先日、國學院大學博物館のミュージアムショップで手に入れた「日本の呪術」繁田信一・著という本を読み始めたところです。
これまで当ブログの神道の歴史でも、
千年くらい前の平安時代には陰陽師や密教の僧侶が活躍していた事を記事にしましたが、
当時はそうした呪術の専門家だけでなく、
一般の人々もまた素人向けの呪術…つまり、お呪い(おまじない)を数多くしていたようで、
その本の中のコラムでは、現代でも役立ちそうな平安時代の、家庭の医学ならぬ「家庭の呪術」というページがありました。
このブログでも少し紹介しようかと考えましたが、
さすがに熱中症の時の呪術には
『いや、それは呪文なんか唱えてないで早く医者に行けよ』と笑いましたね
2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」でも、そうした呪術を用いたシーンがよくあって、井戸に落ちた二人の男性を助けるのに、一人主人公が縄で井戸のふちに足をかけながら踏ん張っていたところ助けに入ったお坊さんが「すぐに助けてあげるからね」と言いつつ、その場で呪文を唱え始めたから主人公の義時が「呪文はいいから、縄引っ張って!」と言ったシーンがあって笑ったのを思い出します。
さて、話を元に戻しますが、
いつからか、人を呪わば穴二つ…穴とはお墓の墓穴のことで、人を呪えば自分も跳ね返って墓穴を掘るようなことになる…な~んて戒めが言われるようになってきました。
しかし私はこの考えに否定的で、そもそも人に恨まれ呪われるようなことをした奴が呪われるのは因果応報なのに、
何で呪っちゃいけないようなことを言うの?と理不尽に思ってました。
日本では神話の時代から誰かを呪ってきたし、
平安時代には現実社会で公式に呪術の専門家がいたんです。
それに呪っても呪わなくても、人間、病気やケガなどするし、いつかは最期を迎えるのですから。
清少納言の枕草子にも「呪詛の祓(じゅそのはらえ)」が出ているそうです。
呪詛の祓とは、誰かの呪いから身を守るための呪術のこと。
こんな具合に書かれているとか。
心ゆくもの。よく描いたる女絵の、言葉をかしう続けて多かる。…。ものよく言ふ陰陽師して、河原に出でて、呪詛の祓したる。夜、寝起きて飲む水…
訳;すっきりと気分のいいもの。美しい女性の絵で素敵な言葉が沢山添えられた1枚。言葉の巧みな陰陽師を連れて、賀茂川の河原に出て、呪詛から身を守るための禊祓をしたとき。夜中、ふと目が覚めた時に飲む水。
…という訳で「解除」と書いて「はらえ」と読むこともあるくらいで、禍々しい呪いから身を守るための禊祓も千年くらい前からあったんですね。
ちなみに呪詛(じゅそ)とは、呪術の中でも人の命を危うくする呪術のことだそうです。
以上、ちょっと恐ろしい呪術の話でしたから、
今度は突っ込みどころ満載の「家庭の呪術」から、
くしゃみをした時のおまじないと、くしゃみが予告する悪い事12種について書きたいと思います。