ツール・ド・タ・マガーワ詳報! がんばれみんな!がんばれMOstチーム!
【今回の記事は、実話をもとにしていますが、あくまでフィクションです。登場する名称はすべて架空のものです。実在する団体、個人とは全く関係ありません!】

多数の観客が見守る中、「ツール・ド・タ・マガーワ」第二ステージ表彰式に備え、待機する選手たち。100km以上もの激しい高速レースを終えても、なお笑顔を見せる余裕すらある。常人離れした体力を持つ選手ならではの光景かもしれない。
この後の表彰式では紅白の紙吹雪が吹き荒れる中、美女2人に祝福のキスを受けた優勝者○○○は感激のあまり目に涙を浮かべ、優勝インタビューでは思わず絶句するシーンがあった。それほどの感動を皆に与えたこのレース、まさに「ツール」の名にふさわしい激闘のシーンの連続であった。
それでは早速、注目のこのレースを振り返ってみよう。
★「ツール・ド・タ・マガーワ」第二ステージ 詳細レポート
約2週間ほど前に行われた第一ステージは、2つの一級山岳に1つの超級山岳が含まれる厳しい山岳コースだったが、今回の第二ステージは、打って変わって比較的平坦基調のコースとなる。
平坦だからといって楽なレースになるかというと、むしろその逆の場合が多い。
コースがフラットな分、全体にスピードアップすることは間違いないし、風の強いこの日のような天候では、集団が中切れを起こし、波乱含みの展開となることも多い。
そんな混乱の中、逃げを決めようとするアタックが多発することもあり、スプリンターが有利な平坦コースと言えども、その展開には予断を許さない。この日のレースもまさにそんな非常に面白い展開となった。
まずは、出場する選手および所属チームを紹介しておこう。
●チーム・フラットバー・パワー
今回のレースの最大勢力を誇るのがこの「チーム・フラットバー・パワー」である。優勝経験もあるエースのオムアリ選手を筆頭に、出場する4台のバイクはすべてフラットバーハンドルを装備している。これは、今回のコースには路面の悪い場所が多く、一部にはシクロクロス的な路面が含まれていることを考慮してのものと思われる。最大勢力ならではのチームワークを利用して、早い段階からの逃げをもくろんでいる可能性が高い。
選手名:
オムアリ・パサド
クッスー・ホイクト
ユキ・チャン
スティーブ・N・ゴードン(通称SNG)
●ペプシ・バルセロナ・サイクルレーシング・チーム
大手スポンサーを持つこのチームのエースはなんといっても、通称Taka-Cことタカ・カンチェラーラ。彼の平坦路での圧倒的にパワフルな引きで、レースが異常に速い展開となることが多く、多くのチームは彼を徹底マークすること必至だ。一方アシストとして、今回新たに新人のニャン選手が加入。実力は未知数だがその活躍が期待される。
選手名
タカ・カンチェラーラ(通称Taka-C)
ニャン・コルナゴ
●キャノン&ジェイミーフェルト・レーシング(通称名:チームCJF)
選手層が厚く、非常にバラエティに富んだ戦略で戦えるのがこのチーム。軽量級山岳スペシャリストのブガル選手をはじめ、200kmを超える長距離のレースには滅法強い、スタミナ充分のトッシー選手。さらには、悪路にも対応するシクロクロス車を操らせたら名人とも言われるゴッシーニ選手らを擁し、如何なるステージにも万全の構えで対応する。今回のステージではどんな戦略が飛び出すのか楽しみだ。
選手名
ブガル・ピエポリ
トッシー・アームストロング
パオロ・ゴッシーニ
●モースト・ピナレロ・レッドストライプス
このチームの機材はすべてピナレロから供給され、パーツも軽量&高性能のMOstブランドで統一されるなど(一部選手の好みで別ブランドに変更される場合も…)、機材に徹底的にこだわったチーム。本来、今回のツール・ド・タ・マガーワには最高級カーボンバイクの「ピナレロ・プリンス」が供給される予定だったが、選手にアルミ信奉者が多いのか、ガリレオ2台、アングリル1台という異例の車種選択となった。本来なら、第一ステージで惜しくも2位に終わったエースのヒデ選手がこのチームで優勝を狙うはずだったが、今回は一部で噂されるドーピング疑惑のためか、急遽出場を取りやめた経緯がある。従って、今回のエースは誰になるのかは全く不明だ。
選手名
イヴァン・セイボンヌ
レドラー・ビット
ビーオ・バイクスキー
ヒデ・コンタドール(今回は出走直前に棄権)
--+---+---+---+--
★混乱の序盤戦
数千人とも数万人とも思われる大観衆が見守る中、いよいよ「ツール・ド・タ・マガーワ」の第二ステージの幕が切って落とされる!120人の選手たち、いや違った。12人の選手たちの熱い戦いがいよいよ始まるのだ。
だが、サイクルロードレースファンならご存知のように、こうしたレースのスタートシーンはそれほどドラマチックなものではない。
そう、まるで“サイクリング”にでも出かけるかのようにゆっくりとスタートするのが通例だ。
フタコ・タ・マガーワの川沿いのサイクリングロードでの朝9時ちょうどのスタートシーンはまさに通常通り、何の波乱もなく幕を開けたはずだった。
ところが、今回のレースの重要性ゆえか、スタート直後に驚きのアタックがかかる。
誰もがそのアタックは予想していなかった!
“鬼引き”とも呼ばれるその高速平坦走行能力で知られるタカ・カンチェラーラ、つまりTaka-C選手がいきなり集団を飛び出したのだ。あっという間に高速単独走行状態になる。
他のチームももちろん指をくわえて見ていたわけではない。
「チームCJF(キャノン&ジェイミーフェルト)」の選手たちが真っ先に反応する。独走する「ペプシ・バルセロナ」のTaka-C選手を追う!
「モースト・ピナレロ」チームも負けてはいない。危うく逃げを決められそうになりながらもなんとか食らいつく。
一瞬反応が遅れた「モースト・ピナレロ」チームのビーオ・バイクスキー選手も、ちぎられまいと第一集団を懸命に追走する。
このアタックをきっかけに集団は早くも二つに分裂。何の変哲もない平坦ステージが、早くも混乱のステージへと変貌してしまう。
一方、Taka-C選手と同じ「ペプシ・バルセロナ」チームに入団したばかりのニャン・コルナゴ選手はチームメイトが先行する逃げ集団にいるため、急いで逃げ集団を追いかける必要がない。ここではサイクルロードレースのセオリー通り、後方の集団での“まったり走法”を決め込んでいるようだ。先頭交代に加わるそぶりも見せない。
「変則スタート形式」と呼ばれる今回のステージは、選手の獲得ポイントや実績によって3カ所のスタートポイントが設定されていることが特徴だ。
フタコ・タ・マガーワでのスタートは第一のスタートポイントでしかない。
続いて第二のスタートポイント地点、ノ・ボリートでは、「チーム・フラットバー・パワー」のクッスー・ホイクト選手が合流することになる。
実はこの“変則スタートポイント制”がレースを左右する重要ポイントになる。新たに選手が加わるスタート地点での混乱に乗じたかたちで、それまでの順位が大きく変動する場合があるからだ。
この第二スタートポイントでも、予想通り、大きく集団構成が動いた。
高速で逃げ続ける“逃げ集団”を引くのは相変わらずTaka-C選手だが、逆に第二スタートポイントで「モースト・ピナレロ」のビーオ・バイクスキー選手は大きく順位を落としてしまう。上位入賞を狙う「モースト・ピナレロ」チームにとっては大きな計算違いだ。
★まさかのアクシデント発生!
逃げ集団は快調に第三スタートポイントへと向かう。
だが、彼らを追いかけるはずの後方集団に、ここでまさかのアクシデントが発生してしまう!
多摩川サイクリングロード沿いをびっしりと埋める観客は、選手が通過するたびに大歓声を上げるなど、大いにレースを盛り上げていたのだが、一部の興奮した観客が道路上へと飛び出してしまったのだ!
非常に危険な状況が、後方集団の目の前に突如出現したことになる!
このあおりをモロに食らったのが後方集団2台目に走っていた「チーム・フラットバー・パワー」のユキ・チャン選手。急ブレーキを掛け、巧みなハンドルさばきでなんとか難を逃れる。
だが、そのすぐ後ろを走っていた「ペプシ・バルセロナ」のニャン・コルナゴ選手----今まさに加速体制に入ろうとしていた----は興奮した観客に気付くのが一瞬遅れた!
そのため、危険を避けるため、不自然なかたちでの急ブレーキを余儀なくされた!
そこで彼女が見せたのは、まさに選手の鏡とでも言えるような、愛あふれる行動だった。
そのままブレーキをかけているだけでは観客と衝突してしまう…ならば、自らを犠牲にするしかない…ということで、とっさにとった選択は“落車”することだった!
彼女の身体が一瞬宙を舞う!
金属とカーボンの融合したような、何度も聞きたくはない衝撃音が響く。
一瞬、騒然とする観客たち。
駆けつけた警備員が興奮した一部のファンを抑えにかかる。
そのまま彼女は起き上がれない…。
「これは大変なことになった。最悪の場合、レースの続行に差し支えるかも…。」
そのときそう感じたと、その直後を走っていた「モースト・ピナレロ」のビーオ選手は後で語っている。
だが、不屈のニャン選手は立ち上がる。
ドクターの応急処置を受けるとすぐに再スタートの構えを見せる。
擦過傷が痛々しいが、身体はなんとか大丈夫のようだ。
自転車はシフターにダメージを受けている。だが変速できない訳ではない。今後のレース展開に影響する可能性もあるが、ここではこのまま走り続けるしかない…。
幸運にもニャン選手はレースに復帰。何事もなかったかのように走りはじめる。
だがこのアクシデントで後方集団は、もはや致命的といえるほど、先頭集団から遅れてしまった。
先頭集団を引っ張る「ペプシ・バルセロナ」のTaka-C選手にとっては、スタート早々の時点で唯一のチームメイトを失ったに等しい状況でもある。
また、上位入賞、できればステージ優勝を狙いたい「モースト・ピナレロ」チーム。今回はエースを欠くという厳しい状況のこのチームにとって、ビーオ・バイクスキー選手がこの段階で最後尾に位置するなど、まさに予想だにしないことであった。
だが、まだレースは序盤。今後どんなどんでん返しがあるかもわからない。
まだまだあきらめるには早すぎる。最後尾を走るビーオ選手は無線でチーム監督に状況を報告すると、いまや細い一本の糸ほどに細くなってしまった“希望の光”を見失わないよう、前方の一点を見据えて前へと進む。
冷たい風がさきほどよりさらに強く吹き始めた。まさに“風雲急を告げる”レース展開になってきた。
--+---+---+---+--
お、お、お、長くなってきてしまったぁ…。
次回へ続く!
(今回の記事はあくまでフィクションです! 実際に起きたこととは一切関係ないんだけれど……現実世界の参加者のみなさん、“物語のヒント”をくださり、ありがとうございました!)
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多数の観客が見守る中、「ツール・ド・タ・マガーワ」第二ステージ表彰式に備え、待機する選手たち。100km以上もの激しい高速レースを終えても、なお笑顔を見せる余裕すらある。常人離れした体力を持つ選手ならではの光景かもしれない。
この後の表彰式では紅白の紙吹雪が吹き荒れる中、美女2人に祝福のキスを受けた優勝者○○○は感激のあまり目に涙を浮かべ、優勝インタビューでは思わず絶句するシーンがあった。それほどの感動を皆に与えたこのレース、まさに「ツール」の名にふさわしい激闘のシーンの連続であった。
それでは早速、注目のこのレースを振り返ってみよう。
★「ツール・ド・タ・マガーワ」第二ステージ 詳細レポート
約2週間ほど前に行われた第一ステージは、2つの一級山岳に1つの超級山岳が含まれる厳しい山岳コースだったが、今回の第二ステージは、打って変わって比較的平坦基調のコースとなる。
平坦だからといって楽なレースになるかというと、むしろその逆の場合が多い。
コースがフラットな分、全体にスピードアップすることは間違いないし、風の強いこの日のような天候では、集団が中切れを起こし、波乱含みの展開となることも多い。
そんな混乱の中、逃げを決めようとするアタックが多発することもあり、スプリンターが有利な平坦コースと言えども、その展開には予断を許さない。この日のレースもまさにそんな非常に面白い展開となった。
まずは、出場する選手および所属チームを紹介しておこう。
●チーム・フラットバー・パワー
今回のレースの最大勢力を誇るのがこの「チーム・フラットバー・パワー」である。優勝経験もあるエースのオムアリ選手を筆頭に、出場する4台のバイクはすべてフラットバーハンドルを装備している。これは、今回のコースには路面の悪い場所が多く、一部にはシクロクロス的な路面が含まれていることを考慮してのものと思われる。最大勢力ならではのチームワークを利用して、早い段階からの逃げをもくろんでいる可能性が高い。
選手名:
オムアリ・パサド
クッスー・ホイクト
ユキ・チャン
スティーブ・N・ゴードン(通称SNG)
●ペプシ・バルセロナ・サイクルレーシング・チーム
大手スポンサーを持つこのチームのエースはなんといっても、通称Taka-Cことタカ・カンチェラーラ。彼の平坦路での圧倒的にパワフルな引きで、レースが異常に速い展開となることが多く、多くのチームは彼を徹底マークすること必至だ。一方アシストとして、今回新たに新人のニャン選手が加入。実力は未知数だがその活躍が期待される。
選手名
タカ・カンチェラーラ(通称Taka-C)
ニャン・コルナゴ
●キャノン&ジェイミーフェルト・レーシング(通称名:チームCJF)
選手層が厚く、非常にバラエティに富んだ戦略で戦えるのがこのチーム。軽量級山岳スペシャリストのブガル選手をはじめ、200kmを超える長距離のレースには滅法強い、スタミナ充分のトッシー選手。さらには、悪路にも対応するシクロクロス車を操らせたら名人とも言われるゴッシーニ選手らを擁し、如何なるステージにも万全の構えで対応する。今回のステージではどんな戦略が飛び出すのか楽しみだ。
選手名
ブガル・ピエポリ
トッシー・アームストロング
パオロ・ゴッシーニ
●モースト・ピナレロ・レッドストライプス
このチームの機材はすべてピナレロから供給され、パーツも軽量&高性能のMOstブランドで統一されるなど(一部選手の好みで別ブランドに変更される場合も…)、機材に徹底的にこだわったチーム。本来、今回のツール・ド・タ・マガーワには最高級カーボンバイクの「ピナレロ・プリンス」が供給される予定だったが、選手にアルミ信奉者が多いのか、ガリレオ2台、アングリル1台という異例の車種選択となった。本来なら、第一ステージで惜しくも2位に終わったエースのヒデ選手がこのチームで優勝を狙うはずだったが、今回は一部で噂されるドーピング疑惑のためか、急遽出場を取りやめた経緯がある。従って、今回のエースは誰になるのかは全く不明だ。
選手名
イヴァン・セイボンヌ
レドラー・ビット
ビーオ・バイクスキー
ヒデ・コンタドール(今回は出走直前に棄権)
--+---+---+---+--
★混乱の序盤戦
数千人とも数万人とも思われる大観衆が見守る中、いよいよ「ツール・ド・タ・マガーワ」の第二ステージの幕が切って落とされる!120人の選手たち、いや違った。12人の選手たちの熱い戦いがいよいよ始まるのだ。
だが、サイクルロードレースファンならご存知のように、こうしたレースのスタートシーンはそれほどドラマチックなものではない。
そう、まるで“サイクリング”にでも出かけるかのようにゆっくりとスタートするのが通例だ。
フタコ・タ・マガーワの川沿いのサイクリングロードでの朝9時ちょうどのスタートシーンはまさに通常通り、何の波乱もなく幕を開けたはずだった。
ところが、今回のレースの重要性ゆえか、スタート直後に驚きのアタックがかかる。
誰もがそのアタックは予想していなかった!
“鬼引き”とも呼ばれるその高速平坦走行能力で知られるタカ・カンチェラーラ、つまりTaka-C選手がいきなり集団を飛び出したのだ。あっという間に高速単独走行状態になる。
他のチームももちろん指をくわえて見ていたわけではない。
「チームCJF(キャノン&ジェイミーフェルト)」の選手たちが真っ先に反応する。独走する「ペプシ・バルセロナ」のTaka-C選手を追う!
「モースト・ピナレロ」チームも負けてはいない。危うく逃げを決められそうになりながらもなんとか食らいつく。
一瞬反応が遅れた「モースト・ピナレロ」チームのビーオ・バイクスキー選手も、ちぎられまいと第一集団を懸命に追走する。
このアタックをきっかけに集団は早くも二つに分裂。何の変哲もない平坦ステージが、早くも混乱のステージへと変貌してしまう。
一方、Taka-C選手と同じ「ペプシ・バルセロナ」チームに入団したばかりのニャン・コルナゴ選手はチームメイトが先行する逃げ集団にいるため、急いで逃げ集団を追いかける必要がない。ここではサイクルロードレースのセオリー通り、後方の集団での“まったり走法”を決め込んでいるようだ。先頭交代に加わるそぶりも見せない。
「変則スタート形式」と呼ばれる今回のステージは、選手の獲得ポイントや実績によって3カ所のスタートポイントが設定されていることが特徴だ。
フタコ・タ・マガーワでのスタートは第一のスタートポイントでしかない。
続いて第二のスタートポイント地点、ノ・ボリートでは、「チーム・フラットバー・パワー」のクッスー・ホイクト選手が合流することになる。
実はこの“変則スタートポイント制”がレースを左右する重要ポイントになる。新たに選手が加わるスタート地点での混乱に乗じたかたちで、それまでの順位が大きく変動する場合があるからだ。
この第二スタートポイントでも、予想通り、大きく集団構成が動いた。
高速で逃げ続ける“逃げ集団”を引くのは相変わらずTaka-C選手だが、逆に第二スタートポイントで「モースト・ピナレロ」のビーオ・バイクスキー選手は大きく順位を落としてしまう。上位入賞を狙う「モースト・ピナレロ」チームにとっては大きな計算違いだ。
★まさかのアクシデント発生!
逃げ集団は快調に第三スタートポイントへと向かう。
だが、彼らを追いかけるはずの後方集団に、ここでまさかのアクシデントが発生してしまう!
多摩川サイクリングロード沿いをびっしりと埋める観客は、選手が通過するたびに大歓声を上げるなど、大いにレースを盛り上げていたのだが、一部の興奮した観客が道路上へと飛び出してしまったのだ!
非常に危険な状況が、後方集団の目の前に突如出現したことになる!
このあおりをモロに食らったのが後方集団2台目に走っていた「チーム・フラットバー・パワー」のユキ・チャン選手。急ブレーキを掛け、巧みなハンドルさばきでなんとか難を逃れる。
だが、そのすぐ後ろを走っていた「ペプシ・バルセロナ」のニャン・コルナゴ選手----今まさに加速体制に入ろうとしていた----は興奮した観客に気付くのが一瞬遅れた!
そのため、危険を避けるため、不自然なかたちでの急ブレーキを余儀なくされた!
そこで彼女が見せたのは、まさに選手の鏡とでも言えるような、愛あふれる行動だった。
そのままブレーキをかけているだけでは観客と衝突してしまう…ならば、自らを犠牲にするしかない…ということで、とっさにとった選択は“落車”することだった!
彼女の身体が一瞬宙を舞う!
金属とカーボンの融合したような、何度も聞きたくはない衝撃音が響く。
一瞬、騒然とする観客たち。
駆けつけた警備員が興奮した一部のファンを抑えにかかる。
そのまま彼女は起き上がれない…。
「これは大変なことになった。最悪の場合、レースの続行に差し支えるかも…。」
そのときそう感じたと、その直後を走っていた「モースト・ピナレロ」のビーオ選手は後で語っている。
だが、不屈のニャン選手は立ち上がる。
ドクターの応急処置を受けるとすぐに再スタートの構えを見せる。
擦過傷が痛々しいが、身体はなんとか大丈夫のようだ。
自転車はシフターにダメージを受けている。だが変速できない訳ではない。今後のレース展開に影響する可能性もあるが、ここではこのまま走り続けるしかない…。
幸運にもニャン選手はレースに復帰。何事もなかったかのように走りはじめる。
だがこのアクシデントで後方集団は、もはや致命的といえるほど、先頭集団から遅れてしまった。
先頭集団を引っ張る「ペプシ・バルセロナ」のTaka-C選手にとっては、スタート早々の時点で唯一のチームメイトを失ったに等しい状況でもある。
また、上位入賞、できればステージ優勝を狙いたい「モースト・ピナレロ」チーム。今回はエースを欠くという厳しい状況のこのチームにとって、ビーオ・バイクスキー選手がこの段階で最後尾に位置するなど、まさに予想だにしないことであった。
だが、まだレースは序盤。今後どんなどんでん返しがあるかもわからない。
まだまだあきらめるには早すぎる。最後尾を走るビーオ選手は無線でチーム監督に状況を報告すると、いまや細い一本の糸ほどに細くなってしまった“希望の光”を見失わないよう、前方の一点を見据えて前へと進む。
冷たい風がさきほどよりさらに強く吹き始めた。まさに“風雲急を告げる”レース展開になってきた。
--+---+---+---+--
お、お、お、長くなってきてしまったぁ…。
次回へ続く!
(今回の記事はあくまでフィクションです! 実際に起きたこととは一切関係ないんだけれど……現実世界の参加者のみなさん、“物語のヒント”をくださり、ありがとうございました!)
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