kurt Vonnegut (1922~2007)さんの『A MAN WITHOUT A COUNTRY』(2005年)。

『I asked Syd Solomon how to tell a good picture from a bad one.

He gave me the most satisfactory answer I ever expect to hear.

He said,"Look at a million pictures , and you can never be mistaken."  

I passed this on to my dauguter Edith,a professional painter, and 

she too thougut it was pretty good. 

She said she"could rollerskate through the Louvre, saying

'Yes, no, no, yes, no, yes,' and so on  " 』

 

友人でもある画家のシド・ソロモンさんに『グッド・ピクチャー』と

『バッド・ピクチャー』の見分け方について尋ねると

これまでに耳にした中で最も満足できる回答をくれた。

100万枚の絵画を見て経験値を積めば絵画ド素人の君でも

ミステイクすることは無くなると。

プロの画家である娘のエディスさんにこの話を聞かせると

『同歩』だったようで彼女は言った。

「私ならローラースケートでルーブル美術館を

ノー、ノー、ノー、ぜ~んぶ、ノーと

採点して回れるわ」と。

※『could』は「能力:できる」の意味で訳すのかなあ?

 

彫埋将棋駒も同じだ。

数多くの駒師さんのお作を手に取って

見比べることの出来る機会に恵まれれば、きっとモノ作り素人さんでも

自分のなりの『グッド・ピクチャー』と『バッド・ピクチャー』

の見分けはつくようになる。

 

しかーし、

 

『Who is the hardest job in the pair, the man or the woman?,and why?』
 Riku Miura「もーこれ、戦争が起きるよ&戦争が&ハハッ
一生決まらないです&これっ&どっちも」
Ryuichi Kihara「これはねえ、これを答えてしまうと
また喧嘩が始まってしまう」
Riku Miura「はははっ&言い合いになっちゃう」
Ryuichi Kihara「ここではお答え出来ない。
どっちも大変だし、お互いのパートを
凄くリスペクトしてるっていうのが正直です」

これな!

どの駒師さんも苦労されて、持って生まれた

能力なりに一生懸命にモノ作りをされておられる。

それに対してびりたんが正直な感想を

ここで言うことは出来ない。

喧嘩が始まっちゃうwww

 

『any work of art』に言えることだが、
『you』の心を揺さぶるのはアーティストが
如何に自分の限界と闘ったかにある。

ということにしよう(笑)

 

彫埋将棋駒は漆の特性ゆえの難しさの違いはあるだろうが

微細超精密溶接に似てると思う。

 

彫埋駒のびりたんなりのチェックポイントは
1)ピンホール、ブローホール(←この名称は初めて聞いた)の有無
2)アンダーカット、エクボの有無
3)模様の有無
4)研ぎ出した『左官跡』で滑らかで繊細な表現が出来ているか?
5)文字面、木地面の視認性は良いか?
6)面取りは将棋盤により優しいか?
である。
 
1)溶接も磨いてみて内包している気泡が表面に現れ
ピンホールの不良が判明する。
彫埋駒も研ぎ出してみて判明するだろうから
ブローホールの名称は要らないように思う。
2)鋼材溶接と彫埋駒では原理は違えど
微細なアンダーカットが生じ易いのも似ているとは思う。
3)彫埋駒の模様は錆び漆の模様であるようだ。
ユーザーの好みによって評価は分かれると思う。
 
精密溶接における『グッド・ピクチャー』と『バッド・ピクチャー』

の見分けは簡単だ。

何処が溶接個所か、微細な痕跡で極めて判別し難いのが

『グッド・ピクチャー』だ。

一発目で決めるのが大事で、

不良の溶接の場合は不良を内包してるので

修正しても不良が浮き上がって来るので上手くいかず、

時間の制約もあるので、やればやるほど泥沼にハマって心が折れそうになる。

で、この程度で許してもらおうと妥協することになる。

彫埋将棋駒も、子細に観察した限り、同じ沼を感じる。

 

 

桜井淘水さんの彫埋。

 

 

結城恵山さんの彫埋。

 

一聖さんの彫埋。

 

(´・ω・`)(´・ω・`)(´・ω・`)(´・ω・`)(´・ω・`)

 

 

 

駒師・諒真さん作の彫埋駒(巻菱湖書の王将のみ)1枚を

入手したので勉強させていただく。

気泡シートで巻いて布テープでは無く、粘着力の弱い

養生テープで開封し易いようにとめて下さっている。

 

外注に溶接に出す場合などは新聞紙で養生して

この黄緑色の養生テープをよく使ったものだ。

ひとつ思い出した。

どんなに仕事が忙しくても、梱包前に

錆が無いか、溶接箇所以外には微細な傷も生じて

いないか、写真を撮っておいたり、同僚や上司等に

目視のダブルチェックを依頼したりして、証拠残し、

発送前には『疵』は生じていなかったと強く言えるように

しておくことが重要だ。

外注先から戻ってきて、万が一、錆びていたり、傷が生じていた際の

責任の所在をはっきりとさせるためだ。

長い間やっていると、起こり得るトラブル事例が頭の中の

データベース一覧に増え、どんどん疑り深く…いや、用心深くなる(笑)

 

 

書家の筆跡では無さそうだ。

また、駒師の号「諒真」の由来を推測する手掛かりを得た。

 

分野は違えど、同じモノ作りをしていた(障害を負ったので過去形)

びりたんとしては自分が全工程を担当し、彫埋駒を作るなら?と

自分の職人としての時給計算の視点で謝礼金額は考える。

良い仕事をしてもらう為には職人さんに

気持ち良く仕事をしてもらうことが大切だ。

納期も金額も無茶振りして来るお客様の製品は

当たり前だが価格と納期相応の『やっつけ仕事』である。

『やっつけ仕事』にはクレームにならない水準に

納めたら良いだけの必要最小限の心遣いしか無いのだ。

クレーム対象にならない箇所はとにかくスピード重視で

「ざまー!」と手荒に仕上げるwww

 

多くの者は自分が安価な時給で労働をさせられたら腹を立てるだろう。

だが、モノ作りに理解の無い人間は平気で職人さんに向って

「靴下なんて100均にも売ってるし、

手編みの靴下もせいぜい500円が良いところじゃね?」とか

腹時計で鬼畜な時給査定をしがちなのだ。

 

 

元々がサービス労働を強いる落札価格になりがちなだけで、

恐らくは私がお支払いした落札価格も高額のはずは

無かろうと思うが、おまけまで頂戴しましてありがとうございます。

 

 

駒に穴を開ける破壊工作なんぞはしません。

 

 

王将は「根赤柾」木取りらしい。

おまけの歩兵の方は知らない。

えらい色味が違う。

 

 

木地の色味比較で並べてみた。

児玉龍兒先生の拭き漆仕上げに近い。

下段左の剣心さんの駒は少し赤っぽいとは言えそう。

 

 

 

 

 

駒尻の銘も彫埋め。

諒真さんおっしゃるところの『極太面取り仕上げ』とやらは

どのくらい面取りが大きいのか伝わり難い。

 

 

「C面取り」で「C0.7」とか木工の世界では具体的な測定数値で示されることが

少ない印象なので。

 

 

測定は面倒なので、良い表現を考えた。

指導対局等でもお馴染みの『公式球』に相当する

熱硬化性ユリア樹脂製「王将駒」の面取り具合に近い。

 

 

宮松影水さんの

 

 

面取りに似ていると言っても良いかもしれない。

 

 

右が諒真さんの面取り。

左は比較で並べてみた桜井淘水さんの面取り。

 

 

彫埋のサンプルとして入手し、

今まで一度もレビューしていない「伯水」さんの

「宗歩好」を少しここで登板させよう。

大澤富月先生が丸八碁盤店さんで製作される時のみ、

「東世」の号を使われたように大御所の駒師某A先生の

号ではあるまいかと怪しんでいるのだが、

字母や作風もあえて号によってがらっと変えているかもしれず

本当のことは分からない。

 

 

錆び漆の模様は無いタイプの埋めである。

 

 

後はブルースリーさんの『Don't think! Feel!』じゃないけれど

感じ方は人それぞれなので、細部を子細に観察し、

感想は個人の好みで感じて下さい。

 

 

びりたんの査定ポイントが確認出来る写真を提示するに

とどめ、感想は控えます。

あ。

面取りは「C0.7」ほどです。

大きなR面取りでなく、大きなC面取りの駒は珍しいと思います。

 

5)文字面、木地面の視認性の良さ

 

 

対局者視点から相手側の駒を見た場合。

左から順番に

1)剣心さんの彫駒(瀬戸磨き&イボタ蝋仕上げとお聞きした)

2)淘水さんの彫埋駒(桜井家は瀬戸磨き&イボタ蝋仕上げ派)

3)諒真さんの彫埋駒(『半鏡面極上仕上げ』と呼ぶのかも??)

4)伯水さんの彫埋駒(丸八碁盤店の鬼頭さんがテカテカ好きなので

それなりの光沢はあり)

5)恵月さんの彫埋駒(彫埋なので平らに研ぎ出してはいるものの

磨き無し)

と並べて、

見る角度によっての道具としての視認性を見てみる。

 

 

最左の剣心さんの駒も木地部分は光沢があり、

蛍光灯の光を反射している。

しかし、薬研彫りの文字面は見易いので

何の駒かの判別に支障は生じない。

 

 

2)淘水さんの彫埋駒も3)諒真さんの彫埋駒も

ご覧のように文字面も蛍光灯の光を反射して

何の駒か判別し難い。

 

 

少し角度を変えると4)伯水さんの彫埋駒も

同じである。

5)恵月さんの彫埋駒は光沢の無い磨き無しなので

どの角度から撮影しようと視認性の点では

最も優れる。

では、磨き無しがびりたん好みかというと、

決してそうでは無い。

磨き無しの駒はスベスベした手触りに思えて、

木肌の毛羽の奥に汚れが入り込むと落ちないからだ。

なので今、興味があるのはしっかりとお手入れ容易なように磨くものの、

例えば磨き筋を同方向に揃えなかったりして

光沢を極力減らして視認性を損ねぬ仕様になる磨きには

出来ないか?ということである。

 

 

将棋駒はプレーヤーに駒の種類を伝える道具である。

それなのにこれらの彫埋駒はその求められる機能のひとつ、

視認性(情報の伝達)を損ねてはいると思う。

スキーのゲレンデでは雪の照り返しの反射で

眼をやられぬようにサングラスを着用する。

溶接時も目を根性焼きせぬように遮光面を使用する。

今でも光沢のある将棋駒は美しいと思うし、好きだが、

将棋駒に駒の種別判別の視認性を阻害する発光機能は

要らないと思うように心変わりした。

 

 

5)恵月さんの彫埋駒は木材の特性が生きているので

光を吸収し、眩しくない。

錆び漆の文字部分もどの角度から撮影しようと

蛍光灯の光を反射せず、視認性の点では抜群なので

びりたんの求める仕様を考えるヒントにはなりそうに思う。

 

 

『4)研ぎ出した『左官(さかん)跡』で滑らかで繊細な表現が出来ているか?』

については1点、淘水さんの彫埋駒についてのみ、感想を述べよう。

駒尻も彫埋である。

 

 

裏面は「毬悶丹」と彫っていただいた。

 

 

こちらは天竜さんに彫っていただいた名入り根付け駒「蜀紅」。

よくある、「王将」では無く、「玉将」で作って下さいと

注意喚起のつもりで「玉」の文字を赤字にしたつもりが

意思の疎通に失敗し、「玉」のみ赤字の珍しい

咲き分けになった次第だ。

色変えは二度手間で面倒だったよと笑っておられた。

偉大なる発明家の名は「アクシデント」というわけだ。

「玉」の縦棒は「V」では無く、「レ」になっている。

「その方が恰好よかろ?」とも笑っておられた。

 

 

裏面は「びりたん」。

 

 

まりりん・もんろーたん→まりもんたんが

私の名入り駒も欲しいと言うのでこうなった。

表の「王将」よりも裏面の「毬悶丹」の方が

桜井淘水さんの凄さ(びりたん比)が分かり易いと思う。

児玉先生にお聞きすると淘水さんは彫駒出身だから

彫りが上手いとのお話だった。

 

 

よくこんな細い彫りが出来て、そこに彫埋も綺麗に埋まるものと思う。

目が良くて、手が決まってて、根気があって、

こういう細かい彫埋の表現をしたいという強いこだわりがうかがえる。

 

さてさて、ここからは諒真さんの彫埋駒を見ていこう。

 

 

びりたんはものすごく微細なところまで

うるさく駄目出しされる「メイド・イン・ジャパン」品質の

精密溶接修理もやっていた。

だからそのシビアな良品検品の視点で、こういう微細な部分も

見ることは見る。

見ることは見る。

重要な事なので二度言いました(笑)

 

 

こういう微細なエクボも見ることは見る(笑)

 

 

諒真さんの彫埋駒は研ぎ出しの痕跡と推測するが

文字部分に縦筋があるのが特徴的だ。

 

 

 

 

「淘水」の銘は楷書に近く、びりたん好みだ。

「諒真作」の銘は現代一般人には読めぬ筆跡なので

1)将棋バーで皆で「私も読めません」と顔を見合わせて

苦笑いするコントになる

2)未来に祖父の遺品としてヤフオク(仮)に出品され

出品者は素人ゆえ、作者名は読めませんという

商品説明になる

3)指導対局で将棋星人の棋士、女流棋士の先生に

「何とお読みするのですか?」と尋ねられる羽目になる

の3択の展開があるあると思う。

 

駒の作者は誰か?

駒の書体名は何か?

これを現代一般庶民に伝達出来ない筆跡は

意味を伝えぬ文字なので機能的には不良とも言えると感じる。

考え方の違いの問題なだけで

悪口というわけではありませんので悪しからず。

 

 

 

『 Feel!』

 

 

『Feel!』

 

 

労作をお譲りいただきありがとうございました。