『世界をダメにした10の経済学』8 | Hiroshiのブログ

Hiroshiのブログ

今後不定期投稿となります

 

書きだめが沢山溜まっているので追加放出



『世界をダメにした10の経済学』8
ノキアの栄光と没落: フィンランドのノキアは当初、ゴム長靴とケーブルそれにトイレットペーパーの会社だったが携帯事業で成功し一時はヨーロッパ最大の企業に成長した。p284 ところが、iPhoneの出現や携帯のコモディティー化による価格競争で時価総額の95%を失い、2013年にマイクロソフトに携帯電話事業を売却この分野から撤退した。p259  そうした例からも著者は技術確信による創造的破壊を重視する。

この創造的破壊は長い目で見たとき規制よりも優れた拮抗力になるという。p270 例えばAT&Tと地域ベル電話会社への分割独占状態に終止符を打ったのではなく携帯電話技術のせいだと著者は言う。p271 

これはそうかもしれないと感じる。結論として著者は自由市場は独占をつながるというのは間違いで創造的破壊でそうした独占は覆されるという。p274

9番目の邪悪な理論として著者が挙げるのは「陶酔的熱病、恐慌、崩壊は資本主義の宿痾だ」とするもの。ここで面白いことを冒頭に著者は言う。曰く、

『数学と違い、単なる言葉は信頼できない。文章の達人が作りこみ、紙に書いた言葉は特にそうである』という事。p277

これは実は同感だ。いつも言うように私も『数字でナンボ』がモットー。言葉はあまり信用できない、特に麗文は(笑)。 先日も話題にした事とも関連する。
https://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/5889/trackback

それは兎も角、著者は陶酔的熱病には2種類あるという。1つは政策ミス、p279 もう1つは技術革新がもたらす不確実性。p282 後者により過剰な期待が起こる。しかし成功するのは2割だという。p293 しかしそのリスクを払っても投資の必要があると著者は考えている。そして『安全資産の現金や国債を手放して不確実な産業や研究開発に投資を振り向けない傾向こそ、懸念すべきではないか?』という。p294 

この考えには基本賛成である。ただし、これまでこの投資資金がリスクなしの表看板で一般の人を巻き込んだことに問題があると感じる。2008年のリーマンショックはそれではなかったのか? 

このリスクについて著者はリスク評価の仕方が間違っていたということについては認めているようだ。2つの間違いで1つは「リスクは正規分布を取る」というもの。これは以前、ベキ分布を取るということと繋がる。
https://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/5426/trackback

もう1つは、未来は誰にも判らないのにリスク評価モデルは過去のデーターの延長として計算されるというもの。これもよくいう事だが『歴史的瞬間には経験則は役に立たない』という事。
https://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/5322/trackback

昔、NHKの「マネー資本主義」という番組を批判して、

『倒産確率を過去の資料から抽出したと番組では云われていたようだが、「愚者は経験学び、賢者は歴史に学ぶ」という。 大規模な変化が起こる歴史的瞬間には経験則は役に立たない。番組では十分な確率に関する資料を欠いていたということを原因とされていたようだが、確率はあくまで限定的な条件化での確率、状況次第で幾らでも変る』

と述べた事があるが、まさにそれに相当する。これを自分の専門である癌化仮説から理解できた。
https://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/1526/trackback

この時点ではまだベキ関数という概念は無かったのでこれを加えるとよりこの点が腑に落ちる。しかもこのベキ分布は生物界でも起こっている現象だということもその後知った。少しは利口になった?
https://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/5165/trackback