気まぐれ厨房「親父亭」落語編⑭~唐茄子屋政談 | 気まぐれ厨房「親父亭」

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落語に見る食の風景~「唐茄子屋政談」

   亡き志ん朝の名演が今も耳朶に残る

   カボチャは江戸の昔から庶民の味
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カボチャは16世紀にポルトガル船によってカンボジアからもたらされたので、その名がついたといわれます。漢字で南瓜と表記するのは中国と同じで、唐茄子とか南京などの別称も中国からも渡来したことを意味します。

冬至に食べることから冬野菜だと思われがちですが、夏から初秋に黄色い大きな花が咲いて実がなります。

全国に普及したのは江戸時代以降ですが、当時は水気の多い東洋カボチャしかなくて、「えびす」など今日主流のホクホクした西洋カボチャではありませんでした。

カロチンを多く含み、体内でビタミンAに変化して感染症などに対する抵抗力をつけてくれます。冬場に旬の野菜が少なくてビタミン類が不足しがちだったので、夏野菜ながらも保存がきくカボチャは重要なビタミン源だったと思われます。いつしか「冬至にカボチャを食べると風邪をひかない」といわれるようになり、今日もなお風習として定着しています。

「唐茄子屋政談」は「芝浜」「文七元結」などと同じく、有名な人情噺。

上方では唐茄子よりも南京と呼ぶことが多く、「南京政談」といいます。

徳という大店の若旦那が、放蕩が過ぎてついには勘当ということに。

苦労知らずの徳は「お天道様と米の飯は付いてまわる」と啖呵をきって、威勢よく家を飛び出しますが、「金の切れ目が縁の切れ目」とやらで「私が面倒みるから」なんて調子のいいことを言っていた花魁(おいらん)のところは体よく追い払われ、可愛がっていた幇間(たいこもち)や友人などもみんな相手にしてくれなくなります。

寄る辺なくさまよい、まるで乞食のように落ちぶれはて、吾妻橋から身を投げようとしたところを偶然通りかかった叔父さんに止められます。

叔父さんは「なんだ徳か。おめえなら助けるんじゃなかった」と冷たく言いながらも、自分の家へ連れて帰ります。

翌朝早くから支度をした叔父さんは、朝飯をすませた徳に唐茄子のぼてふり商いに行くよう命じます。

それまでまともに働いた経験がない徳は、強い陽射しの中をただふらふらしながら歩くだけ。とうとう石につまずいて、唐茄子と一緒に道端に倒れこみます。

しかし親切な男が現れ、通りかかる人たちに頼んで、唐茄子をほとんど売りさばいてくれました。

残った2つの唐茄子をかついでやってまいりましたのが誓願寺店(せいがんじだな)という裏長屋。

貧しいながらもどこか品のある婦人から呼び止められ「ここにお鳥目(銭)が4文ございますので、唐茄子を1つ分けていただけませんでしょうか・・・」といわれ、残った一つももおまけとばかりにあげてしまいます。

そこで軒を借りて弁当を食べようとしていると、幼い男の子が顔を出して「わあ、ご飯だ。ご飯食べたいなー」。

母親が「お前には唐茄子を煮てあげます」というのですが、年端もゆかぬ幼い子供は「やだー、ご飯食べたいなー」と駄々をこねます。

散々ひもじい思いをしてきた徳は、男の子に弁当を食べさせて母親に事情を聞くと、故あって浪人をしている主人が、小間物の商いで旅に出ているけれど、送金が滞り3日も食べさせていないとのこと。

徳は断る婦人にその日の売上を無理やり渡して、逃げるように叔父さんの家に帰ります。

唐茄子を完売したというので喜んだ叔父さんですが、売上を恵んでしまったという徳の話が信用できず、誓願寺店まで確かめに行くことに。

するとその長屋では、せっかく恵んでもらった金を因業大家にふんだくられ、婦人は首を吊ってしまったと大騒ぎの最中。

それを聞いた徳は、大家の家に乗り込んで、飯を食っている大家のやかん頭をやかんで引っ叩きました。日頃から悔しい思いをしている長屋の連中は溜飲を下げて大喝采です。

医者に運ばれた婦人は一命をとりとめ、徳の叔父さんがその親子を引き取ることになったのですが、徳は収まりがつかず、奉行に願い出ます。

裁きの結果、大家にはきついお咎めがあり、徳は青ざし十貫目(22分・・・約20万円)の褒美をもらい勘当が許されたという一席。

この噺の中で、「唐茄子は嫌エだ!」という男に「おめえ俺ン家に居候していたとき、唐茄子の安倍川を37切れも食ったじゃねーか」という場面があります。安倍川とは黄粉餅のことですから、カボチャを煮て黄粉をまぶして食べていたと思われます。前述のように、当時は水気の多い東洋カボチャですから、考えられないこともありません。

ただし、個人的に黄粉系のものをあまり好まないので、あえて試してみる気にはなりません。

カボチャは煮物のほかに、天ぷら、味噌汁、スープ、蒸し物、焼き物と多くの調理法があります。

今回は、イリコ(煮干)をたっぷり入れたオフクロ譲りの親父亭「カボチャの煮物」を紹介します。

<材料 2~3人分>

カボチャ 1/4(580gありました)、サヤインゲン 数本、イリコ 適量

水 200cc、砂糖 大さじ1.5、酒 大さじ1、醤油 大さじ1.5、みりん 大さじ1.5

<作り方>

カボチャは一口大に切り、面取りをしておく。

インゲンは適当な大きさに切りそろえておく。

鍋に水を張って火にかけ、煮立ったらカボチャとイリコを入れて落し蓋をして、中火からやや弱火で10分程度煮ます。(火が強いと煮崩れてしまいます)
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インゲンを入れて砂糖と酒を加え、5分程度落し蓋をして煮た後、醤油とみりんを加えて弱火のまま、煮汁が鍋底ぎりぎりに煮詰まったところで火を止めます。

そのまましばらく冷ますと自然に味がしみて、美味しくなります。
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たっぷり入れたイリコの素朴な味がきいて、いいですね。

イリコと一緒に、ふっくらホクホクの甘いカボチャをいただきましょう。