<Next step>
前回は特別ニュースだったのでいち早くアップしたが、以下はその続き。
もし「nsp14仮説」が正しければ、このnsp14を標的にする薬剤を探すことが考えられる。これには以前ここで紹介したDrug repositioningが役にたつ。即ち、既に承認されている1万4177種(日本の場合)の医薬品を網羅的に調べる方法。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/search_drug
ウイルスに対する効果なので感染阻害効果よりはるかに簡単で、多分数ヶ月以内に見つかるだろう。しかも既に使われている医薬品なので副作用、副反応も確認済みで直ぐに実用化可能。非常に期待できる。
https://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/4766/trackback
よくやるのは96穴のプレートで同時に調べる方法、ハイスループット実験という。
https://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/6253/trackback
https://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/4743/trackback
もう1つの方法として、AIでnsp14蛋白の3D構造を解明し、これによく当てはまる医薬品をこれまた上の医薬品から探す方法(MDD、molecular drug design)。もちろん最後は上記の実験で効果を確認する必要がある。下記のYoutubeにわかりやすい紹介がある。
https://www.youtube.com/watch?v=u49k72rUdyc
ま、今ならこの2つの組み合わせ、MDDで絞り込んだ上で薬剤の効果を確認するハイスループット実験かな?
ちなみにnsp14の論文が出たmBioという雑誌はASM(アメリカ微生物学会)学会誌だが、この学会には何度か参加したことがある。但し、いずれも特別会(分科会)で総会には出たことがない。総会は巨大でしょうね。最後に出たのはカナダのカルガリーであったミニ学会、それでも世界中から百人近く来ていた。
https://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/1478/trackback
『米中ハイテク覇権の行方』2
华为の研究資金はトヨタの1.5倍。18万の従業員の内、8万人が研究開発、売り上げの10~15%を研究開発に投入しているとか。因みに2018年時点で世界特許は世界一の5405件。p136 この事が米国で民主党政権に変わってからも対中政策には変化がない事を、いやむしろトランプの政権以上に警戒心を持っていることとつながるのだろう。
このようにアプリには非常な強みを持つ中国だが、意外な弱天として素材などはアメリカや日本頼みという点があるとか。p186
アリババはブロックチェーン技術を使った海外送金システムを東南アジアで完成されたらしいが、p188これはまで日本には導入されていないはず? もしご存知の方がおられれば是非コメントをお願いします。
これが拡大すれば銀行は危機的立場になる。 いや、それ以上に国際通貨としての「ドル支配」が崩れることになるので金融界に激震が走るはず。
ある国際政治分析者、イアン・ブレーマー氏は今後、グローバリズムが終わり、世界の二極化が進むと予言する。p196 なんだかそんな事が起こりそうな雰囲気を最近とみに感じるが、どうだろう? 最近の恒大集団をめぐる事や、エネルギー不足による停電事件などもそれと無関係なのか? 少し見守る必要を感じている。
同氏はさらに国際戦略を持たないトランプ政権に習近平政権は「つけ込んでいる」とすらいう。それはよく判る。彼は所詮、ビジネスマン的感覚しかない人物。p204
最後に同氏はAIや自動化が進んでも人口減少を抱える日本は失業者が増えないのでチャンスだともいう。p206
しかし、それはどうだろう?? AIや自動化はそれを使う人材が必要だが高齢化が進んだ日本ではそれらの人材を提供できるだろうか? 私は日本の「中高年男性症候群」が心配だ。
最後に同氏は「米国が抜けたTPPの失敗」を繰り返していはいけないというが、p207 既に状況は好転した。それどころか、今では中国に対し融和的だったEUまでもが危機感を共有しうつつある。むしろ私はこのコロナという想定外の出来事を契機に世界の分極化が進んでいるような気がするのだが。どうだろう?