大祓詞 (中臣祓)現代語訳 | 心の鏡

心の鏡

天の霊妙不可思議な法則、神道について書いているブログ。心の鏡とは内在神を表し、神社のおみくじの神の教に「神様の御光が我が心の鏡に映るその時、凡ての心の曇り、心の闇は晴れゆきて、広き明き御恵みを授かる事が叶う」とあったところから命名しました。

《現代語に意訳》

高天原に神として鎮まる、天皇が親しくされる

神漏岐(かむろぎ)・神漏美命(かむろみのみこと)の

御命令により、数多くの神々を集め、議論を尽くし、

「我が皇御孫命(すめみまのみこと)は豊かな葦原の茂る瑞々しい稲穂に恵まれた国を安らかな国として平穏にお治めなさい」と皇御孫命に言いつけ申し上げた。

 

このように委任した国の中にて、

荒ぶる神たちを次々に問いただし、次々に平定し、

言葉を交わしていた岩石や樹木や一片の草の葉までもが沈黙したので、

高天原の盤石な御座所から離れて

空に幾重にも重なる雲を力強くかき分けて、

皇御孫命を高天原から地上へと降し申し上げた。

 

このように委任した地上の国の中の、

日が空高く照り輝く大和の国を、安寧な国と定めて、

地の下にある岩盤に宮殿の柱を大きく立て、

高天原に向けて千木(ちぎ)を高くそびえさせ、

皇御孫命の優れた御殿をお造りし、

天の蔭となるような、日光の蔭となるような立派な宮殿に住まわれた。

 

安寧な国として平穏に統治されようとする国の内に、

数増えゆく人々らが犯すであろう様々な罪は、

天つ罪・国つ罪というように、

おびただしい数の罪が出るであろう。

 

このように出るならば、

高天原に由来する宮廷の儀式によって、

天つ金木(かなぎ)の根本を打ち切って先端を打ち断ち、

それを数多くの机の上に置き満たして、

菅の繊維を、根元を刈り断って先端を刈り切り、

それを細かく針状に裂いて

「天つ祝詞の太祝詞(ふとのりとごと)」を宣読せよ。

 

このように宣読すれば、

天上の神は天の磐門(いわと)を押し開き、

天空に幾重にも重なる雲を力強く搔き分けて聞いて下さるであろう。

 

また地上の神は、高い山、低い山の頂に登り、

高い山の伊褒理(いほり/モヤや庵ともされるが未詳)や、

低い山の伊褒理を掻き別けて聞いてくださるだろう。

 

このように聞いてくださったならば、

罪という罪はすべて無くなってしまうだろうと、

祓い清めたまえということを、

高い山や低い山の頂から勢いよく落下する急流の瀬に坐す(いらっしゃる)

瀬織津比売(せおりつひめ)という神が、

川から大海原へと罪を持ち出してしまうだろう。

 

このように海へと持ち出せば、

荒れた潮目のたくさんの潮流が合流して渦をなす所に坐す

速開都比売(はやあきつひめ)という神が、

それを吞み込んでしまうだろう。

 

このように呑み込めば、

息を吹き出す所に坐す、気吹戸主(いぶきどぬし)という神が、それを根国(ねのくに)・底国(そこのくに/地底世界)へと吹き放してしまうだろう。

 

このように息で吹き放せば、根国・底国に坐す

速佐須良比売(はやさすらひめ)という神が、

それを持ってどこへともなくさすらい一切を無くすだろう。

 

このように無くせば、罪という罪は全て無くなってしまうだろうと、祓い清めたまえということを、

天上の神、地上の神、八百万の神々ともに聞き届けたまえと申し上げる。

 

…以上、企画展 祓 ー儀礼と思想ー展 図録より引用させていただきました。