<科学者としての謙虚さ>
先日AK氏のコメントで京大の宮沢孝幸氏のことを知った。それに関連して超過死亡率から見たコロナの影響を考える。
https://ameblo.jp/xuzhoumeso/entry-12751247801.html#cbox
結論から言えばコロナパンデミックの間、特に死亡率は上昇していない。これをどのように解釈するかで見解が分かれる。
https://ameblo.jp/bigsur52/entry-12749322196.html
1つは、宮沢孝幸氏のように別にコロナは脅威ではない。コロナで死んだ人もいるが、それは「本来死ぬべき人が死んだに過ぎない」全体としては大きな影響はなかったと。
しかし、この結論は重要な側面を取りこぼしていると考える。この2年以上、世界の人の動きを止め、経済に甚大な影響を与えたロックダウンや鎖国をしてきたから、これだけの被害で済んだという点。もし何もしなかったら、イタリアやインド、ブラジルで起こったようなことが他の国でも起こらなかったとは言えない。それともあの悪夢は幻想の世界だったのか?
2年経ち、驚異的なmRNAワクチンが出現し、ほとんどの先進国では集団免疫が成立しつつある。個人的にはもう、コロナは普通の風邪になったと感じている。勿論。今後新たな強毒株が出現する可能性はゼロではないが、もしそのようなことが起こっても免疫を獲得した人にはそれ程の脅威にはならないだろう。但しこれは希望的観測。誰もこのパンデミックの結末は知らない。歴史になるにはまだ少し時間がかかる。
最初の話に戻り、YouTubeの動画を見た限り、ウイルス学者である宮沢孝幸氏の意見は少し慎重さが足らないように感じる。同意できる面も多々あるのだが、我々がコロナについてまだよく知らないという科学者としての謙虚さが同氏には欠けている。
内輪で話す分には構わないが、大衆に向かい軽率な意見を述べるのは立場上影響が大きい。とりわけ医療崩壊が起こり大勢の死者が出た国に対し無関心、無神経だと思う。
『2030年の世界地図』2
本の内容そのものには不満だが、対談の部分が面白い。最初の対談は阪大の経済学者、安田氏。
同氏は中間層はグローバル化で中抜きされるあぶれるが、サービス業は国内に残ると言う。p115
確かに地元密着型だからそう言う面はあるが、しかしこれは将来ロボット化されるのでは?
現代資本主義では格差が広がるがこれには2つの解決策があるという。1つは政府による再分配。もう1つが企業の意識を変える間接的アプローチだと言う。120
しかし如何だろう? 後者は難しそうな気がするし、意識を変える企業とそうでない企業が何らかの形で選別されインセンティブを前者に与えないと難しい。
省エネ、再生可能性エネルギーの中で太陽電池では日本は2000年代まで先端を走っていたが、中国にお株を奪われた。その理由として安田氏は投資を続けることができなかったからだという。p125
それが事実だとすれば、政府も企業も大馬鹿ものということだ。もしかすると、原発維持(基礎発電量を前提条件に入れると他の発電は不要となる計算式)の思惑が裏で働いたのかもしれないがどうだろう?
https://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/5225/trackback
つまり、以前議論した「原発ありきの方程式*」と同じということだ。その方程式からは決まった答えしか出せないし、それ以外の選択肢は不要となるやり方だ。実はこれは入試問題などを作る際に重要となるテクニック(爆)
日本の場合、太陽光発電はかなり進んだが、風力はわずか1%、海流発電に至ってはゼロベース。日本列島が天候に左右されない、巨大海流2つ(黒潮、対馬海流)の恩恵があるのに何故、開発できないのか不思議だ。当初は1kwhあたり10円程度とされていたのが40円になり、他のエネルギーと競争力で負けたとされるが、計算と現実がかけ離れたのは単に技術の問題。これは克服可能。やはり、それを妨げる思惑=原発ありき?、があるに違いない。
https://www.ihi.co.jp/ihi/all_news/2017/technology/1190413_1639.html
https://www.youtube.com/watch?v=W6SgpfVygFs
大規模発電ではないにしても、列島を取り囲む小規模、分散型ネットワーク型発電として開発したら世界の先端科学となるはず。廃棄物処理や災害対策がある原発よりも科学レベルはそれほど高くないはず。
さらに安田氏はシェアリングを取り上げている、流石だ。p131 そう、日本のように人口密度が高く同質的社会では、どこよりも「共有」というシステムがうまく働く。例えば車、24時間のうち精々1〜2時間しか使用しない車を所有する意味は無い。
*Teacupからの再録(2018/2/3のblog内容)
<試験問題の作り方>
金曜朝のニュースで京都大学でも物理の入試問題に解答不能のものがあり追加入学を検討中とのこと。この大学では14人の問題作成委員が関わり、11回も会合を開き検討し、それ以外に試験中に別の委員が3人で問題を解いて確認しているらしい、すごい態勢である。京大のような大きな大学だからできること。普通の大学では到底不可能だ。(断言!)
…それでもこうした問題は起こる。報道によれば物理の問題にどうやら複数解答が存在し、正答が1つに限らないということらしい。
http://www.yomiuri.co.jp/nyushi/18/news/20180201-OYT8T50028.html
さて、これに直接関係するわけではないが、先日の原発と送電線問題についても同様なことが言える。先に以下のように述べた。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/5223/trackback
『「原発ありきの方程式」ということだ。その方程式からは決まった答えしか出せない』
実はこれは入試問題などを作る際に重要となるテクニックだ。
当然のことながら入試では解答が複数でるような問題を作ってはいけない。しかし、自然界の現象では幾つかの可能性が存在し、そのまま使えば複数解答=解答不能ということになる。ではどうやってこれを回避するか?
実は試験問題には目立たぬように書かれている条件がそのカギとなる。例えば、
「その際、化学反応は起こらないものとする」 とか、
「温度は一定とする」とか、
「反応は真空中で行った」 など。
これで他の可能性を排除できる。そうして問題作成者は安心して試験に出せるというわけ。 先の問題も原発の最大出力をベース電源として方程式の条件にいれているから「送電線の空容量はゼロ」という解答しか出てこない。実に簡単なカラクリ。
著名な評論家も見事このカラクリに引っかかったみたいだ(笑)
http://agora-web.jp/archives/2030802.html
逆にいえばこの目立たなく書かれた条件の意味するところに気がつけば正答を求める方策が見つかるというもの。これぞ「解法のテクニック」←受験生の時に使った参考書のタイトル!