気まぐれ厨房「親父亭」落語編⑯~二番煎じ | 気まぐれ厨房「親父亭」

気まぐれ厨房「親父亭」

ブログの説明を入力します。

落語に見る食の風景~「二番煎じ」
     「猪鍋」、俗にいう牡丹鍋が登場します
     寒い日のご馳走はお酒と鍋ですが・・・
               獣肉ご法度の時代の噺です  
お肉を並べると、まさに牡丹の花のよう・・・牡丹鍋とはここからきています

伊井家彦根藩では、将軍家への献上品が牛肉の味噌漬であったといわれます。
麹町には「ももんじや」なる獣肉専門店もあって繁盛していたそうです。
「薬喰い」と称して、江戸の町民も結構お肉を食べていたようです。
そんな時代背景をうまく描いた、面白い噺が「二番煎じ」。
亡き志ん朝師匠の夜回りのシーンで「火の用心、さっしゃりやしょーう」というところが、何とも色気があって素敵でした。
さて噺のあらすじはっていいますと・・・。
火事と喧嘩は江戸の華・・・なんていわれていた時代がありました。
寒くなると火を使うことが多い上に、空気が乾いて大火事が絶えません。
町内で自身番という見張り小屋を置き、商家の旦那衆が火の用心の夜回りをするのですが、寒さが応えます。
月番の旦那の提案で、2組の交代制にして片方が回っている間に、もう一方は番小屋で暖をとって休憩しようということになりました。
最初の組が慣れないながらも、寒い中を何とか一回りして戻ってきます。
みんなで炭火を囲んでいますと、一人が月番に「寒いので風邪をひかないようにと、娘が持たせてくれましたので、皆さんで・・・」と懐から酒徳利を取り出します。
「ここをどこだと思ってるんです。自身番ですよ。役人に知れたらどうするんです・・・」と言いながら月番は土瓶のお茶を捨てさせ、その中に酒を入れて火の上に置きます。
「酒はいけませんが、煎じ薬ならかまわない」と言って、自分も懐から酒徳利を出す始末。それから酒盛りが始まります。
酒盛りが始まると、今度は猪の肉を持ってきたという輩が現れます。
しかも鍋を背負っているというから、心得のよいこと。
酒を飲み猪鍋をつつき、ついには都都逸まで出てきます。
すると小屋の戸を叩く音がして「ここを開けろ。番の者はおらんのか」
と定回りの同心の声がします。慌てて土瓶と鍋を素早く隠すところを同心に見破られます。
土瓶の中身は煎じ薬だと言うと「さようか。昨夜からわしも風邪気味で・・・その煎じ薬を飲ませろ」と言われ、仕方なく役人に飲ませます。
すると「これは誠によい煎じ薬じゃ」と言い、今度は「鍋の中身は何じゃ」と。
月番が仕方なく「口直しでございます」と答えますと「ならば、その口直しをわしにもくれ」・・・ついには酒も肉もそっくり全部片づけられてしまいます。
月番が「煎じ薬はもうございません」と言うと、役人は赤い顔をして言いました。
「ないとあらば仕方がない。拙者もう一回りしてくるので、二番を煎じておけ」
とまあ、こんな噺です。
猪の肉を味噌で食べる、そしてネギを入れる・・・細かい仕草が寒い夜に何よりのご馳走という雰囲気を醸し出しています。
さて、この冬の寒さはいつになく厳しいものですが、過日立派な猪肉を大量にいただきましたので、近所にいる子供や孫も集まって「牡丹鍋」を楽しみました。
<材料>
猪肉、白菜、白ネギ、ニンジン、ダイコン、ゴボウ、豆腐、コンニャク、キノコ(シイタケと舞茸)
ダシは昆布とかつおです。調味料は味噌(八丁味噌と麦味噌を合わせました)、みりん、酒を適当に。
  
<作り方>
ゴボウはささがきに、その他の野菜やキノコ類などは鍋料理ように適当に切ります。
鍋にダシを入れて沸騰させ、野菜を適量入れて再び沸騰したら猪肉を真ん中に入れます。それが沸騰するとアクが出てきますので、丁寧にすくいます。
    
肉に火が通ったら、火を弱めてお味噌を溶きます。
  
猪肉は煮過ぎても固くなりません。じっくり煮込んで、やわらかくなった野菜と一緒にいただきましょう。
締めは親父亭ではうどんが定番。刻みネギと卵を溶き入れて、これがまた旨し。