新書野郎 -162ページ目

日中戦争 




小林 英夫
日中戦争 殲滅戦から消耗戦へ (講談社現代新書)

講談社現代新書の8月商戦は最近、満洲もので新書づいている小林英夫先生か。数年前にもう専門外のことはやらないと宣言したのに、日中戦争に手を出したのも、確実に部数が出る新書仕事は外せないからでもあろう。とはいえ、時間がなくやっつけ仕事だとしているわりには、かなり要点整理されていて新書としての完成度も高い。盧溝橋の発砲も、「南京大虐殺」も複数説を併記していて、大日本帝国だけではなく、中共にも共感を抱いていないことを窺わせる。そうした掘り尽くされた議論より、検閲文書とかの「新資料」を発掘するのが、この著者の真骨頂なのだが、歴史入門を是とする新書なのに70ページも使って「検閲月報」の原本を転載しているのもスゴイ。まさか時間がなかったからという訳ではなかろうが、歴史の隘路に入りこんでしまうところに、こうした複眼的なものを持ってくると効果を発揮する。ただ、「おわりに」で強引に「歴史を鑑とし・・・」系の結論とするのはウンザリだし、むしろ「大日本帝国」を継承しているには現在の中国ではないかという疑問を感じる。著者は大多数の中国人同様、中国が「大人の国」で、日本は「子どもの国」であると信じて疑わない様だが、少なくとも、嘘つきでずるいオトナになるより、無垢なコドモのままでいた方が幸せであることは確かであろう。ニートが許される国こそが地上の楽園なのである。
★★★

10代からのがん予防




井上 正樹
10代からのがん予防

一応、読んでみる。
★★

その死に方は、迷惑です

下流同盟 




三浦 展
下流同盟―格差社会とファスト風土 (朝日新書)

「下流」で一発当てたこの人は今も昔も上流階級のお方なのだけど、同じく「上流社会」を代表する朝日が、参入した新書界での下流脱出をかけて、この「下流屋」を指名した様だ。この「下流喰い」もこれで何冊目になるのか分からぬが、下流屋稼業も忙しいらしく、タイトルに名前を貸して、その多くを下請けに出している。本人はアメリカへ行ってウォールマートの田舎街見学記などを書いているのだが、後は自分の本を送って、好きなことを書けといったものだったらしい。そうなると「ファスト風土論」礼賛みたいなものばっかりになってしまうのも必然なのだが、太田市がポスト西川口と化していることのレポートなどは面白かった。まあ、いずれにしても、この執筆者たちが下流に転落することはまずなかろう。下流の生き血を吸って生きていることはグッドウィルの社長と変らないのだが、「下流同盟」などというのもふざけたタイトルだ。ウォルマートの批判をするにアメリカが嫌いな訳ではないとか、わざわざことわる必要もなかろうに。それにしても下流の代表を自認する者は、とっくに死んでる丸山眞男なんかより、この男をひっぱたかなくてはならないのではなかろうか。
★★

嫌老社会




長沼 行太郎
嫌老社会 老いを拒絶する時代 [ソフトバンク新書]

敬老の日ってまだあるんだっけ?

肖像写真




多木 浩二
肖像写真―時代のまなざし (岩波新書 新赤版 1086)

絵画に「肖像画」というジャンルがあるなら、写真に「肖像写真」というジャンルがあるのは当たり前なのだが、そんなことに気をとめたことなどなかった。ここで言うのは、作者にその意図があったかどうかは別にして、芸術としての肖像写真だが、1928年生まれという評論家がナダール、ザンダー、アヴェドンという3人の写真家の作品を通して、肖像写真の奥深さを評論するというもの。おそらく3人ともその筋を代表する巨匠なのだろう。間違ってもアラーキーの様な写真がある訳ではないが、その作風が後年の写真家の雛形になっていることは窺わせる。写真評論家という稼業もあまり聞きなれないものだが、スーザン・ソンタグがそんな肩書きだったことも思い出した。美術評論の世界も、絵画系は怪しい画商と手を組んで美味しい思いをしている連中というイメージしかないのだが、写真評論の世界では社会学的な観察眼も求められるのかもしれない。著者がブルジョワばかりを撮影対象としたナダールと、農民や庶民を撮影したザンダー、そしてアイゼンハワーからホームレス、殺人犯まで同じスタイルで撮影したアヴェドンの3人で論じているのも、そこに社会的なコントラストが浮き彫りになるからなのであろう。当初、肖像写真は高価な肖像画の代替という位置づけだったらしいが、肖像画には未だブルジョアのイメージ(永続議員のソレとか)があるのに、肖像写真が文字通り社会を映す鏡となったのも、単なるコストの問題という訳ではなかろう。幾ら岩波でも、本当の狙いは「御真影」批判にあるとかしたら可哀想か。
★★

空気と戦争

 


猪瀬 直樹
空気と戦争 (文春新書 583)

文春流8月商戦。
★★

軍神

大学病院のウラは墓場




久坂部 羊
大学病院のウラは墓場―医学部が患者を殺す (幻冬舎新書)

まあ常識になりつつある。
★★

この本おもしろいよ!




岩波書店編集部
この本、おもしろいよ! (岩波ジュニア新書 572)

早乙女勝元の娘は早乙女愛なのか。