ハロウィーンの翌日・・・いよいよ11月に入ったセドナ最終日。
午後にはシャトルに乗って、空港のあるフェニックスまで戻らねばならないやや慌ただしい時間をどう有効に過ごそうか考えた末、セドナで買ったガイドブック、セドナ・トップ10ハイクスに載っていた
ハッカバイ・トレイル Hackaby Trail
と言うところをハイキングすることにした。
*獸木(けものぎ)が帰国してから遅ればせながら見つけたハッカバイ・トレイルの記事(現地旅行会社アメリカ・トラベル・ファクトリーのスタッフの方のブログから)はこちら:
http://atfsedona.blogspot.jp/2013/05/huckaby-trail.html
川沿いの緑深そうなところを歩くトレイルで、とっても簡単で歩きやすくて往復3時間という、半日弱を潰すのにちょうど良さそうなルートらしい。
今度は詳しいガイドブックも持ってるし、ビジターセンターのおじさんも「あそこは絶対迷わんよ。」と保証してくれたので、バッチリである。
「このトレイルで、もし迷うとしたら歩き始め」とガイドブックで念を押していたので、駐車場係のお兄さんにトレイル入り口をよっく確認してから歩き出す。
すぐにいかにも
犬の散歩がてら来ました
と言う感じのレディと出会い、楽勝の予感!!
しかし彼女としばらく歩くうち、トレイルなのか藪なのかよくわからない場所に入ってしまった。
「大丈夫。たぶん犬が道わかるから」とずんずん行く彼女。
しかし獸木は何かよからぬ予感がして、「私ちょっと戻ってみます」とやや後退した。
あとでこの判断があながち間違っていなかったことに気づくのだが、どういうわけかやや後退してウロウロしてるうちに、さっきレディと迷ってた地点の少し先に続いていた道に接続してしまい、そのままレディを追う形に。
トレイルがまた出てきてちゃんと道があるのだから、まあいいかと思い、そのままずんずん進む。
今度はガイドブックがあるので、トレイルのマップを確認するが、道は一本しか書いていないし、ここがそうなバズ。
ルートとしては山の上から渓谷に向かうはずなので、道がやや下りになった気がして緑と日陰がちょっと多くなったあたりで勇気百倍になってさらに足を速める。
ところが・・・・
途中から聞こえてくるはずの川のせせらぎの音がなかなか聞こえてこないばかりか、なんとなく道が険しくドライになって来た。
岩肌が迫ってくるのに、渓谷らしい谷間が見当たらず、そして・・・
人っ子一人いない
そうさっきのレディと別れてから誰にも会わないのである。最初は前方に聞こえていた犬の鳴き声ももう聞こえず、あたりは
しーん
と静まり返っている。
ここでジタバタするのは遅いので、とりあえず前に進み、1時間半経って終点につかなかったら戻ることにした。
この辺りで、迷ってから初めて一つの標識に出会う。「マーグス・ドロー・トレイル Marg's Draw Trail」。
セドナはよくいろんなトレイルが交差しているので、自分の歩いているトレイルと違う標識に出会うことはままある。
だがそもそも標識自体が非常に少ないので、まれに出会う聞きなれない名前の標識には結構重要な意味がある。
その教訓を、獸木はセドナ初日の迷子から全然学んでいなかった。
学ばない人生をさらにしばらく行くと、ホレ見たことかと言わんばかりにこんな荒野みたいなところに出て、もはや水音を聞くことはないと悟る。
さらに悪いことに、途中でトレイルが途切れて、道がわからなくなる場所が多発してきた。
もはやトレイルというよりは獣道。道なのか藪なのかわからない場所での唯一の手がかりは人の足跡。
むしろ前を見ると迷うので、しっかり足元を見て、足跡がたくさん付いているルートをたどる。
ところが〜〜〜〜
さらに行くと思いっきり開けた岩の床に!!!
もはや足跡もなく、こういった広〜い岩のテラスが何段か続いている。
下手をすると戻る道すらわからなくなるので、周りの景色や石や植物をよ〜く目に焼き付け、往生際悪く岩のテラスを登ってしばらく進む。
*獸木が目に焼き付けた植物とトレイルの接続口
それにしても、なんだか不思議な場所である。どこだかわからないことを除けば景色も素晴らしく、壮大で、静寂そのもので、明るい日差しに光り輝いている。
光り輝いている・・・
・・・何が?
そう、岩がキラキラ光っているのである。
こんな雲母らしきキラキラや・・・
さらにはこんな・・・
ん?なんだろう、この白い水玉?
拡大してみましょう
おお〜
水晶!?
確かベルロックとかもそうだと聞いてたけど、岩に水晶が埋まってるというか、場所によっては岩山ごと中身水晶みたいなとこもあるらしいセドナ(詳細不明)。
獸木は石の波動とかよくわかんないけど、セドナを勧めてくれた、あぐりんさんとかを連れてきたら「○○ヘルツの波動が・・・」とかいう感想が聞けるような場所なのかも・・・
時計を見ると予定の一時間半がとっくに過ぎ、ここで戻るより選択肢はない。
せっかくなので、岩のテラスに座ってしばらく景色と空気を堪能し、満足したところでよっこらしょと腰を上げる。
すると、
鳴き声と共に、前方に突然あの
初日に迷った時も大活躍したあの・・・
青い鳥が舞い降りた!
またお前か!!!
一体全体なんなのさ!?
おい青い鳥!
コラ!!!
(すみません・・・)
初日に青い鳥と獸木の間で何があったかは、この記事を見てね:
http://ameblo.jp/bigcatstudio/entry-12218621720.html
すっかり気の置けない仲になった青い鳥に忌憚ない思いをぶつけてちょっとスッキリし、覚えていた石や植物を頼りに来た道を戻りつつ、何気なくポケットに手を入れると、昨日ハロウィーンでお店のおじさんにいただいたチュッパチャップスが出てきた。
人生初のチュッパチャップスを舐めながら小一時間ほど戻ったあたりで、ようやく迷ってから初めてのハイカー、ワンワン吠える巨大な犬を連れたカップルに会う。
カップルが、獸木に襲いかからないよう必死に犬のリードを握って道の脇によけてるのも構わず、ずんずん近づき
「ここってハッカバイ・トレイルですよね?」と尋ねる獸木。
「違うよ、ここはマーグス・ドローだよ。」
ん?何か覚えのある響き・・・そうさっきの標識に書いてあったトレイルである。
「ハッカバイは駐車場に戻って反対側の、山を降りた方だよ。」
が〜〜ん
全然違うトレイルじゃん!!
しかもほぼ出発点から真逆方向の道を突き進んでいたのである。
歩けば歩くほど、目的地から離れていたのである。
さらに駐車場の近くまで戻ると、獸木が行こうとしていたハッカバイから戻ってきた数人のグループと遭遇。「次の機会にね」と慰められながら、駐車場で改めてトレイル地図を確認。
ほんと、めっちゃ真逆だわ〜
歩き出す前にこのトレイルマップを見ていればある程度オッケーだったかもしれないが、今回はガイドブックを持っているからと過信していたのだ。
*詳細なようで意外にシンプルだったガイドブックの地図
ハッカバイから戻ってきたグループの方が親切に、車で一気にハッカバイの終点まで20分くらいで行ってしまえるルートを教えてくれたが、この時は炎天下を4時間近く歩いてかなり力尽きていたので、レンタカーを返してホテルに戻り、午後遅くにフェニックスへ向かうシャトルに乗った獸木。
明日の早朝にはフェニックスから帰りの飛行機に乗って日本に向かうのである。
セドナで最後に通過するベルロック近くで、シャトルの運転手さんがラウンドアバウトを一周して、ベルロックとセドナにさようならを言わせてくれる粋なサービスをしてくれた。
感傷に浸る獸木の目に、ベルロックの、自分がアクセスしたのと反対側のなだらかな斜面に、かなりの数の団体客のみなさんが佇んでいる光景が飛び込む。
なるほど、昨日獸木が行き過ぎた近い方のトレイルが、やはり一般的な観光スポットらしい。
つまり行った場所の半数くらいが、正規の観光スポットからずれていた可能性のある今回のセドナ旅行。
しかしおかげでとってもスリリングで、人っ子一人いない自然の中でのワイルドで、時に現世離れした神秘的な時間を過ごし、毎日危なっかしい珍道中を思う存分楽しんだ末の平和な帰路・・・
最後にマーグス・ドロー・トレイルで転んだ時、以前庭の池を掃除してて骨折した肋骨をまた痛めたらしく、帰国してからもしばらく胸が痛かったり息が苦しかったりしたけど特に命に別状なかったし、めでたしめでたしである。
ありがとう、セドナ。
・・・と、思ったが
実はこの旅行には、最後にもう一つの難関があった。
帰りはフェニックスからロサンゼルスへ飛び、ロスから成田へ国際便だったのだが、このロスでの乗り継ぎ時間がわずか・・・
51 分
だったのである。
基本乗り継ぎ可能な時間がないとチケットの発券はできないことになってるらしいから物理的にはOKなわけだが、それは飛行機が定時に着いて定時に出発し、広大なLAXのターミナル間を滞りなく移動できた場合の話なので、フェニックスからロスへの飛行機が気持ち遅れたり、国際便がさっさと飛ぶモードだったり、乗り継ぐ人間がどんくさかったりした場合どうなるかは想像に難くない。
なぜそんなフライトにしてしまったのかと思われるだろうが、実は行きの乗り継ぎ時間が5時間くらいあったので、その長さに驚くあまり帰りの方を全然チェックしてなかったのである。
いろいろ不注意だった今回の旅。
その転末は・・・
次回最終章で!!