「筍づくし」まさに旬の味の代表
時期的には孟宗竹が最も早く顔を出し、次いでGWを過ぎると淡竹(ハチク)、次いで梅雨には真竹(マダケ)が市場に出回ります。
日本には四季の移ろいがあり、その折々に山海の幸を楽しむことができて、豊かな食文化を生み出していると思います。
味噌汁ひとつ例にとってもわかりますが、その具材として、野菜、魚介類、肉類など四季折々の旬のものを入れて楽しむことができますので無限のバリエーションがあり、毎朝食べても飽きることがありません。
野菜や魚など、その食材が最も旨い時期を「旬」という言葉で表します。
そもそも「旬」という文字は、上旬、中旬などと使われるように、日数にして10日間ほどを意味しますので、食材が本当に美味しい時期はさほど長くないということにも通じるのかもしれません。
現代と違って流通手段が乏しく、冷蔵庫なんて存在しない時代には、今以上に旬という物を大切にしてきたのだと思います。
鰹や鮎は「はしり」の頃、いわゆる初物が珍重されますが、その時期をうんと過ぎてから「落ち鮎」「戻り鰹」と称して再び人気が出ます。したがって同じ食材に旬が2度あるということになります。
鰻は真夏の「土用の丑の日」に日本中でもてはやされますが、最も脂がのって美味しいのは産卵に旅立つ前、晩秋から初冬といわれます。
味という点だけではなく、食材には体に働く作用というものがあります。
基本的に、夏野菜といわれるものには体を冷ます作用が、冬に採れるものには体を温める作用があります。
大地の恵み、海の幸、山の幸などという言葉は、それらに対して心から「有難い」という気持ちを表しているのだと思います。
食養生で「三里四方の野菜を食べよ」といわれますが、生活圏の産物そして旬の物が、生きていく上では最も理想的であるという考えにのっとってのことでしょう。
季節感を味わうとともに、その食材が体にどういう作用を及ぼすかということを考えると、その土地でとれた旬のものを食べることが一番いいということは自然の摂理として、当然だと思えます。
文字通り「竹」に「旬」と書いて「筍」…これまさに今が旬でありまして、いろいろな調理法で楽しむことができます。
九州の実家の裏に雑木林があり、春になると朝から晩まで「筍づくし」でした。
朝は味噌汁、お昼に学校でお弁当を開けると煮物や卵とじ、夜は木の芽和えや筍ご飯…嫌になるくらいに筍ばっかりでした。
大人になって買って食べるようになって、朝掘りの茹でたてを食べていた時に比べると、うんと味が落ちることがわかりました。
「お母さん、また筍」とぼやいていた頃、本当は最高の贅沢をしていたのだと、今になってわかりました。
過日、娘婿の実家(群馬県)から掘りたての筍を頂きました。
私なりに母の味を思い出しながら、数品作ってみました。
まずは茹でることから始めます。米のとぎ汁もしくは糠を入れた水に、鷹の爪を1~2本入れて茹で、冷めるまでそのままにしておきます。
掘ってから時間が経てば経つほど硬くてえぐいものになるので、なるべく早く茹でるようにしましょう。
淡竹は孟宗竹や真竹に比べるとアクが少ないので、採ってから半日以内であれば真水で茹でても大丈夫です。
筍は傷みやすいので、茹でて冷めたら水に入れて冷蔵庫で保存しましょう。毎日必ず水を変えましょう。なるべく早く食べることですね。
姫皮の部分も含めて先の柔らかい部分を、山椒の新芽をすりこんだ酢味噌で和えます。これには博多名物の「おきゅうと」も添えています。
若竹煮
根元の部分をカツオだしに醤油、お酒、みりんを入れて煮ます。たっぷりのワカメと一緒に煮ることで、淡白な筍が、味わい深くなります。
筍ご飯
定番中の定番です。筍と干椎茸、油揚げを入れま、醤油、酒、塩で味付けして炊き込みます。我が家ではチリメンジャコも一緒に入れます。
炊きあがったら三つ葉や小ネギなどを混ぜ込むといいでしょう。
私にとって、おふくろの味の代表の一つが「筍の卵とじ」です。
春は弁当にほとんど毎日入っていました。時々、ハムやチリメンジャコが入っていることもありましたが、概ねプレーンでした。
今は、その方が素朴でよかったなと思います。
おふくろ直伝「筍の卵とじ」レシピを紹介します。
<材料>
茹でた筍 適量、卵 2個、パセリまたは小葱 少々、サラダ油 大さじ1、酒 大さじ1、塩&コショー 適量、醤油 小さじ1
<作り方>
フライパンにサラダ油を熱し、一口大に切った筍を入れて炒める。
酒をふり、刻んだパセリを入れ、塩&コショーを適量ふる。
全体に火が通ったら割ほぐしていた卵でとじ、半熟のうちに火を止めて出来上がり。ハムやチリメンジャコを入れると、違った風味を楽しむことができます。



