だまらない | 桂米紫のブログ

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米朝一門の落語家、四代目桂米紫(かつらべいし)の、独り言であります。

人間には、「エゴ」がありますね。

「エゴ」というと何だか聞こえが悪いような感じがしますが、「プライド」というとうんと聞こえは良くなります。

でも、どちらも「自尊心」の事。


みんなどこかで「自分は正しい」という部分を持っていますから、軋轢が起こる訳です。
人間付き合いでのボタンの掛け違いや、大きく見れば戦争なんかも、元は些細な、そんな理由から起こり得るんじゃないでしょうか。


誰しも、自分の人生の主人公は自分自身ですからね。

醜いぐらいのエゴを持つのが当たり前なのです。人間だもの。


でも反対に言えば、そんな“エゴの塊”こそが人間であって、俯瞰から見ればそれは実にマヌケに見えるからこそ、人間は可愛いのだとも言えます。

自分自身も含めて、人間はみな、俯瞰の目で見ればマヌケで滑稽で、だからこそ人間臭く、可愛らしい。


落語はまさに、そんなマヌケな…でも本人は真剣そのもので一生懸命な、人間臭くて滑稽な登場人物達を描く芸です。

体裁を気にしたり弱さを隠したり虚勢を張ったり…でも本人の気づかぬところでそれが露呈してしまう、マヌケで滑稽な登場人物達はとても愛らしく、だからこそ落語はただの「お笑い芸」に止まらず、長く愛されているのでしょう。


昨日から今日にかけて、ちょっとピリピリする出来事があって、どっと疲れていたのですが…地球規模で考えたら、全くどうでもいい事だと気づきました。

俯瞰的に見れば、それはただのマヌケで滑稽な、どちらも間違っているとは言えないエゴのぶつかり合いでした。


僕にとって大事なものは、落語の高座と、(猫を含む)家族との幸せな時間、そして映画と布団と、舶来のチョコレートです。

そしてエゴの塊として、概ねに於いての僕自身です。


僕はただ、平和に楽しく暮らしたいだけの、鳩派のエゴイストです。


今年の目標は、無責任男です。


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