所有者不明の土地解消のための相続手続 | 弁護士の労働問題解決講座 /神戸

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弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。

相続登記がすすまないで所有者が不明になっている土地がたくさんあります。

今国会でも、そんな土地を解消するための民法改正が行われました。

大きく2点を紹介します。

1 主張制限

相続開始(死亡時)から10年を経過したときは特別受益や寄与分の主張が制限されます

相続は、遺言がなければ遺産分割協議・遺産分割調停をすることになります。

その場合は、原則、法定相続によることになります(配偶者2分の1、‥などの法定相続分)。

特別受益や寄与分は法定相続分を修正する制度です。
これをいつまでも主張できるようにすると、遺産分割は進みません。

そのため、特別受益や寄与分の主張制限を設けることにしました。

これで所有者不明の土地が減少するとはあまり思えませんが、相続実務にとっては重要な改正です。

2 相続申告登記制度

相続登記を義務化して、登記をしない場合は過料10万円を科します。

行政罰(秩序罰)の脅しによって早期の登記を推進して、所有者不明の土地が発生内容にしようという発想です。

そうはいっても、登記をする段階になってはじめて相続が発生したかどうか分かるわけなので、あまり役に立たないでしょう。


3 財産管理人制度
 

所有者がわからない土地について、裁判所が管理人を選び管理や売却を行うことができるようになります。

財産管理人制度は現在もあります。
必要が生じたときには便利です。


・私見
しかし‥
今回の法律でも、荒れたままの土地や建物の保全をどうするのか、あまり抜本的な考え方がみつかっていないようです。

まず、個別の対応としては、所有者不明にしないことです。
そのためには、相続のときは早めに弁護士に相談下さい。

抜本的には、土地を一律に相続の対象・私有財産としている法制度は妥当なのだろうか? 
居住用、農地、産業用、それぞれの目的が異なる不動産を十把一絡げにしていて良いのか、もっと新しい発想が必要ではないか?



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