落語に見る食の風景~花見弁当・・・長屋の花見
料理は代用品でお酒はノン・アルコールでの宴会
梅でも桃でも、はたまた藤、ツツジ、海棠など、どんな花でもよさそうなものをと思うのですが、ぱっと咲いてぱっと散る潔さが日本人の心を揺り動かすのでしょうか、花見といえば「桜」ですよね。
とりわけ、飲んで食べて騒いで・・・となると、桜は欠かせない条件といえましょう。桜を見ながらの乱痴気騒ぎは、江戸の昔から庶民の一大行事だったに違いありません。
さいたま市・大宮第二公園の満開の桜
落語「長屋の花見」は有名なのでご存知だと思いますが、別名を「貧乏花見」といい、この噺の弁当はちょっと様子が違うようです。
長屋の連中が大家に呼ばれて「みんなで花見に行こう」という話になりました。
日頃はケチな大家が「用意は出来ている」と言うのがちと怪しい・・・よく見ると酒は番茶を薄めたもので「お酒」ならぬ「お茶け」。
蒲鉾は大根を月型に切ったもので、玉子焼きは黄色いタクアンで代用です。
その気になっているのは大家だけで、いくらタダとはいえ長屋の連中はやけ気味です。
花見会場に着いて緋毛氈の代りにムシロを敷いて、酒盛りならぬお茶盛りが始まります。
蒲鉾や玉子焼きのつもりで大根やタクアンをボリボリと音をたてて食べたり、茶柱が立った湯呑みを見て「酒柱が立った」と大騒ぎしたりする始末。
お酒でもないのに酔えと言われ、長屋の連中もいささか不機嫌です。
酔ったふりをした男が「本当の酒を持って来い」とからみますし、お茶でお腹がふくれて気分が悪くなったという男に「どんな気分か」と聞くと「井戸に落ちた時のようだ」と答えます。
ばかばかしいけれど、「長屋」という人情溢れるコミュニティを表現した面白い噺です。
花見弁当の中身に決まりはありません。
落語「長屋の花見」に出てくるように、蒲鉾、玉子焼きというのは幕の内弁当の中に入っている定番モノです。
古典落語の舞台は江戸末期から明治にかけてと考えると、蒲鉾と玉子焼き以外には、焼き魚、てんぷら、野菜の煮物などが多かったのではないでしょうか。
甘いものでは桜餅(向島・長命寺が最も有名)や花見団子などが付き物で、もちろんお酒もなくてはなりませんね。
現代では仕出し屋のみならず、ファストフード店やコンビニ、料亭、ホテル・・・いろんなところが花見時分になると弁当やオードブルを販売しています。
子供には唐揚げやウインナーソーセージなどに人気があり、女性は中華やイタリアンなどを好むそうです。
某ホテルの花見弁当・・・これで3500円です
今日は今から子供や孫も一緒に花見です。
頑張って作った親父亭の「花見弁当」を紹介しましょう。
ポテトサラダと茹でたブロッコリー、厚焼き玉子、鶏手羽元の塩麹焼き、豚バラの串焼き、サケの腹身焼き、サバの塩焼き、フキとジャコの炒り煮、フランクフルトソーセージ、そしておにぎりです。
フキは朝採った初物です。フランクフルトソーセージは孫が喜ぶと思って入れました。
フルーツはネーブルオレンジとイチゴ(とちおとめ)を添えました。
さあ、今から花見に出発です。