上古の祭儀に用いる祝詞が『延喜式』巻八に定められているが、その中でも「大祓詞」は「中臣祓詞」「中臣祓」と称され、中世以来、陰陽師や神社、民間でも盛んに用いられ『日本書紀』神代巻と共に神道思想の研究に多大な影響を及ぼした。
近世中期に国学(古学)が興隆すると、この祝詞も早くから研究資料となった。
賀茂真淵『延喜式祝詞解』『祝詞考』
本居宣長『大祓詞後釈』『出雲国造神賀詞後釈』
鈴木重胤『延喜式祝詞講義』が著されて、
『延喜式』巻九、十の「神名」と共に重視され、
敷田年治の『祝詞弁蒙』
昭和になって、次田潤の『祝詞新講』が著された。
「延喜式祝詞」には重要な古語や古代の宗教的信仰が含まれている。
国学者たちにいかに重視されたかは、
祝詞を我が国の政治の原則、国民生活の規範であるとし、
「記紀」と共に日本の大道を示す宝典として、
天孫降臨、皇孫統治を依命(よさ)せられる「みことのり(詔)」を中心として下された「みこと」(命、御言)であるとする鈴木重胤の『延喜式祝詞講義』の言葉からもうかがえる。
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