(臨時営業)「マッカートニー 3,2,1」
2022年2月15日(火) 今回は簡単に。 昨年7月に米国の動画配信サービスHuluで公開となり、日本では同12月からDisney+「スター」で配信が始まった「マッカートニー 3,2,1」というドキュメンタリー番組について。 予告編(Disney+) https://www.youtube.com/watch?v=HK5uBLNf_po ピーター・ジャクソン監督によるドキュメンタリー映画「ザ・ビートルズ:Get Back」にばかり気を取られていて、存在は知っていたものの実際に見てみようとまで考えていなかったのだが、このたびようやく視聴する機会を得たので一応触れておきたい。 と言っても、約30分×全6回の計3時間のこのドキュメンタリーについて紹介するだけの気力も仔細な記憶も私にはなく、一旦全編を視聴しはしたものの細かい部分は既に忘れてしまっていて、近いうちに再見してみたいと思っているところである。 もっともこの作品、上の写真のようなどこかの新興宗教の教祖のような風貌をしたリック・ルービンという(かなり有名らしい)音楽プロデューサー(★)が、ポール・マッカートニー相手にその音楽作りの秘密や裏話について聞く内容であるため、楽譜ひとつ読むことの出来ない私には十分理解出来ない話もあり(おまけに今回は英語字幕付きの動画で見たため余計理解が至らなかった)、詳細については、例えば以下の「ローリング・ストーン」誌の記事を参照いただければと思う。ポールとリック・ルービンが語る、『マッカートニー 3,2,1』とザ・ビートルズの普遍性 | Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)ポール・マッカートニーがリック・ルービンを迎えて、ザ・ビートルズやソロ活動を振り返る6部構成のドキュメンタリー・シリーズ『マッカートニー 3,2,1』がディズニープラスにて配信スタート。二人が同作や『ザ・ビートルズ:Get Back」についrollingstonejapan.com★ こう見えて実はまだ50代後半で、今年80歳になるポール・マッカートニーより20歳以上も年下である。 そんな私にも、この2人がスタジオ(?)に設置されたミキサーを前に、各楽曲を構成している個別のトラックを抽出して耳を傾けながら、ポール・マッカートニーや他のメンバーがプロデューサーであるジョージ・マーティンの支援を受けつつ曲作りしていった過程について話す部分は非常に興味深く、何よりもこれまで他の演奏や音の陰に埋もれてしまったり結局日の目を見ることのなかった演奏や歌唱を聴くことも出来、何十回、何百回となく聴き込んで来たはずの曲の新たな側面を目の当たりにするようで実に新鮮な体験だった。 しかも今回はそれぞれの曲が極めてクリアな音質で紹介されており、公式盤では演奏と歌唱が左右のトラックに泣き別れになったりしている初期曲などもバランス良く再生され、よくある大げさな宣伝文句ではないものの、本当に全く別の曲を聴いているような気にさせられたものである。 とは言え、見事に修復されたカラフルな映像と音声によってザ・ビートルズのメンバーの姿や音楽が堪能出来る「ザ・ビートルズ:Get Back」とは異なり、この「マッカートニー 3,2,1」は上や下の写真にある通り、終始地味なモノクロ画面で2人のおじさんが音楽を聴きながら語り合うだけで、余程のザ・ビートルズ好きでなければ「ザ・ビートルズ:Get Back」以上に近づきがたい内容になっているかも知れない。 ポール・マッカートニーは昨年「The Lyrics:1956 to the Present」という初の自伝を出したことでも話題になり(下の写真)、このところ過去の「レガシー」を具体的な記録として残す様々な試みを続けている。しかし今回の「マッカートニー 3,2,1」においても、正直それが実際の記憶なのか、それとも数十年の時を経て作り上げられた偽の記憶なのか判然としないような発言もあるように思われたのだが、たとえ話半分としても(というのは言い過ぎだとして、8割がた真実だと仮定しても)、当事者の語る「History=Story」として十分楽しめるものとなっており、ポール・マッカートニーやザ・ビートルズという偉大なる音楽遺産の記録として、極めて貴重なものであることに変わりはない。 今回の作品中でも語られているが、ザ・ビートルズが曲作りを始めた頃は音楽をその場で記録する手段が限られており、彼らは自らが思いつき作り上げた曲がある程度形になるまで、ひたすら記憶し続ける必要があった(その結果として耳に残って記憶しやすいような曲を作る傾向があったという言い方もしている)。 そのせいなのか、音楽に対するポール・マッカートニーの記憶力は詳細かつ精確で、若き日に接した音楽や自分たちが作った音楽の細部に至るまで実によく覚えていることに驚かされる。必要は発明の母と言うが、この種の記憶能力も、簡単に音楽を聴いたり記録したりすることが出来なかった当時の必要性から自然と培われたものだと言っていいのかも知れない(あるいはポール・マッカートニーという音楽の天才に与えられた、あらゆる音楽に鋭敏に反応し自分の中に瞬時に取り込むことが出来る独自の才能なのかも知れないが)。 結局「マッカートニー 3,2,1」というドキュメンタリーについて具体的なことは何ひとつ紹介しないまま記事を終えることになるが、今回の番組を見ていて思ったのは、いずれザ・ビートルズなどの過去の名曲について、その曲を構成する様々なトラックを別々にダウンロード可能なサービスが出来、リスナーが自分の好みで各トラックの音量やバランスを組み合わせ自分だけのヴァージョンを作れるような時代が到来しないかという「妄想」である。 既にYouTubeなどでは、最新の技術を駆使しながら公式音源からヴォーカルや各楽器の演奏を分離抽出して紹介する試みが数多く為されていて、例えば以下の「DLD2 Music!」というYouTubeチャンネルを私も普段から楽しんでいるのだが、そうした分離作業には自ずと限界があり、個々の歌唱や楽器演奏が別々のトラックに記録されている公式音源には到底かなわない。 https://www.youtube.com/channel/UCyprRqfX7CqMgH_2JwNYitA/videos むろん新たなミックスをほどこした周年盤などが発表・発売され続けている限り、収入源となるそのような「宝庫」が公開されたりすることは決してないだろうが、今回「マッカートニー 3,2,1」を見ていて、これまで数限りなく聴き返してきた曲の陰に、全く気づかずにいた音や唄が隠されていることに気付かされ、マニアと自称する資格もない中途半端な愛好家である私でさえも、そうした「奥の世界」に踏み込んでみたい気持ちを掻き立てられたのである。分不相応と言うしかない、単なる高望み(?)だということは自分でも重々承知しているのだが・・・・・・。 最後に上に紹介したもの以外の予告編等のアドレスを以下に記載しておく。 McCartney 3,2,1 - Trailer (Official) • A Hulu Original https://www.youtube.com/watch?v=KAkqy5QntGQ McCartney 3,2,1 - A Day In The Life • A Hulu Original https://www.youtube.com/watch?v=5UT2Pz5eMhA Paul McCartney x Rick Rubin – A Forthcoming Documentary Event (Trailer) https://www.youtube.com/watch?v=eTSe5hgB04s