気まぐれ厨房「親父亭」落語編40~権助魚 | 気まぐれ厨房「親父亭」

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落語に見る食の風景「権助魚」
     やっぱりお肉よりお魚が主役
     近海物で活きのいいもの、、、マグロなんて庶民の味でした

 庶民の味代表、イワシの塩焼き

古典落語でお肉を食べるシーンは極めて少なく、とりわけ牛肉や豚肉はほとんど登場しません。
「二番煎じ」や上方落語の「池田の猪(しし)買い」では猪が出てきますが、昔は滋養によいというので「薬喰い」と称して食べられていた様子が伺えます。
鴨は将軍家や朝廷への献上品として有名です。彦根藩では牛肉の味噌漬けを将軍家に献上していたという記録もあります。武家では時には肉類を食べていたものと思われます。
落語に登場する八つぁん熊さんご隠居など、庶民はお肉なんてお目にかかったことがないと思います。
明治以降は牛鍋や洋食を庶民も食べるようになったとはいうものの、やはり落語の登場人物には無縁のようです。
それに比べると、魚類はいろんな種類があらゆる場面で登場します。
ご存知「目黒のさんま」「ねぎまの殿様」とくれば、庶民が食した下魚といわれるサンマやマグロをお殿様が初めて食して感動するという噺です。

 
秋刀魚の味を知ったお殿様は夜毎さんまの夢を見るほどに恋焦がれました

「猫の災難」「寄合酒」とくれば、魚の王様タイが出てきます。
「三方一両損」は3両入った財布を落とした大工の吉五郎がイワシの塩焼きで一杯やっているところに、それを拾った左官の金太郎が届けに来たところが幕明けで、その3両を受け取る受け取らないで大喧嘩になり、やがて南町奉行の裁きを受けることに相成ります。
自らが1両を足して双方に2両を与えるという大岡越前の裁きに二人とも納得し、「腹が減ったであろう」と大岡越前から膳部(ご馳走)を振舞われます。
「鰯と違って、鯛の塩焼きは旨いな」と二人が口を揃えて言うと、大岡越前が「両人、あまり空腹だからといえ、たんと食すなよ」。
二人が「お~かぁ~(大岡)食わねぇ、たった一膳(越前)」というのが落ちです。
ご存知「芝浜」は主人公が魚屋です。古今亭志ん朝の音源にはこういうやりとりが出てきます。
「今日は何があるんだ」
「へいメジのいいのがあります」
「メジか、うちの嬶(かかあ)が好きだ。刺身にしてくれ」
メジ・・・メジマグロはご存知、最高級マグロの「クロマグロ」の子供である。1~2kgの小さい物から10kg以上の物まで高級外道して人気がある。クロマグロは大きくなると200kgを超える大物だが、小さな物はカッタクリやオキアミのコマセ釣りで釣れる事がある。またキハダマグロの幼魚はキメジと呼ばれて区別されている。時期は秋から初冬だが、大原辺りでよくヒラメ釣りのイワシ餌に大型が掛かり話題になる。本マグロより脂ののりは少ないが、あっさりした中にも旨みのある美味しい魚です。
先代(三代目)三遊亭金馬が得意とした「居酒屋」で小僧さんが酒の肴を並べていう件が有名ですが、やっぱり肉は登場しません。
「できますものは、つゆ、はしら、たら、こぶ、あんこうのようなもの、ぶりにお芋に酢だこでございます。ふぇ~い」てな具合です。
「権助魚」というばかばかしい噺があります。 ある大店の女将さん、最近旦那の様子がおかしいので「おめかけさんがいるに違いない」と疑っています。 いつも旦那のお供をしている飯炊きの権助に問い質しますが、旦那に小遣いをもらって口止めされていてシラをきるばかり。 女将さんはピンと来て、権助が好きな饅頭と旦那より多めの小遣いで買収に成功。 旦那のお伴をしたらきちんと後をつけて、行き先を報告するように命じました。 ある日旦那が「用があるから」と権助を連れて出かます。 いつものように権助をまこうとしますが、権助はしぶとくついてきます。 女将さんに買収されたんだと察した旦那、小遣いを上乗せして再度買収に成功します。 旦那は権助に「家に帰ったら、旦那は両国橋で中村さんにバッタリ会って、柳橋の料理屋さんに上がって芸者さんを揚げてドンチャン騒いで、日和が良いので隅田川に出て網打ちをした。旦那さんは明日の昼頃湯河原から帰りますと言いなさい。魚屋さんで網打ち魚を買って、女将さんにお土産だと言って渡しなさい」と申し付けます。 早速権助は魚屋へ・・・しかし山家育ちの権助、魚のことはトンと分かりません。 「これは何ですか。網打ちの魚ですか?」 「それはニシンとスケソウダラで、当然網で獲ったもの」 「貰っておきましょう。目にワラを通した団体のこれは何かね。これも網打ちの魚だかね」 「メザシですよ、それも元々網獲り魚だよ」 「この赤いのは何だね。どうして赤いんだ。これも網獲りかね」 「そりゃあタコだよ。茹でたから赤いんだよ。それも網にひっかかっていたもんだね」 「貰っておきましょう。この板っ切れに乗った白いのは何ちゅう魚かね。これも網で獲ったかね」 「そりゃあお前さん、蒲鉾だよ。それも元々は網で獲れたもんだ」 「それじゃあ貰いましょう」と、それらを買って意気揚々と戻ります。 旦那から教わったとおりに女将さんに説明しますが、隅田川で網打ちをしたなんて嘘はすぐにばれてしまいます。 「小さくてはぐれちゃいけないからメザシはワラを刺している」 「寒がっていたからタコは湯に入れてやったら赤くなった」 「蒲鉾は泳ぎを知らないから板に乗ってやってきた」等々、権助の一つ一つの言い訳が実にくだらないところが面白いじゃありませんか。

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