クリスマスが近づいた頃、子供の学校で毎年恒例のキャロルコンサートが開かれた。
学校に併設している教会で行われ、仕事で来られない夫の代わりに義母が来た。
コンサート当日、私はPTAの手伝いがあり席取りができないので、早めに来た義母に私の分を確保するように頼んだ。
PTAの手伝いが終わり、義母の所に行くと私の座るスペースはなかった。
義母は私の方を見てキョトンとしている。長椅子においていた義母のバッグを動かし「ここに座る?」というが、そんな5センチもないスペースにどうやって座れというのだ。
案の定、義母は私の座る席の事を忘れてしまったようだった。
近くに座っていた人が顔見知りで、気を利かせて席を詰めてくれたのでなんとか座ったが、義母が忘れていたことがショックだった。
義母の記憶が衰えていることは重々わかっているのに、このような記憶の欠如を目の当たりにすると、やはりショックだった。