イタリア縦断、鉄道の旅

池田 匡克
イタリア縦断、鉄道の旅 カラー版 (角川oneテーマ21 C 132)
角川新書カラー版のシリーズである「ヨーロッパ鉄道の旅」なのだが、このイタリア編の著者はフィレンチェ在住の「イタリア国立ジャーナリスト協会会員」というお方。イタリアではジャーナリストが国家資格だという恐ろしい話は聞いたことがあるが(かつてのソ連でもそうだったのだろうか)、トレニタリアが白紙チケットをポンポン出して取材に協力したというのも、そういう背景があったからなのかもしれない。もちろんイタリアにも「闇ジャーナリスト」はゴマンといるだろうし、私がここまで読んだイタリア本にも、その筋の人によるものが多いと思われる。ただ、こうした「公認ジャーナリスト」の人には資金的に一定レベルが保障されているのか、鉄道本ながら、とにかく食う話とホテルの話ばかりである。汽車の切符代はたまに思い出した様に記されているのだが(ローカル線以外は例の白紙チケットなのかもしれない)、豪華に食いまくる話にはコスト記載はなし。イタリアの外食はえらく高くつくことで有名なのだが、経費は無尽蔵っぽい。それもそのはずで、この著者の専門ははイタリア食通ものである様だ。日本食を専門とする在日イタリア人ジャーナリストがいるかどうか分からぬが、もし報道ビザを持っていたら「日本政府公認ジャーナリスト」を名乗るのであろうか。それでも「公認ジャーナリスト」であれば、時間も経費も保障されて、駅弁を食べながら片道切符最長の旅みたいなことをできるのかもしれない。
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イタリア病の教訓

松本 千城
イタリア病の教訓 (新書y 176)
著者は大蔵官僚で、ロンドン留学や主計局調査課勤務を経て、在イタリア大使館に派遣されているという人。正にエリート街道を突き進んでいる様だが、この本は著者が「企画のたまご屋さん」を通して売り込みをかけたものらしい。その「企画のたまご屋さん」はかなり気になるのだが、興味がある人は検索してみて。ということで、大使館勤務とはいえ、かなり個人的な主観に基づくイタリア批判一色の内容なので、外交問題にもなりかねないところなのだが、イタリア人はそんな了見の狭いことはせんだろう。実際、この「イタリア病」についてはイタリア人自身がよく分かっていることだろうし、だからといってショック療法や、あくせく働くよりは今のままでいいんじゃないかなというところなのかもしれない。その辺が「スローフード」の国たる所以なのだろうが、反グローバル陣営に理想国とされても、ロンドン・スクール・オブ・エコノミックス経済学修士の財務官僚には、そんなものはお話にならんといったところ。ただ、イタリアの 1000ユーロ世代が日本のフリーターと同人種なんてことを官僚に言われても、当の本人たちはピンとこないだろう。日本がイタリア化して、イタリアがアルゼンチン化するというシナリオに現実味があるのかどうか分からぬが、官僚があれこれ言ったところで、庶民はじゃあ、どうしたらいいのかという問題もある。結局、そこまで追い込んだのは経済政策を立案している連中の責任なんだから、「企画のたまご屋さん」で、次は「官僚病の懺悔」でも出してもらいたいもんだとも思ったりもする。
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