相関と因果 & 『「イノベーターのジレンマ」の経済学的解明』3 | Hiroshiのブログ

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今後不定期投稿となります

早朝から体の節々が痛く目をさます。また喉の調子も悪い。特に腰が痛い。夜の間、風の音が聞こえていた。早々に起きだしてTVで台風情報を観る。幸い福岡はそれほどのことはなさそうだ。むしろ先日台風15号で被害を受けた関東がまた被害を受けそうだ。そんなことを考えていたら先日の回帰分析のことに考えが及んだ。忘れないうちに記録しておこうと今日2回の投稿だが、以下に記す。



<台風から相関と因果を考える>
また大型台風19号がやってきた。データーを見れば過剰反応ではなく、歴代の台風に比べてもかなり大きいようだ。この時期超大型台風というのは海水面の温度がこれまでになく高いからだろうし、それはこのところの地球温暖化と関係があるのだろう。

 

問題はそれが大気中の温室効果ガス(CO2)の上昇と因果関係があるかどうかだが。回帰分析という手法は対照実験と異なり、因果関係がない場合もある。すなわち温室効果ガスの上昇とこうした自然災害の上昇(=地球温暖化)には何の関係もない場合もありうるということだ。これをきちんと区別できないといけない。但し、トランプのように頭から「フェイクだ」というのはそれ以上に愚かなことだ。 因果関係があるという可能性を考えて、それなりの対応が必要。

 


因みに夜トイレに行く頻度と、投薬効果は「対照実験」で因果関係を探るのに有効な方法(笑)
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『「イノベーターのジレンマ」の経済学的解明』3
内容が後半だんだん難しくなったので(少なくともそのように感じた)十分理解しないまま最後まで進んだ感はある。しかし、兎に角、最後まで読めたのは良かった。大変面白く勉強になる本だと感じた(十分理解したわけではないが)これから同類の本を何冊か読んでいけばより深い理解も可能になるとの確信がある。それは昔、西欧中世史やイスラームを勉強した時に実感したことなので間違いないだろう。

ここで著者自身が経験した1つの逸話が語られる。それは大学院博士課程の指導教授の1つ目の質問が、

What’s your question? と言うもの。著者が言うには世の中の多くの研究はこの項目をクリアーしていないとか。p266

その例に <手法を〇〇に応用してみた> とか <業界における〇〇戦略について調べた> とかいうものだ。p267

それは何となく実感として分かる。私自身振り返ってみても最後の10年の研究テーマの根本質問は、『〇〇の増加は老化の原因か?』と言うものだった。しかし、最初からこの問いかけは難しそうだったので別の「小さな問い」を代わりに立てて研究を進めた。

それが『〇〇を壊す遺伝子(タンパク)を同定する』というものだった。つまり、もしそのような遺伝子(=タンパク)を見つけることができれば。その遺伝子を破壊(現在では非常に簡単)すれば(=〇〇が増加するはずなので)老化は促進されるはずとの「読み」だった。

その結果、数個の遺伝子を同定できたし、それで論文も沢山書けたし、大きな研究資金もいただけたが、最終目標である『〇〇の増加は老化の原因か?』の問いにはとうとう辿り着けなかった。それはもしかすると沢山遺伝子があることからも判るように、1つ2つ遺伝子を壊しただけでは、補完する遺伝子が他にもあるので目に見える変化が得られなかったのかもしれない。(事実、数個の遺伝子を同時に破壊するところまでは研究は進んだ)あるいは、

仮説そのものが間違いだった可能性もある。つまり、最初の問いの『〇〇の増加は老化の原因か?』との問いは『老化に伴い〇〇が蓄積する』という観察結果に基づくものだが、両者にはもともと因果関係などなく、単なる並行現象だった可能性もある。いずれにせよ、

<正しい問いかけ>   と、
<直接的に解明する>  方法論をうまく組み合わせないと成功しない。

M&Aについて、シスコ社の話が出てくる。これはSFのゴールデンゲイトブリッジのロゴを持つシスコ・システムのことか? もしそうなら、記憶にある。

著者によれば、この会社はStanford大学の学内ネットワーク担当エンジニアが創業した会社らしい。p278 その時期は私がこの大学にいた時期と重なる。同時は全く知らなかったが、留学から帰国して、毎年のようにStanfordを訪ねていた時期、この会社の噂を聞いていた。 意識が低かったので何故、こうも噂になるのか当時は分からなかったが意外とそうした関係があったからなのかも?

著者によれば実際のイノヴェイションの成功例はアメリカと中国の一部だという、具体的に名前を挙げていないが多分、中国はテンセントとアリババではないかと思う。GAFAM plus 2の+2だ。
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最後に著者は言う。

『結論や解答そのものに大した価値や面白味はない… どんなふうに考えながらそこに到達したかという道のりこそが一番美味しい』 p311 非常に共感する。まさにそれがいつも本に私は求めているものだ。

<データーベースとして>
お薦めの1冊に挙げられている本に『「原因と結果」の経済学』副題:データーから真実を見抜く思考法。ダイヤモンド社、2017年。p317

これも読むべきリストに載せておこう。