biosphere、詩
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モ オ イ [ 断 片 ]

素敵な香りが鼻を劈くの。

 

素敵な風が、夜を過ぎて、私の背骨は曲がっていますか?

二乗された風景が、ざっくばらんに放浪している。

背景、上々。

 

水面に揺れる水死体、交尾をするモオイの様に、ただ

破裂する防水時計が淋しそうに、私を見詰める。

 

口頭で尋問、長い髪が抜ける、

薙ぎ倒された、私の残骸。

 

素敵な香りが鼻を劈くの。

水死体から、蠅が飛び立つ。

ル ク ク [ 断 片 ]

たかが知れてたんだよ。
元々駄目だって分かってたんだよ。
だから、仕方ないんだよ。

何時間、考えても。
ルクク。

ム ト イ [ 断 片 ]

幾つもの目に見えない流れ星達、
彼等は罫線に沿って走り、
罫線の途切れと共に終点を理解する。

ペンを握った手が、中身を奪う。

ビ レ カ [ 断 片 ]

壊れたラジオから延々と流れる朝靄に
見える夢はモザイクの中で縫合されて
枝から滴る液体は露となって迎合され
大きくならず、小さくもならないまま
甘くない砂糖の様に唯淡々と唯淡々と
整合性を見失った落雷の鳴き声を睨み
発育途上の幼子は、泣きじゃくる術を
全て忘れてしまったかの如く眠り続け
あの人が居なくなってしまった事実、
逆鱗に触れない様、優しく、優しく、
生温い、風、髪、を靡か、せ、な、が

シ ュ リ [ 断 片 ]

滑らかに床を削りながら、小さな扉が閉まる。
開く事は無い、いつまでも閉まり続ける。

いつでも昇る朝日を見る事は出来ない。
いつまでも昇る朝日を見る事は出来ない。

矢の様に鋭い電磁波が、僕の脳を一刺し、
一刺し、一刺し、指が震える。

気違い染みた景観が、斜陽まで続く。
その背後に潜むシュリ、藍色の影。

マ ゼ ク [ 断 片 ]

脂臭い部屋に一人閉じこもり、
一日昏々と眠り続ける
走り幅跳びのマゼク。

滴が落ちる夕闇の中、
放り出された
マゼクはふと思う。

脂臭い部屋で暴れ散らす。
机の角が睨みを利かせている。

マゼクは出てこない。いつまでも。

ク ラ ア [ 断 片 ]

油性ペンの香りが充満した部屋、
騒音に別れを告げる黒い鳩、
イジェクトされるCD、
スピーカーが弾ける音、
葉緑体、ゲルマニウムラジオ、
飛行機雲、クラア、座敷牢

レ ム カ [ 断 片 ]

いつも決まって取り出すのは朱のインク。
涼しげな顔をして携帯を触る、空想上の物質。
虐げられた風はいつか全てを翻す。
その時、レムカは笑っている。

不眠症に悩むレムカは、
いつでも笑っている。
目前に迫る朝日に怯え、
今日こそは眠れるはずと、
そう、思いつつ笑っている。
水面に揺れる雨粒の波紋、
それを見ながらレムカは笑う。
恒に悲しげな顔をして、
咳払いをしながらレムカが笑う。
忍び足で迫ってくる夕日を見送り
土に這い蹲って、
今日の突風に晒された、
そんなレムカは明日も笑う。

何を思って煙草は燃えるのか。
突然、爪が割れた日を思い出しながら
レムカは笑う。
きっとレムカは全てを嘲笑う。

デ ィ ズ [ 断 片 ]

方角を見失った鏡の中、揺らぐ陽炎が俄に笑う。

煙の色を舐める様に、見つめる季節の狭間で、

恍惚に浸る軍隊蟻の絨毯の模様には色斑がある。

(空白)都会は僕には色彩が強すぎる。

包装紙に包まれたディズ、虚ろな顔で、

徐に取り出した指の先に光る羊水の彼方。

乱反射する光を見つめると失明、丁寧に、笑う。

人が死にました。僕の目の前で。

全ては影色に、影色に。飴細工の形が崩れる。

ディズ、それは日向に向かう蝙蝠の形。

葬送の妄想に暴走する工場の交合、そして、

花火が舞い散る、冬の終わりに、哀しみ佇む。

ミ ー ミ [ 断 片 ]

封筒の中には見慣れない、
色をしたミーミ、の髪の毛、枝毛の目立つ毛先、
時間が過ぎていく途中で拾う、
ミーミの様に、歩く人達、
似ている、それは幻想の中に広がる甘い香り。

灯籠。

網膜の隙間から覗く緩やかな斜面、
ドク、ドク、と流れ出る緩やかな斜面。

静寂の中で生まれ出る、華やかな、そして淋しい色相、
色相のズレ、ズレとズレの合間に生まれる、新たなズレ
無限循環するズレの間にミーミ、
夕暮れに時雨、膨張する歪み、狭間の空気

さよなら、ミーミ。