人はよく知らんのだが、教条的なマルクス主義以前の人だから、自訳の難解さを反省し改定することを厭わなかったのかもしれない。この高畠訳を河上肇が批判しているというのも面白いが、いずれにしても「資本論」がドイツ語や経済学といった本質を離れ、政治化してしまった訳を考えねばならぬだろう。著者はドイツ教養主義をそのまま輸入したところを問題にしているが、旧制高校出身の教師が主流だった著者の学生時代を最後に、日本におけるドイツ教養主義の影響はもはや、風前の灯火である。現在の「輸入学問の功罪」は英米偏重といったところにあるのだろう。
★★

歴史学の名著30




山内 昌之
歴史学の名著30

相変わらず深いな。
★★

国際協力の現場から




山本 一巳, 山形 辰史
国際協力の現場から―開発にたずさわる若き専門家たち

タイトル通り、国際機関の現場で働く人たちが、テーマを分担して書いた本。執筆者は18人、女性は14人。でも編者は男性といういつものパターン。しかし、全員が学部日本の修士海外(イギリス、アメリカ、オーストラリア)というのは、国際機関への就職は英語圏大学院卒必須になっていることが分かる。それは明石、緒方の時代からそうなんだろうが、幾ら国がカネを出そうと、留学経験ナシの純ジャパはやはり、門前払いが現実なんだろうか。まあ「例外」が吉田康彦みたいのならば、致し方ないとも言えなくはないが。ということで、岩波ジュニアの王道みたいな本なんだけど、単純な国際協力バンザイ、世界の貧しい人たちを救おうみたいな地球市民本になっている訳ではないのは、「現場」の苦労を知る人たちの抵抗なのか、よく「親殺し」をする岩波ジュニアの主張の一つなのか。「セックスワーカー」とか「エイズ」の執筆者はいずれも女性だが、「セックス」の罪悪を問う訳ではなく、「共存共栄」という当たり前の道を模索しているのは何か新鮮に感じる。キリスト教とか、イスラムとか、儒教とかの「純潔思想」は統一教会みたいなカルトが、布教の有効手段として取り入れてしまうのだが、「セックス」の本質とは、正に「共存共栄」なのだから、やはり世界が滅亡する中で、信者だけが助かるというメシア思想と純潔思想は大いに関連があるものなのだろう。「ジュニア読書諸君」がこの本を読んで、そんな感想を抱くことはないだろうが、私と同世代の「開発にたずさわる若き専門家たち」にエールを送りたいことには変わりはない。どれだけ教授職とかが残っているか分からんが、「開発援助」は数少ない成長産業であるのは間違いないし。
★★

イラン 世界の火薬庫 

イラン 世界の火薬庫/宮田 律

¥735
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中東もの新書の帝王、宮田律先生がついに光文社新書も制覇。「イラク」で懲りたのか、光文社もさすがに田中宇に書かせる様な愚は犯さなかったけど、元々「イラン」は著者の専門。さすがに、うまくまとめてある。イラン人は自国を、アメリカやイギリス、日本などと同等であるべきだと考えるのは、精神的優越感と現実とのギャップから来るものなのだろう。この辺は朝鮮半島と似たメンタルなのだが、アフマディネジャドの最近の火遊びは北朝鮮の様なタダの遠吠えという訳でもない。アメリカが執拗に攻め立てるのも、大使館事件のトラウマやイラクシーア派への影響力への懸念よりも、今や数少ないイスラエル排斥の旗印を下ろしていない国であるということが理由なのだろう。著者はイランの核がイスラエルを標的にすることはありえないとしているが、それはおそらく正しい。サドル派もイラクとそれほど関係が深い訳ではなく、むしろタリバニ大統領がイランの支援を受けてきた経緯もある。ヒズボラを除けば、テロリストの供給源となっているワッハーブ派やデオバンド派、或いはムスリム同胞団にとっては、シーア派のイランはあくまでも異端だ。イラン人がテロの犯人として捕まったという話もあまり聞いたことはない(五十嵐教授の事件もまだ未解決だけど)。イランが非アラブである以上、湾岸の盟主になることはないし、むしろ孤立しているのが現状であろう。大国志向のイランにとっては、パキスタンの様な国に核を先に持たれたことが、やはり核に拘る理由なのだろう。少なくともパキスタンを「イスラム世界初の核」として歓迎する見方はないのではないか。「世界の火薬庫」もその実、堂々と掲げている「革命輸出」を一つとして成功させたことはない。「民主守護輸出」を力づくで実行してきたアメリカに対するコンプレックスも、こんなところから来ているのかもしれない。
★★

コテコテ論序説




上田 賢一
コテコテ論序説―「なんば」はニッポンの右脳である

東京論は流行ってるから大阪論もということか。
★★

グローバル経済を学ぶ




野口 旭
グローバル経済を学ぶ

えらく断定的なマクロだな。
★★

歴代知事三〇〇人




八幡 和郎
歴代知事三〇〇人 日本全国「現代の殿さま」列伝

そのまんまの内容。
★★

そもそも株式会社とは

そもそも株式会社とはそもそも株式会社とは
岩田 規久男

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アメバではなぜに取り扱い禁止?社長に都合の悪いことでもあったのかな?
★★

健康・老化・寿命




黒木 登志夫
健康・老化・寿命―人といのちの文化誌

入門書としてはよろしいかと。
★★★

「天才」の育て方




五嶋 節, 中島デザイン
「天才」の育て方

みどりと龍は父親が違うのか。