<コロナ感染減少に関する新仮説>
最近の日本における急激なコロナ感染の減少は専門家でも不思議に思っているらしいが、これに関係があるかもしれない新たな仮説が出されている。その中心にあるのがnsp14変異。この遺伝子産物はexonuclease活性を持ち、校正機能を持つとの報告がある。
https://www.kochinews.co.jp/article/detail/518348
確かに、校正機能に突然変異を持つ変異株(専門用語ではmutatorという)なら増殖が抑制されるのは理論的にはありうる。
http://jsv.umin.jp/journal/v70-1pdf/virus70-1_029-036.pdf
但し、これが「疫学的な感染減少」を引き起こすとするには、
《デルタ株より、この変異株の方が感染力が大きい=デルタ株に感染で勝った》
という事実の確認が必要。そうでなければ、これまでのデルタ株は変異株とは無関係に増え続けるので、この変異株に置き換わったという説明は出来ない。但し、これは実験的には容易に結論が出ることだから、そのうちこの仮説の真偽が明らかになるはず。
仮説は検証されなければ価値がない
それにしても、校正機能を持つRNAウイルスのRNA分解酵素というのは初めて聞く話。成る程、研究はドンドン進んでいるね!
ただ1つ、注意しなければならないことは、この仮説が正しいとしても、否。正しければ尚更、他の株が日本に入って来れば『元の木阿弥』になる。あくまで日本での新変異型の流行による「一時的な減少」と考えたほうが良い。今後も今までどおりの感染対策が重要。
因みにnsp14の校正機能についての報告は2017年のmBioというASM(アメリカ微生物学会)から出しているオンライン雑誌に載ったらしい。
https://journals.asm.org
https://journals.asm.org/journal/mbio
https://journals.asm.org/journal/mcb
この雑誌の現在のIFは7.867でもの凄く高い! まだ雑誌が出版されて12年しか経っていないようだが、信頼性の高いオンラインジャーナルとして評価を受けているよう。