桜は今が満開である。
開花が始まったのは、一週間ほど前だが、それからしばらく、霜が降りるほどの寒さに見舞われる。
寒さに震えながら、花弁を開く時を今か今かと待っていた蕾たちが、今日のやっと春らしい暖かな光の降り注ぐ午後、一斉に咲き始めたのだった。
強い風に吹かれても、まだ花弁は舞うことがない。
これだけ一斉に花を開く桜を見たのは、何年かぶりのような気がする。
どれだけ注意深く眺めていても、弾けるように開く蕾をまだ見たことがない。
桜は広葉樹だ。
実は針葉樹と広葉樹は、まったく違う植物だという。
広葉樹は草に近く、また出現したのが針葉樹よりも
一億五千年ほどあとらしい。
また、針葉樹はシダ植物から進化したと推測されているが、広葉樹の出自は不明だという。
木が草だと言われてもピンとこないが、木が芽の頃は草みたいだから、まあそれもそうか、と納得したりする。
分けるという行為は、何を基準にするかで違ってくるのだから、基準が変わると常識も変わってしまう。
何もかもが、"仮"なのだ。