狂った味覚 | 想像と創造の毎日

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写真は注釈がない限り、
自分で撮影しております。

  息子に会うのは半年ぶりだ。

  就職が決まり、その引越しへ向けて、片道五時間かけて荷物を何度かに分けて運ぶことにした。


  今のところ必要のないものを一旦、自宅に帰ってきて運び入れた。しかしその中の大量の衣服の中に汚れているものが混在していて愕然とする。


  今日は全て洗濯し直し、必要のない家具等を解体した。


  昨日は息子に、久しぶりに会うというのに夕方からバイトを入れたと言われ、仕方がないなら荷物だけ車に積み、お昼ご飯を食べさせてトンボ帰りしてきた。


  お店まで運転したいと言われ交替したが、久しぶりだというのに上手いので安心した。何せ、娘の時は、それまで何度か帰宅時には運転していたはずなのに、就職したときに運転させてみたら下手くそ過ぎて危なかった。なので、毎週迎えに行って練習に付き合わされるはめになったのだ。


  男の子だからというのもあるが、やはり好みとセンスなのだろう。安全運転ではあるのだが、街の中の狭い駐車場でも一度も切り替えさず、ピッタリとバックで入れる。車線変更も迷うことなくスムーズだし、何なら私よりも上手い…というか、私がガサツで下手くそ過ぎるのだが。


  息子は毎日、バイトの合間に資格取得の研修に通い、掃除も片付けもする暇もなく(💢💢)忙しいそうだが、楽しく過ごしていたようだ。


  学生時代だけでなく、いくつかのバイト先でも友達が出来、何と一番若い友達は小学四年生だそうだ。


  バイトの前に、近くにあるスケート場で毎日のように遊んでいたら、小四の男の子が来て、自分に教えて欲しいとお願いされたという。

  LINEまで交換して、連絡を取り合い、彼は息子の来る時間に合わせてほぼ毎日やってきた。

  最初は立つことすらできなかったのが、今ではコーナリングできるまでに上達したというのを嬉しそうに話した。


  お昼は焼肉がいいというので、息子の行きたいお店に行った。メニューを見たら高くもないが、特に安くもない。

  やってきた肉を一口食べて、私は胸焼けの予感がする。

  輸入肉だからとか、油が強いとかではない。

  これは、うま味調味料の味だ。

  あの平坦で不自然な旨味がいつまでも舌に残る、あの大手ファストフード、もしくは、某コンビニチェーン店のレジ前のホットフードにあるお惣菜、スナック系の味とまったく一緒の後味がした。


  黙々と美味しそうに食べている息子よ… 。

  ご飯をおかわりしてまで肉にがっついているが、この味の奇妙さがわからなくなってしまうほど、荒んだ食生活だったのかい?

  娘なら、一口食べて、箸を置くだろう。

  うちにいた頃のおまえは、私がサボってスーパーのお惣菜を買ってきたらブチ切れていたではないか!

  そもそも、我が子ならば、気付くべきだ!この味の不自然さを!


  舌まで都会に毒されてしまったか…。

  いや、仕方がない。これも、自立のための社会の洗礼なのかもしれない。

  都会にいれば、遊ぶためにお金がかかる。

  食べ物も本物を求めれば、高くつくだろう。

  バイトに明け暮れ、そこの大衆的なお店の賄いを毎日食べていれば味覚も狂う。


  私はうま味調味料を敵視していないし、何なら寒い時の釣りで食べるカップうどんは最高だとも思っている。


 けれども、あんなに食べ物にうるさかったおまえが、この味付けの肉をさも美味しそうに食べているのを見ると、なんだか母さん、ショックだ。

 なんなら、海原雄山先生並みに、この場で怒って欲しかった。(ここでテーブルをひっくり返されても困るが)


  しかし、どっと疲れた。  

  大きくなってからは、娘よりも息子の方が心配で不安である。


  性格は私と似ているから話しているとすこぶる楽しいのだが、所詮男なので脳の使い方が違うのだろう、理解できなくてイライラする場面がたくさんある。

  

  焼肉を食べ終わったあと。私の前から皿が次々と消えた。


  全ての皿が通路側のテーブル端に綺麗に重ねられ、寄せられた。


  下手に重ねると逆に店員さんが片付けするの大変とか言うけど、実際どうなの?と聞くと、ほとんどの人は、ぐちゃぐちゃのまま帰る。気持ちよく飲んで帰ってくれるならそれでいいけど、働いてる方はこうやって寄せてくれるとすごく嬉しいんだよな。だから、俺はこうする。と答えた。


  帰りも運転して貰ったが、サイドミラーとバックミラーのあと、さらに目視でしっかり確認し、まるで教習所の生徒の車に乗っているようである。


  あまり器用なタイプではないが、基本にはどこまでも忠実なやつである。


  けれどもそれは、いいことだ。

  融通が効かなすぎるのもやっかいだが、車の運転に関しては、いつまでも教習所のままでいいのである。


  その落ち着いたハンドル捌きで、私は一度も身体を不必要に揺らされることなく、終始、快適であった。 


  子供に対してと、運転の仕方だけは、紳士だ。


  息子はそれでいいか。あまり多くは望むまい。

  というか、そもそも望んでも、うるせー!と一蹴されるだけである。









⤴︎昨日と一昨日の記事を消してしまいました😭

   いいね、コメントをくれた方、申し訳ありません🙇‍♀️

  写真だけ再掲いたします。