2023年5月3日(水)

 今日は約4年前に逝った愛犬の月命日(下の動画とこの動画から取った上の画像)。

 あと1ヶ月で4回目の命日が訪れるのだが、毎年この時期になると、死ぬ数週間前から体調が突然悪くなって苦しんでいた姿が思い起こされて、とても平常心ではいられなくなってしまう。

 そして生きているうちに大好きな食べ物を思う存分食べさせてあげ(実際には融通のきかない若い獣医師の指示に従って大好きだった野菜や肉をほとんど与えないまま死なせてしまった)、体調を崩して食欲がなくなってからも食べやすく栄養のあるものを工夫するなどして(これまた実際には市販のおやつやヨーグルトなどを食べさせただけだった)、最後まで諦めることなく回復を目指すべきだったのではないか等々、後悔の念と申し訳なさが次々押し寄せて来る日々である。

 せめて私自身がこの世を去った後に愛犬と再会して、そうした自分の愚行の数々に対して赦しを請う機会が訪れることを心から願わずにはいられない。RIP.

 

 

 今回は前回(https://ameblo.jp/behaveyourself/entry-12794484033.html)に続いて、3月途中から4月までの訃報を(敬称略)。

 

 

 ただし別の記事(https://ameblo.jp/behaveyourself/entry-12796690768.html)で既に簡単に触れている(上の写真の)坂本龍一は除く(本当は新たに書き直したのだが、誤って削除してしまったので残念ながら割愛)。

 

 

 まずは仏文学者の菅野昭正(3月9日死去、享年満93歳。上の写真=以下同様)。

 研究者としての業績よりも少なからぬ仏(語)文学の翻訳を通じて親しんで来た人で、テレビの書評番組などを通してその謦咳に接したことも思い出深い。

 私が読んだ(あるいは持ってはいるが積ん読のままになっている)この人の翻訳には、以下のようなものがある(★をつけたものは既読)。

 ナタリー・サロート「プラネタリウム」、「トロピスム」、「あの彼らの声が…」

 ピエール・ガスカール「逃亡者」

 フランソワ・モーリアック「内面の記録」(杉捷夫との共訳)★

 クロード・エドモンド・マニー「現代フランス小説史」(佐藤朔、白井浩司などとの共訳)★

 レーモン・クノー「わが友ピエロ」

 モーリス・ブランショ「謎の男トマ」

 ドリュ・ラ・ロシェル「ゆらめく炎」(細田直孝との共訳)★←ルイ・マル監督「鬼火」(原題:Le Feu follet、1963年)の原作 

 クロード・シモン「ファルサロスの戦い」
 ポール・ガデンヌ「スヘヴェニンゲンの浜辺」
 ミラン・クンデラ「不滅」★
 ル・クレジオ「パワナ-くじらの失楽園」★、「偶然・帆船アザールの冒険」★、「アフリカのひと・父の肖像」★
 ジョナサン・リテル「慈しみの女神たち」(星埜守之、篠田勝英、有田英也との共訳)★

 

 このうち最も印象深いのは、仏語版と首っ引きで読んだミラン・クンデラの「不滅」と、共訳ではあるものの、以前このブログでも言及したことのある(https://ameblo.jp/behaveyourself/entry-12502041037.html)、膨大な訳注付きの大著「慈しみの女神たち」だろうか。

 

 

 俳優の団時朗(3月22日死去、享年満74歳。ただし私が記憶している名前の表記は「団次郎」)。

 おそらく私と同世代の大勢の人たちと同様、「帰ってきたウルトラマン」(1971年)が最も記憶に残っている作品だが、初放送当時はまだ物心つかない年齢だった私がこのドラマをちゃんと見たのは再放送時のことで、しかも他の「ウルトラ」シリーズ同様、それほど夢中になった訳ではなかった。

 むしろかなり後に見た「江戸川乱歩シリーズ 明智小五郎」(1970年)での出演シーンの方が印象に残っていると言っても良いくらいで、「帰ってきたウルトラマン」の具体的な記憶はなにひとつ残っていない(もっとも細かい記憶が曖昧模糊としていることでは両者にほとんど大差ないのだが)。

 「ウルトラマンA」などウルトラ・シリーズに出演していた故・瑳川哲朗(2021年2月17日に満84歳で死去)の訃報記事を書いた際にも紹介した(https://ameblo.jp/behaveyourself/entry-12660074321.html)、「ウルトラ5兄弟 座談会」という動画が今でもYouTubeで視聴出来るので、以下にアドレスを貼付しておくことにする。

 前編 https://www.youtube.com/watch?v=ZKZVlnr5WXU

 後編 https://www.youtube.com/watch?v=w9E0aeEE3L8&t=9s

 また、YouTubeのウルトラマン公式サイトで「帰ってきたウルトラマン」の最終話が公開されているのを見つけたので、あわせて以下に紹介しておく(https://www.youtube.com/watch?v=6hRiyKqvcYA)。もっとも私自身は今更とりたてて見たいとも思わないのだが・・・・・・。

 

 

 

 続いて女優の奈良岡朋子(3月23日死去、享年満93歳)。

 たまたましばらく前に、遠藤周作の長編「どっこいショ」を映画化した「日本の青春」(1968年、小林正樹監督)と、山本周五郎の連作小説集「季節のない街」を黒澤明が映画化した「どですかでん」(1970年)という2本の映画を見る機会があったのだが、いずれの作品にもこの人が出ており、その経歴を調べてみると90歳を超えた後も現役で活躍していることを知って驚嘆したばかりだった。

 この人の「本業」はむしろ舞台での活動(演劇)にあったのかも知れないが、ドラマの「おしん」や「太陽にほえろ!」(Part 2)を始めとするテレビや映画の出演作には枚挙に遑がなく、映画では初期の「原爆の子」(1952年)や「縮図」(1953年)、「どぶ」(1954年)などの新藤兼人監督作品を筆頭に、後期の「釣りバカ日誌」シリーズに至るまで、地味ではあるものの堅実な役柄を実直に演じ続けたという印象が強い。

 

 

 次いで作家・動物研究家の畑正憲(4月5日死去、享年満87歳)。

 子供の頃から動物や昆虫が大好きだったことから(上野動物園の飼育係や東武動物公園の園長を務めた「カバ園長」こと西山登志雄をモデルにした飯森広一の漫画「ぼくの動物園日記」なども愛読していた)、この人の書いた「どんべえ物語」や「さよならどんべえ」といったエッセイに親しんだことがあり、初対面のライオンやワニなどの猛獣にも平気で接しようとする、大胆でいてどこかユーモラスな行動で人気を博したテレビ番組等でもお馴染みの存在だった。

 特に理由もなくその後はすっかり関心を失ってしまっていたのだが、訃報に接した今となっては、この人の出ていたテレビ番組などを見直すよりも、子供の頃に読んだ上記作品のようなエッセイや小説を改めて読み返してみたい気がしている。

 

 

 小説家・詩人・評論家の富岡多恵子(4月8日死去、享年満87歳)。

 篠田正浩監督の「心中天網島」(1969年)における脚本(篠田正浩、武満徹との共作)や、「中勘助の恋」のような評論作はいくつか読んだことがあるものの、「本業」だったに違いない詩や小説には(どういう訳か)接したことがないのだが(一応、文庫本を何冊か持ってはいる)、極めて理知的な(それ故にやや近づきがたい)作家という漠然とした印象を抱き続けて来た。

 未読作品でも興味があるのはやはり「釈迢空ノート」や「西鶴の感情」などの評論作品で、実際もしこの人の作品が今度も残るとしたなら、詩や小説などの創作作品よりも、脚本や評論の方なのかも知れない(と特に根拠なく思っている)。

 

 

 女優の片桐夕子(2022年10月16日に亡くなっていたことが最近明らかになった。享年満70歳)。

 日活入社当初は主にロマンポルノ作品で活躍したが、後に一般映画やドラマにも数多く出演するようになり、主な出演作には(にっかつロマンポルノには全く詳しくないので除く)NHKドラマの「夢千代日記」や、「八月の濡れた砂」(1971年)、「サード」(1978年、上の写真)、村野鐵太郎監督による「月山」(1979年)や「遠野物語」(1982年)などがある。

 

 

 英文学者の小池滋(4月13日死去、享年満91歳)。

 この人も(上記の菅野昭正同様)研究家としての業績よりも主に翻訳に親しんだ人で、「荒涼館」や「オリヴァー・トゥイスト」の他、落語調の翻訳に違和感を覚えた「クリスマス・キャロル」などのチャールズ・ディケンズ作品ではお世話になったものである(ただし「リトル・ドリット」は未だ積ん読のまま)。

 英国に赴任することが決まってから、文春文庫から出ていた「ロンドン 世界の都市の物語」を参考にさせてもらった記憶もある(が、内容はすっかり忘れてしまった)。鉄道愛好家としても知られており、英国の鉄道事情などを紹介したマニアックな作品や、漱石の「坊っちゃん」など近代文学の名作について鉄道愛好家の視点から論じた「『坊っちゃん』はなぜ市電の技術者になったか」などの著作がある。

 

 

 米国の歌手ハリー・ベラフォンテ(Harry Belafonte。4月25日死去、享年満96歳)。

 以前このブログでも触れたことのある「We Are the World」に参加していた(むしろこの人が「USA for Africa」の活動を積極的に提唱した)ことくらいしか個人的な印象はないのだが(https://ameblo.jp/behaveyourself/entry-12599182659.html)、若い時に「Banana Boat」(Day-O)や「さらばジャマイカ」(Jamaica Farewell)などの曲で世界的に有名だったことを今回改めて知った(特に意識しないままこれらの曲を知っていたことも分かった)。

 Banana Boat(Day-O)

 https://www.youtube.com/watch?v=DYYkJ0kwNss

 Jamaica Farewell

 https://www.youtube.com/watch?v=aajSxr8nghE

 

 

 評論家の海野弘(4月5日死去、享年満83歳)。

 平凡社で雑誌「太陽」の編集長を務めるかたわら、アール・ヌーヴォーやアール・デコを始め、文学や映画等に関する幅広い著作を数多くものしたが、私にとっては何よりも「プルーストの部屋―『失われた時を求めて』を読む」の著者で(もっともこの作品にしてもざっと斜め読みしたに過ぎないのだが)、後に上梓された「プルーストの浜辺 『失われた時を求めて』再読」と共に、いつかまたプルースト作品を読み直しながら参照したいと思っている著作である。
 

 

 詩人や翻訳家、評論家や映画監督などとして幅広く活動した福間健二(4月26日死去、享年満74歳)。

 もっとも私はこの人が翻訳した何冊かの作品の題名を知るのみで、実際にその文章に接したことは皆無なのだが、何年か前に「白水Uブックス」で再刊されたマイケル・オンダーチェの「ビリー・ザ・キッド全仕事」という風変わりな題名を持った書物や、「東京日記 リチャード・ブローティガン詩集」などはいずれ読んでみたいと思っていたものである。

 俳優として若松孝二や足立正生、石井輝男などの映画作品に出演したこともあるようだがいずれも未見で、この人自らが監督した作品もあいにく見たことがない(要するに名前を見かけただけで、その業績は全く未知のものである)。

 

 上記の方々の死を悼み、冥福を祈りたい。