驚きの超高速走行物体!(ランチブレーク実話)

ちと話は逸れるが、つい最近の話。
私は所用で横浜へと向かうべく、国道1号を快調に走行していた。
乗っているのはもちろん愛機「方式六号」ことシステムシックスだ。
組み立て終了から2500キロ以上走って、私自身、このロードバイクの特性がかなり掴めてきた。
コレ、かなり“サクサク感”のあるロードバイクだ。おそらく剛性がかなり高いからだろうか、(ピナレロくんと比べた感覚でも)思い切りパワーを掛けたときの反応が非常に良い。時速30km/h以下だとそれはあまり感じないが、スピードが出ていれば出ているほど、切れ味が良くなる感じがする。
一番痛快なのは、実は40km/hを超えて思いっきり加速をしたとき。
絶対的なスピードや加速のレベルはもちろん“エンジンパワー”に依存するので、私自身の実際の加速が速いのかそうでもないのかはなんとも判断できないが、少なくともその速度域でのシステムシックスの加速感はかなり痛快だ。足に余力がある限り、ときおりそれを使いたくなってしまう。フレームが一切たわまない感じで、パワーがほぼ100%伝達されるフィーリングはなかなか心地良いものだ。
そして、私はその“痛快な加速フィーリング”を、その日はまだ味わっていなかった。というのも、ちょっとゆっくりめに流していたから。言ってみればLSD気分で走っていたというわけだ。(LSD=ゆっくりめに長距離を走ること。有酸素運動的なライディング)
横浜まであと10kmほどの地点に到達した頃だろうか、私の前方50mほどの地点にある路地から、左右の確認を一切せずに一台のママチャリが国道一号線へと飛び出して来た。幸い道路はクリアだったから、そのママチャリはそのまま加速しながら大きめのアールを描き、片側3車線の一番左側の車線の左寄りへと進路を移し、横浜方面へとまぁまぁの速度で巡航しはじめる。
なんだか危ない運転だなぁ…。
そんなことを考えながら、私はさきほどと同じペースで走り続ける。私とはちょっと距離があったから、特に危ない事態は起きなかったのはラッキーと言うべきだろうか。そして、LSDとは言うものの、私のシステムシックスは時速30km/hほどは出ていたので、ほどなくそのママチャリへと追いついてしまう。
当然のこと、私はそのママチャリをパスする。多くの場合、ママチャリはせいぜい時速20km/hくらいしか出していないことが多いからだ。普通は、そう、ほとんどの場合、ロードバイクの方がママチャリよりも遙かに速い。
ママチャリに乗っているのは“体育会系”とも思われる若い男性だ。どちらかと言うと筋肉タイプという感じだろうか。ライディングフォームは特に美しいとも思えないが、ママチャリ乗りの男性に多く見られる上半身の“意味不明の揺すり”は見られないから、比較的良いライディングフォームと言えるのかもしれない。
そんなことはどうでも良い。私は自分のライディングに集中する。
国道一号線はそこからはゆるい下り坂になる。風向きにもよるがここからはかなりスピードの出る区間となる。この区間に限って言えば、クルマ達とほぼ同じスピードで走行することも実はそれほど難しいことではない。
私はLSD的な走りモードを一時解除し、少しずつスピードを上げる。時速30km/h前後だった速度計の数値が時速35km/h、そして40km/hに近い速度域へと上昇する。
もう少し足に力を込める。ここはゆるやかな下り坂だから、まだまだそれほどの力は要らない。
速度計の数値は簡単に40km/hを超える。
システムシックスはいつもにも増して快調だ。まだまだスピードを出したがっている。
ふとすぐ後ろの違和感に気づく。
あれっ? さっきのママチャリ?
私はチラと後ろを振り返る。
そう、私のすぐ後方には、つい数十秒前に、左右確認をしないで国道一号に飛び出して来たあのママチャリがいる! な、なんとあのママチャリが私にピタリと付いて来ているのだ。
私はちょっと驚いた。
ママチャリが時速40km/h超で付いてくる!?
ロードバイク乗りとしては、なんとも微妙に許せない状況だ! 速度域20km/h台ならいざ知らず、時速40km/hを超えてママチャリにピタリと追従されるとは!
私は当然のこと、足に込める力をもう1ランクレベルアップさせる。ロードバイク乗りなら、ある種当然の条件反射とも言える行動かもしれない。
速度計の数値はほどなくして45km/hを超える。空気の抵抗が実際に存在することをかなりハッキリと感じることのできる速度域だ。ロードバイク乗りにとってもある意味“高速域”と呼ぶことのできるこの速度域は、ママチャリにとっては“超音速”とも呼べるような猛スピードに感じられるはずだ。
私は念のため後ろを振り返る。あの体育会系の男性が乗ったママチャリが付いてきていないことを確認するためだ。
まさかママチャリが時速45km/hを出せるワケなど……。
そう、そのまさかだった。
私のすぐ3m後方に例のママチャリがいる!
ええっ!!!
さきほど感じたちょっとした驚きはもはや、全く無視のできない強烈な衝撃へと変わる!
ここはゆるやかな下りだから、まだまだスピードは出せる。さきほどまでの“LSDらくちんサイクリング気分”はもはや完全に吹き飛んだ。
私は自分のモードを切り替えつつ、さらに速度を上げる。
47km/h…48km/h…49km/h…
時速50km/h近い速度で快調に走るシステムシックス。だが私の後方監視センサーは爽快感を感じるべき状況でないことを、私に告げ続けている。
後ろの気配が離れない! まだ付いて来ている!
いくらゆるい下り坂とは言え、時速50km/h近い速度で走るママチャリがこの惑星に存在したとは!!!
惑星ゾンダではあるまいし、こ、こんなに速いママチャリが存在するとはまさに驚天動地!
私は、システムシックスが持つ“究極の剛性感”がもたらす“超高速域での加速”を発動しなければいけない状況に陥っていることを、遂に認めざるを得なかった。
仕方ない。やるか!
私はありったけの力を両足へと伝達させた。
フレームがはじける!
速度計の数値がさらに上がる。風切り音が増す。
前後を走るクルマ達との速度差がほぼゼロになる。
時速60km/h近い速度は体感的にはかなり速い。自分が自転車に乗っていることをもはや忘れさせる速度域とも呼べるかもしれない。
だが、このレベルの走りはそう長い時間は持たない。もう10秒か15秒くらい……そのくらいなら問題ないはず。
私は後方へ使っていた注意を前方へと向け、あらゆる事態に対処できるよう、さらに走りに集中する。
がんばれB夫!まだまだ行けるゾ!
私はほぼ全力に近い走りをもうしばらく続ける。
何秒間か…それとも何十秒間か経ったろうろうか…もうこれ以上はこのペースは無理だと肉体からの信号が伝えている。脚を若干緩めつつ、私は後方に注意を向ける。そして、ほどなくして気づいた。後ろの気配がなくなっていることに。
私は、“惑星ゾンダ”出身としか思えない体育会系のママチャリライダーを振り切ることにどうやらやっと成功したようだ。
チラと一瞬後ろを振り返る。
見える範囲には例のママチャリはいない。
安堵…。
脚を止め、惰性での滑走状態に入る。心拍系は付けていないので、正確な数値はわからないが、MAXに近い結構な心拍数レベルに達しているに違いない。
私は青信号を通過する。直後に信号が黄色に変わる。大きな交差点だからもうあのママチャリは絶対に来ないだろう。
だが、私は恐れ入った。この速度域で走れるママチャリがこの惑星にも存在するとは!
ママチャリが50km/hで走れるなら、ロードバイクだったらもっともっと行けるハズ!
私は何度か深呼吸して冷静さを取り戻すと、LSDモードよりちょっと速いくらいの速度に落とし、普通の巡航に切り替える。
ある意味、それは“未知との遭遇”に近い、超現実的な体験だった。そして、地球ももしかしたら近未来において惑星ゾンダのような、自転車理想郷を実現することができるかもしれない…そんな可能性を垣間見せてくれる、不思議な示唆だったのかもしれない。
それにしても、惑星ゾンダのママチャリライダーくんよ、左右確認せえよ!頼むで!(笑)
【以上ランチタイムブレークとしての、ある日の実話でした。】
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というようなお話をしている間にどうやらテンシャールのランチタイムも終わったようだ。
いよいよ、テンシャールのセッションの最終章がはじまる!
という予定だったのだが、あまりにプロローグが長すぎた。テンシャールのセッション続編は明日、つまり24時間以内にアップします。ついにレベル4の制限解除の謎が明かされる!?
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