証拠集めの奥義-弁護士会照会 | 弁護士の労働問題解決講座 /神戸

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弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。
 
ちかごろ突然、寒くなりました。
コタツを出してきましたが、大好きなミカンもネコも出番です。
 
裁判の証拠集めは、弁護士の最大のノウハウです。
弁護士は、いろいろな制度を使って、たくさんの証拠を集めています。
その中で、威力を発揮するのが、弁護士会照会です。
私は、この弁護士会照会で得た証拠をもとにして、内縁関係を認めさせたことがあります。
 
弁護士会照会(23条照会ともいう。)は、弁護士会を通じて、公私の団体に回答を求める制度です。
弁護士会照会に対しては、警察などが行う捜査関係事項の照会と同じように、相手方には回答義務があります。
 
弁護士会に回答しなければならないことを明らかにしたのが、名古屋高等裁判所の平成29年6月30日判決です。
この事件は、債務名義(●●円を支払えという裁判所の判決など)に基づいて強制執行するために、相手の転居情報を照会したところ、日本郵便(郵便局)が「郵便法の守秘義務がある」と回答を拒否したことから問題となりました。
郵便局には、通信の秘密・郵便法の守秘義務というものがあります。
だからといって、転居情報が分からなかったら、強制執行ができなくなります。強制執行ができないのなら、一生懸命裁判して勝訴しても無意味になってしまいます。
裁判所は、そういった双方のメリット・デメリットを考えたとしても、今回のようなケースで回答しないという郵便局の態度は違法であると述べたわけです。
 
弁護士会照会が、国民の権利や司法制度の適正の運営にとって重要な役割を果たしていることは、裁判所も認めているのです。
 
ところで、弁護士会は、調査の必要性や相手方に不利益にならないかなどを考慮して照会を行っています。きちんとした手続を行わなければ、弁護士会照会は利用できません。
 
だからこそ、この能力を磨くようがんばっています。