このところ食いもんネタが続きましたので(笑)、またちょいとお勉強😉
実は私、今年の大河ドラマ『光る君へ』観ていないのです。それでもやはりちょっと気になるので大河ドラマにあやかって、藤原道長のマブダチらしい藤原公任の歌を取り上げてみます。
中世以前は不得手ですし、ましてや私は歌心なんて無いのですが、この絵は明治20年の月岡芳年によるものです。添え歌は平安当時の表記ではないでしょうね。ですが、明治なら近世〜近代まで使われていた御家流のくずし方、変体仮名ですので近世古文書読解の史料として適当と考えます。
なお、この歌が読まれた背景については、ご興味があればご自分でお調べ下さい😅笑
右上↗️の歌の部分を拡大します。
徒きの百姿 公任
志らヽ登
しら希多る
夜農月可け耳
雪かき王けて
梅の花折る
タイトル最初の文字「徒」は「と」ではなく変体仮名という漢字を崩した字で、仮名(かな)として読む場合には「つ」と読みます。
1行目3文字目はいわゆる「字送り」です。
前の字を1文字繰り返すのは「ゝ」「々」等ですが、2文字の場合には「ヽ」になります。
例:つらヽ=つらつら
いずれも「じおくり」と入力すると変換候補に出てきますね。
2行目3文字目、「希」=「け」です。「き」ではありません。希は稀有の稀と同じです。
3行目先頭「夜」の次の文字
ずいぶんと久しぶりだったので、正直わからなくて調べちゃいました。これは農業の「農」で「の」です。「の」は殆ど「能」か「乃」で表されますね。しかし「農」も仮名として「の」と読みます。私の浅い経験では頻出ではないので偶に出て来ると迷います
※ちなみに漢字の「之」は「の」ですが、変体仮名として使われる場合は「し」です。この辺がややこしや。
「希」=「け」、「可」=「か」、「王」=「わ」などは拙ブログのテーマ『きるろいの古文書入門』のいろは四十八文字の変体仮名表をご確認ください。
【現代語表記】
月の百姿(ひゃくし)
しらじらと
しらけたる
夜の月かげに
雪かきわけて
梅の花折る