人類学的思考 & 『中国全史』下巻11 | Hiroshiのブログ

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今後不定期投稿となります

<梅酒作成打ち止め>

今年は豊作で新たに5L瓶を1本購入。全部で1.8L x 6 =10.8L作成。まだ梅の実は残っているが、ここまでとしたい。今年は1本の梅の木から大量に採れた。これで少なくとも半年は寝かせる必要があるから、後の半年で梅酒10.8Lを消費? 去年の分も消費するのが間に合わなかったくらいなので大変だ〜 嬉しい悲鳴。

 

 

 

 

 

<人類学的思考>

『中国全史』下巻を昨日読み終えた。読後の印象として、この本は歴史書であると同時にフールドワークの成果だとも思うが、同時に人類学の本でもあると感じた。そんなこんなで、次に選んだのが『人類学的思考で視るビジネスと世界』。出たばかりの本(原著のANTHRO-VISIONは2021年)

 

著者は人類学の博士号を持つがフィナンシャルタイムズの記者、編集者でもある。本の冒頭でコロナ下の人々の行動様式を分析して、それが示す心理シグナルを解析する必要性を語る。

 

著者はコロナによる社会の激震を、

 

社会が生まれ変わるチャンスさえ秘めたリミナルな瞬間であると伝えたら、人々を鼓舞することができたかもしれない』p15 とも述べる。

 

その通りだと感じる。私自身これで大学は変わらないといけないと思ったし、それは大学に限らない。今回そのチャンスを逃したかもしれない。

 

またBig Dataは何(What) が起こっているかを示すことができるが、何故(Why) 起こっているかには沈黙しているとも。p17 

 

つまり、それを元に解答するAI、Chat-GPTにできないことがあるということだ。それが出来るのは「独断と偏見」を持つ人間だろう。いつも言うように「独断」は独創につながり、「偏見」は予見に繋がる可能性がある。

 

 

…それは兎も角、『物流の世界史』もまだ半分残っているので暫く並行して読むしかないね。時間は限られているから、良い本を選んで読まないといけない。難しいのは読んでみないとその判断ができないこと。勿論、『中国全史』は文字通り超〜お薦めの1冊でした。

 

 

ま、それはそれとして、今夜はSalsonだ〜!

 

 

 

 

『中国全史』下巻11

しかし、大躍進は終わりではなかった。次にまっていたのが文革である。1966年毛沢東は紅衛兵を動員し、右派と彼が称する者に対し反撃を試み、彼の死までそれは続いた。著者によればこの文革こそが中国人のアイデンティティーを破壊するものだったとか。即ち、習慣、文化、思想、風俗を「四旧」として徹底的に破壊した運動だからだ。p238

 

最近私は、今、習近平氏はもしかするとこの破壊された「中国人のアイデンティティーを復興させよう」としているのかもしれないと、考えるようになった。これは先日読んだ『信仰の現代中国』に影響されてのもの。

 

ここで再び、安徽省の鮑一族の話が出てくる。彼らはかつて塩商人としての先祖が残した貴重な文献や書画、絵巻を命がけで守ったとか。彼らは重要なものを庭に埋めて、その上に芝生をかぶせ、それ以外の書物や本を紅衛兵の前で燃やしたとか。p239

 

同様に徽州の謝一族は天井に隠して守ったが、太平天国の乱の時と同様、人命が失われた。これらの殺人は集団パニックだけでは説明がつかず、多くの動機は怨恨や私欲だったとも。p240

 

毛沢東のすざまじい権力志向とそれを支える個人崇拝は長年の「国辱」の記憶で強力な支配を必要とするとの意識から見たとしつつも中国史上最悪のパラドックス、最悪の大惨事と著者は表現する。そしてそれを陳雲の言葉で表現する。

 

『毛は1956年に死んだら不朽の名声を得ただろう。66年でも欠点さえあれ、偉大な人物だった。しかし彼は76年に死んだ。あ、あ、何と言うことが出来るだろう』p245

 

 

あ、あと2回ほど続きます。