藤原みっちゃんのマブだち歌人 藤原公任の歌 | きるろいの快刀乱麻

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主に近世日本と落語ネタを綴っていくことを目標にして開設。最近は食いもん系が多いです。2024年はちょっと慎重に動きます(`_´)ゞ

このところ食いもんネタが続きましたので(笑)、またちょいとお勉強😉

実は私、今年の大河ドラマ『光る君へ』観ていないのです。それでもやはりちょっと気になるので大河ドラマにあやかって、藤原道長のマブダチはてなマークらしい藤原公任の歌を取り上げてみます。


中世以前は不得手ですし、ましてや私は歌心なんて無いのですが、この絵は明治20年の月岡芳年によるものです。添え歌は平安当時の表記ではないでしょうね。ですが、明治なら近世〜近代まで使われていた御家流のくずし方、変体仮名ですので近世古文書読解の史料として適当と考えます。

なお、この歌が読まれた背景については、ご興味があればご自分でお調べ下さい😅笑


右上↗️の歌の部分を拡大します。

徒きの百姿 公任

志ら

しら多る

け耳

雪かきけて

梅の花折る


タイトル最初の文字「徒」は「と」ではなく変体仮名という漢字を崩した字で、仮名(かな)として読む場合には「つ」と読みます。


1行目3文字目はいわゆる「字送り」です。

前の字を1文字繰り返すのは「ゝ」「々」等ですが、2文字の場合には「ヽ」になります。

例:つらヽ=つらつら

いずれも「じおくり」と入力すると変換候補に出てきますね。


2行目3文字目、「希」=「け」です。「き」ではありません。希は稀有の稀と同じです。


3行目先頭「夜」の次の文字

ずいぶんと久しぶりだったので、正直わからなくて調べちゃいました。これは農業の「農」で「の」です。「の」は殆ど「能」か「乃」で表されますね。しかし「農」も仮名として「の」と読みます。私の浅い経験では頻出ではないので偶に出て来ると迷いますあせる

※ちなみに漢字の「之」は「の」ですが、変体仮名として使われる場合は「し」です。この辺がややこしや。


「希」=「け」、「可」=「か」、「王」=「わ」などは拙ブログのテーマ『きるろいの古文書入門』のいろは四十八文字の変体仮名表をご確認ください。



【現代語表記】

月の百姿(ひゃくし)

しらじらと

しらけたる

夜の月かげに

雪かきわけて

梅の花折る